サンタナ / Santana III Outtakes And Rehearsals (2CDR)
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71年リリースのサンタナのマスターピース、そのアルバムのアウトテイクス、リハーサルを収録した2枚組です。ほんの一部に音切れ等ありますが、素晴らしいサウンドボード録音です。
CDR 1
Sessions at Wally Heider Studios, San Francisco, Nov 1970
JUNGLE STRUT (ALTERNATE TAKE) 5:07
EVERYBODYS EVERYTHING (INST.JAM) 4:17
BALLIN (OUTTAKE) 6:12
FOLSOM STREET (OUTTAKE) 8:30
FRIEDNECKBONES & HOME FRIES (OUTTAKE) 5:16
GUAJIRA (DEMO) 5:26
TUNE IN (REHEARSAL) 3:16
BLUES JAM 5:58
EVERYTHING IS COMING OUR WAY (INST.) 3:26
BATUKA (JAM WITH BLUES) 6:42
REHEARSAL JAM 1 22:35
CDR 2
Sessions at Columbia Studios, San Francisco Jan 24 1971
REHEARSAL JAM 2 6:29
JUNGLE STRUT (EXPANDED) 6:12
BALLIN (EXPANDED) 8:38
FOLSOM STREET (EXPANDED) 6:26
GUMBO (ALTERNATE TAKE) 4.29
JUNGLE STRUT (ALTERNATE TAKE 2) 5.29
TOUSSANT L'OVERTURE (ALTERNATE TAKE) 4.39
以下はこのタイトルに関連するジム・マッカーシーのレビュー、を抜粋抄訳しました。
『サンタナ3』、または単にサード・アルバムとも呼ばれ、決まった名が無くちょっと厄介なアルバムは、その実サンタナの最高の音楽が詰まった傑作です。アンサンブルの演奏はより自由で流動的になり、バンドはより暗く、より深く、より神秘的なグルーヴを獲得しています。サンタナのサンフランシスコを拠点とする音楽には類似点がなく、サルサでも、バガルーでも、ストレート・アヘッド、ブルースでもロックでもありません。このアルバムにはこれらすべての音楽の要素が含まれており、完全に独自の世界に存在し、それまでのラテン音楽 (モンゴ・サンタマリア、レイ・バレット、リッチー・ヴァレンス、カル・ジェイダーなど) を再定義し、新しく出現したラテン文化の先駆者となることの意味を現代的な形に定義しました。『サンタナ3』はオリジナル・バンドが音楽シーンにもたらした3部作のその最終作です。69年のウッドストック・フェスティバルでの見事な出演と、それに続く最初のレコーディング・アルバム『サンタナ』のリリースで、彼らは急速に名声を高め、フェスティバルの観客を熱狂させ、ラテン・リズムを世界地図上に載せただけでなく、アメリカの音楽史において、若く野心的なラテン系アメリカ人を代表する強力なメインの音楽勢力として、自らの地位を確立しました。
グループの中核メンバーは、カルロス・サンタナ (ギター、ボーカル)、グレッグ・ローリー (キーボード、ボーカル)、デビッド・ブラウン (ベース)、マイク・カラベロ (コンガ)、ホセ・チェピート・エリアス (ティンバレス、コンガ)、マイケル シュリーブ (ドラム) 。ゲストを歓迎し、他の人にもスポットライトを当てるサンタナの姿勢は、2人の更なる重要メンバーの加入をもたらしました。まずは15歳のギターの名手、ニール ショーンです。シュリーブとローリーは、パロアルトのポピーコック・クラブでオールドデイビスというバンドで演奏していた情熱的なショーンを発見しました。既にカルロスはギター界の天才として確立されていましたが、若いショーンが加入することに対して不安を感じてはいませんでした。実際2人は一緒になってお互いを新たな高みへと押し上げたのです。シュリーブは次のように回想します。「カルロスと一緒にサンタナバンドに入ったニールの気持ちは神のみぞ知るだ。ニールは若い情熱をバンドに持ち込み、カルロスのメロディックさも吸収した。ニールは情熱的で、物事を本当に盛り上げることができた。カルロスとニールは多くの点で同じ才能を共有していたんだ」。
アンサンブルに新たに加わったもう1人の新人、トーマス・コーク・エスコヴェドはパーカッショニスト(元々はピート・エスコヴェドとエスコヴェド・ブラザーズとして演奏していました)でした。71年初頭、ダイナミックで信じられないほど才能のあるニカラグアのティンバレス奏者、ホセ・チェピート・エリアスが突然脳動脈瘤を患ったため、コークはバンドとのツアーに同行するよう依頼されたのです。コークがバンドに加わったのは、ニューヨークのスパニッシュ・ハーレム出身のパーカッショニスト兼バンドリーダーで、サンタナ・グループに大きな影響を与え、71年2月にアフリカのガーナのアクラで行われたソウル・トゥ・ソウル独立記念日コンサートで最初の大ヒット曲「Evil Ways」を提供したウィリー・ボボをメンバーにと打診した後のことでした。
レコーディングは主にサンフランシスコのフォルサム・ストリートに新しくオープンしたコロンビア・スタジオで夜間に始まりました。サンタナはスタジオBを陣取り、長時間のジャム・セッションや、より構造化された方法で作られた曲などから、レコーディングが形になっていきました。セッションに参加したチェピート・エリアスは奇跡的に回復し、驚異的な音楽的才能を保ったまま再び参加。バンドがスーパースターの座に上り詰めるにつれ、騒々しい時代の音楽シーンに伴う過剰さも共に加わっていったのです。
『サンタナ3』があまりにも首尾一貫していて音楽的にまとまっていることは、このグループのユニークな音楽的相性を物語っています。
「Batuka」はファンキーなオープニング・カットで、ニール・ショーンのギター・ワークの野性的な側面を惜しげもなく披露しています。カルロス、グレッグ、デイヴィッドのアンサンブルを受け流す後ろで、浸透するリズム・セクションがカウベル主導のパターンを作り、ショーンの野性的なギター・ワークを導きます。
グレッグ・ローリーが回想しています「ベル・テレフォン・TV・アワーで、ズービン メータとロサンゼルス フィルハーモニックと一緒に「Batuka」を演奏したんだ。彼らはレナード・バーンスタインの曲を習うためにテープに録音したものを送ってくれたんだよ」。
コークとカラベロは、「No One To Depend On」という曲のパートをバンドに持ち込みました。これは、ウィリー・ボボの曲「Spanish Grease」にいくつかの要素が絡んいるサウンドでした。彼らはローリーのミルバレーの自宅でコラボレーションします。ローリーは雷鳴のような中間部分を書きましたが、うねるファンク・ロックのリフが満載で、すぐに観客のお気に入りとなりました。これは2枚目のシングルとなり、サンタナのチャチャチャに対する独自の解釈を示しています。「Taboo」は、グレッグ・ロリーがリハーサルで頻繁に演奏していた曲で、バンドはこの官能的な曲を雰囲気のあるアンビエントなレコーディングへと最終的に発展させました。カルロスのギターとローリーのボーカル、アウトロもニール・ショーンの鋭いフレット・ワークがあるおかげで焼けつくようなクライマックスに達し、優美さと絡み合った秀逸な演奏となっています。ここでは、サンタナがスタジオを聴覚的な楽器として扱っていることがわかります。 「No One To Depend On」 はディレイされた逆方向のエコーで終わり、「Taboo」は力強い大きな音でクライマックスに突入します。サウンドは強化され、よりオープンになり、スタジオ・エフェクトが統合的に使用されています。 ジミ・ヘンドリックスのプロデューサーとして密接に協力したエディ・クレイマーがいくつかの曲のエンジニアリングを担当しましたが、クレジットにはグレンコロトキンとサンタナのミュージシャンとなっています。
「Toussant L'Overture」(過激なピアニスト、アルベルト・ジャンキントがハイチの革命家にちなんでそう名付けました)は、サンタナのレコーディング史上の頂点となろう曲です。 最初のアルバムの頃からジャムセッションされて培われ完成したサウンドで、 激しく煙を上げる中、熱烈なイントロにおいてカルロスの恍惚としたソロをフィーチャーし、その後カラベロとチェピートの熱いパーカッション・ブレイクが続きます。フィナーレは、ロリー、ショーン、サンタナによる泣き叫ぶようなブレイクで盛り上がり、突然終了します。耳をつんざくような静寂が残り、音楽の偉大さのみが響き渡ります。
「Everybody's Everything」は最初のシングルで、ソウルベースの雰囲気を纏っており、ソウル・ファンク好きには堪らない楽曲です。イーストベイのタワー・オブ・パワーのホーン・セクションが参加しているのも特筆です。また、ショーンの狂ったワウワウペダルを駆使したソロが、チェピートの泡立つドラムをさらに引き立てているのも特徴的です。
「Guajira」はサンタナのまたもやの名曲の一つで、シュリーブはここでの美しく鋭いギターを奏でるカルロスを愛していました。チェピートのベースのイントロから始まり、4/4から6/8に変化する中でのカルロスの演奏は絶妙です。お隣さんのリコ・レイエスが、心に残るソウルフルなスペイン語のボーカルを提供しています。彼はハワイでデビッド・ブラウン、チェピートと共作しています。「Guajira」において、グレッグ・ローリーは、もう一人の熟練したラテン系ミュージシャンであるマリオ・オチョアが提供したサルサ的ピアノ・ソロを導入しています。
「Jungle Strut」は、当時のヒップなファンク・ドラマー、バーナード・パーディが参加した、ジーン・アモンズの今聴いてもオシャレーなサックス・ソウル・ジャズ・インストゥルメンタルが元です。シュリーブはデヴィッド・ガリバルディ(タワー・オブ・パワーのドラマー、プリンスも彼のドラムをサンプリングしたことがあります)と共にファンクの限界を探求し、サンタナはそれを沸騰するパーカッション・セクション上において、マルチ・ソロの別の手段として使用しました。
実験的なサンタナ・バンドのさらなるスナップショット、「Gumbo」は、2元的ギターファンクのインタールードを備えた観客を熱狂させ得るに違いない曲で、ステージではカラベロとデヴィッド・ブラウンがタンバリンで踊ったりしています。尚マイク・カラベロは、「Gumbo」がスライ・ストーンとドクター・ジョンの『Gris Gris』の両方から影響を受けていると証言しています。
レコーディングを締めくくる最後から2番目のトラックは、カルロス作の繊細曲「Everything Is Coming Our Way」で、これまでのすべての音楽とは対照的でありながら、それらを補完するものでもあります。カルロスの指示を受けたグレッグ・ローリーは、カルロス自身の痛むボーカルを解消するのに役立つ渦巻くハモンド・オルガン・ソロを入れています。 コーク・エスコベートはティト・プエンテの「Para Los Rumberos」のフレーズを導入、激しいパフォーマンスの中にルイス・ガスカが熱いトランペットの華麗な音色を奏で、アルバムを最高の状態で締めくくっています。
「Folsom Street」は新しく作られたコロンビア・スタジオの場所にちなんで名付けられましたが、実はライブで演奏されたことはありません。ゆったりとしたリズムと堅実なバンド演奏が特徴のレア曲です。
サンタナはその後すぐに問題に遭遇し、絶え間ないツアーと経営不行き届き、それに続く音楽の方向性に関する意見の不一致が、偉大な音楽グループの1つを台無しにすることとなります。
これらの音楽革命家にとって、時代の移り変わりは、わずか3年ほど続いたジェットコースターのような生活となって翻弄されていきました。しかしその年月はオリジナルのサンタナの遺産にとって素晴らしき時間であり、彼らのインスピレーションに満ちた音楽は時代を超えて時の試練に耐え続けています。
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