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スイング・アウト・シスター / London 1989 (1CDR)
¥990
スイング・アウト・シスターのセカンド『Kaleidoscope World』リリース時のロンドンでのライブを完璧サウンドボード録音で収録! キーボード担当のアンディ・コーネル 、ドラムのマーティン・ジャクソン、そして後から加わったヴォーカルのコリーン・ドリュリー で84年に結成、バンド名は、45年のアーサー・トリーチャー主演映画『Swing Out, Sister』から採られました。86年末に発売したシングル「Breakout」はイギリスチャート4位そしてアメリカチャート6位、続くジョン・サーケルのトランペット・ソロが使われた「Surrender」 はイギリスチャート7位、ジャズ調の「Twilight World」、ピチカート・ファイブを予見させる陽気なポップ「Fool By A Smile」と、ジャズとテクノポップを巧妙にブレンドした名曲だらけのファースト・アルバム『It's Better To Travell』はイギリスチャート1位になっています。セカンド・アルバム『Kaleidoscope World』でマーティンが脱退、デュオとなりますが、サウンドはオーケストラを取り入れてよりオーセンティックな音楽となっていき、そのサウンディングがこのロンドンでのライブでも強く感じさせます。そんな豊潤さはファースト・シングル「You On My Mind」のオープニング演奏に既に彼らの自信と共に現れています。イントロからじわじわと「Breakout」の世界に誘導する巧みさや、後半の男性ボーカルをジャジーに歌わせた展開も最高です。それでも終始全くぶれないコリーンの艶やかで誠実なボーカルは、安心感と心地良さを同時にリスナーに与えてくれます。一つの到達点なったライブです。 Live at The Royalty Theatre in London 3rd December, 1989. 01. You On My Mind 02. Twilight World 03. Precious Words 04. Forever Blue 05. Fooled By A Smile 06. Breakout (introduction) 07. Breakout 08. Surrender
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ジャクソンズ / Alternate Victory (2CDR)
¥1,490
歴史を塗り替える大ヒットとなるアルバム『Thriller』。そこからのラスト・シングルはそのタイトル曲でした。83年末の「Thriller」の画期的なショート・フィルムの公開は、ソロ活動中だったマイケル・ジャクソンの人気が頂点に達した時だったと言えるかもしれません。その頃マイケルがいるグループ、ジャクソンズは、契約切れだった父ジョーがマネージャーに復帰して、83年末にアルバムのレコーディングを本格的に開始します。『モータウン 25: Yesterday, Today, Forever』でそれまでモータウンでソロ活動していたジャーメイン・ジャクソンがグループに(一応)戻ることとなり、ジャクソンズは6人になっていました。84年2月にアルバムリリース予定と報じられていましたが、7月とずれ込んでしまったジャクソンズのアルバム『Victory』を、今回色々な音源よりその魅力に迫ります。 Disc 1、まず『Victory』の独自解釈オルタネイト・アルバムを収録しました。 84年8月にセカンド・シングルとしてリリースされ『Victory』のオープニング曲である「Torture」は、83年11月に長男ジャッキー・ジャクソンによって書かれ、モータウンのライター、キャシー・ウェイクフィールドが作曲サポートをしています。当初ジャッキーがマイケルと一緒にボーカルを録音する予定でしたが、最後の最後まで 『Victory』に参加するか不明瞭だったジャーメインが、結局ジャッキーの代わりにボーカルを取ることになります(ジャッキーが歌う部分も残っています)。 ジャクソン5時代は、ジャクソン家5男のマイケルだけでなく3男ジャーメインがリードを取る曲があり、子供のマイケルなんかよりもジャーメインよ、という女の子が少なくありませんでした(アマチュア時代にはジャーメインがリードを取っていましたし、マイケルはジャーメインを真似することからシンガーを始めています)。75年にベリー・ゴーディの娘とジャーメインは結婚、モータウンに残ることになり、ソロでアルバムをリリースしていきます。一方エピックに移籍してマイケルが主軸となったジャクソンズは、セルフ・プロデュースを行うようになってからの78年に「Shake Your Body」のヒットが生まれ、79年ソロでの『Off The Wall』が成功、80年の『Triumph』はR&Bアルバム・チャートで、ジャクソンズ名義では初となる1位獲得を果たします。ジャーメインも「Let's Get Serious」が80年のR&B年間チャート一位となるヒットがありますが(ちなみに2位はマイケルの「Rock With You」でした)、マイケルはメガトン級の大ヒット『Thriller』をリリースして、大きく水をあけることになります。 そんな二人が互いにリードを取る曲、それが「Torture」です。「君が愛のないナイフで僕を傷づけてもこの想いは止められない」、それを「拷問」としている歌ですが、デュエット用というより一人称の曲となっています。しかしジャーメインが「歩み続けろと言われたが、僕はここに来るべきではなかった」、そしてマイケルが「彼女は無意味に階段を上っている」と歌っていて、二人の関係性も匂わせている歌詞になっています。 また「Torture」のPVはマイケルがアイデアを出し「Thriller」のようなホラー映画風に仕上がっていますが、当のマイケル、そしてもう一人の主役のジャーメイン、二人が出演していません。しかしマイケルだけは蝋人形で登場します。結果6人ではなく、ジャクソン4+1(人形)となっています。ジャクソンズだと思われる骸骨も映されますが、それも5体です(その内の1体はムーンウォークのような動きをしています)。もしかするとPVはジャッキーとマイケル用に用意していたのかもしれません。撮影は大変費用がかかったにもかかわらず、ポップで17位。PV制作会社はそのためなのか破産してしまったそうです。 ここでは12インチ・バージョンにイントロ、アウトロの風が吹く音が入っている「Torture」のPVバージョンを収録しました。 『Victory』セッションより前に、フレディ・マーキュリーとマイケルは「State Of Shock」、「There Must Be More To Life Than This」そして「Victory」の3曲を録音しています。しかし残念ながら「Victory」のみがリークしておりません。ただその曲はマイケルが思い付きで作ったスロー・バラードが元で、フレディと二人で曲に発展させました。メインボーカルはマイケル、フレディがバックボーカル、最後のパートでは二人が共に歌の掛け合いを行っていると言われています。しかし二人のスケジュールの関係で完成とはなりませんでした。アルバム『Victory』にはタイトル曲が収録されていません。そしてアルバムのタイトルはマイケルが考えたのものです。 「私たちが実際に一緒に書いて残されているのは「Victory」という曲で、その後マイケルがジャクソンズのアルバムのタイトルとして使用されたんだ。曲を作ったのはそれより前だったよ。おかしなことだけど、その曲は凍結されてしまっていると思う。私たちが実際に一緒に書いた唯一の時(曲)だったということで。それでデモができて、とてもいい感じになっていたんだけど。」フレディ・マーキュリー、「A Musical Prostitute: Freddie Mercury Interview」、84年 実はマイケルはフレディーとの「Victory」をアルバム収録の候補としてジャクソン兄弟に提示していたという話があります。そしてその「Victory」を特に気に入ったのがジャッキーでした。ジャッキーはアルバムのプロデューサーの一人デヴィッド・ペイチと共に、マイケルが歌っているヴァースの歌詞、コード進行に変更を加え、マイケルとフレディーが共に歌う部分の歌詞、構造、コード進行はほとんどそのままにしつつ、クイーンのアルバム『Hot Space』収録のドラマー、ロジャー・テイラーの曲「Action This Day」にインスピレーションを得て、曲のテンポを速めてダンサンブルな曲調に変えました。そしてスティーヴ・ルカサーがクイーンのギタリストのブライアン・メイ風ギターソロを入れて、完成したのが「Wait」です。その曲のクレジットにはジャッキーとペイチのみで、マイケル、フレディの名はありません。リード・ボーカルはジャッキーですが、終盤マイケルとジャーメインの掛け合いがあります。「Wait」は一部の国で4番目のシングルとなりましたが、実際素晴らしいダンサー曲となっています。マイケルは原曲と異なっている、ジャッキー達のアレンジ力を評価し、クレジットを辞退したのかもしれません。でもフレディは...単に気が付かなかっただけなのでしょうか。謎です。 ここでの「Wait」は、マイケルのボーカルをAI処理により前に出して、ジャッキーとマイケルのデュエット風にしたバージョンを収録しました。 3曲目「One More Chance」の美しいミディアム、6男ランディの作です。キーボード、ドラムもランディ、歌もランディ、パーカッションを除いてほぼランディ一人でやっていて、その姿勢はプリンス的です。93年のジャネット・ジャクソンの『Janet.』からのシングル「If」のカップリング曲に「One More Chance」のカバーがあり、今回その音源を巧妙に編集しランディとジャネットのデュエット曲にしたバージョンを収録しました。 4曲目「Be Not Always」は4男マーロンとマイケルが作曲です。グレッグ・ポレーによるアコースティック・ギターを中心に、美麗なバラードをマイケルが一人で歌っています。ここではファンメイドの9分のロング・バージョンを収録しました。 5曲目、マイケルと、右利きのジミヘンと呼ばれていたランディ・ハンセンとの共作「State Of Shock」は、84年6月18日にアルバム先行ファースト・シングルとしてリリースされ、マイケルとミック・ジャガーのツイン・ボーカルによるハード・ロック・チューン、絶対大ヒットの宿命を帯びていました。しかし蓋を開ければポップ3位。PVが無かったのが一位になれなかった理由なのかもしれません。というのも7月7日にプリンスの「ビートに抱かれて」がナンバーワンとなり、そこから5週連続一位。そしてその直後8月11日に今度はレイ・パーカー・Jrの「Ghostbusters」が3週連続一位となるのです。両方ともPVを作っていますし、何よりショート・フィルムどころか映画と結びついてのヒットです。「Torture」も「Body」もマイケル、ジャーメインがPV出演していなかったので、MTV、映像の時代だというのに、軽んじ過ぎていた結果の小ヒットだったのではないかと思われます。 「State of Shock」は83年5月か6月頃にヘイヴェンハーストでクイーンのリード シンガー、フレディ マーキュリーとのデュエット曲として一度録音されています。そのデモには、デヴィッド・ウィリアムズのギターとベース、リンドラム、そしてレコーディングセッション中にマイケルが個室で(原文はin a closet)ドラムを叩いていると、ビル・ボットレル (トラックのミックスを担当) は述べています。確かにプリンス的なリンドラムが「State Of Shock」に入っていますが、『Victory』のクレジットにそれがマイケル・ジャクソンだと書かれています。 当時のフレディのパーソナル・アシスタント、ピーター・フリーストーンが「「State Of Shock」はすでにレコーディング済で、フレディは単にそれにボーカルを加えただけだった、残念ながら、2人は仕事の都合で一緒に取り組んだ曲を最後まで完成させることはなかった」と語っています。マイケルは最終的にローリング・ストーンズのミック・ジャガーと共にこの曲を完成させます。このバージョンでは、オリジナルの16トラックのデモ (フレディとのデュエット・バージョン) の基本トラックがそのまま残され、ボーカルとパーカッションがオーバーダビングされています。 ここでは、マイケル、ミック、そしてフレディの3人の夢の共演「State Of Shock」を作成、収録させました。 6曲目「We Can Change The World」は次男ティトの作曲で、リード・シンガーもティトです。ベースがルイス・ジョンソンとネイザン・イーストの二人で、リズム・ギターがデヴィッド・ウィリアムス、パーカッションがTOTOにも参加していたレニー・カストロです。そしてティト自身もキーボード、リンドラム、ギターをプレイ、バンド・サウンド寄りに仕上がっています。 ここではアルバム・バージョンを収録しました。 7曲目「The Hurt」はマイケルとランディ、そしてデヴィッド・ペイチ、スティーブ・ポーカロの作。リード・シンガーはファルセットのランディで、バッキング・ボーカルはジャーメイン、マイケルを含む他のジャクソンズ兄弟が担当。TOTOのメンバーの支えでブリブリ且つスイングさのあるキーボード・ワークをランディが中止に表現していますが、とても出来の良いダンス・チューンとなっています。それでも作曲に絡むマイケルの声が欲しい所ですね。 ここではAI処理でよりマイケルの声をフィーチャーしたバージョンを収録しました。 8曲目「The Body」はマイケルと共に『Victory』を最後にグループを離れるマーロンによる作品で、サード・シングルとなりました。バッキング・シンガーにジャーメインがおらず、PVも制作されましたが、マイケルは多忙からなのか出演しておらず、これがシングルに選ばれた理由は不明です。しかしマーロンの味のあるボーカルとダンスフロアを沸かせるに十二分に足りる軽快なサウンド、特にギターがヤバく、中間の爽やかなグレッグ・ライトのソロ、途中から入ってくるデヴィッド・ウィリアムスのギター・カッティングの心地良さに聴き手は踊らざるを得ません。ジャーメインが参加して、マイケルと共にPVを作っていたら、ワンチャン一位があったかもでした。ポップで47位、R&Bでも39位。 ここでは12インチ・バージョンを収録しました。 そしてDisc 1後半、Disc 2に渡って『Victory』でシングルとなった7インチ、12インチのバージョンを全て収録しています(オルタネイト・アルバムの方に収録しているのはダブりとなるため入れていません)。また「Torture」のマイケルだけが歌っているようにAI処理したバージョンや、Disc 2では「The Hurt」のファンメイドのExtended Version、「Body」のマイケルだけが歌っているようにAI処理したバージョンも収録しています。また長男ジャッキーがグレッグ・フィリンゲインズに提供した「Playing With Fire」のアルバム・バージョンと12インチ・バージョンも時期的に『Victory』セッションなので収録しています。 そして「State Of Shock」のマイケルとフレディによるデモも収録。83年より始めたフレディーとのセッションでマイケルは「There Must Be More to Life Than This」を共に録音しています。この曲はフレディ・マーキュリーが作曲し、82年クイーンのアルバム『Hot Space』用にバンドと共に録音されていましたが、完成とまで至らずお蔵入りにしていました。その2年前、マイケルとフレディはクイーンのThe Game Tourのバックステージで初めて出会って以来、連絡を取り合っていましたが、フレディはマイケルのロスのスタジオを訪れ、マイケルのボーカルで録音したもののやはり未完成となった、ということです(後にクイーンで84年の『The Works』用に再録音しましたが、未完成となったそうです)。しかしマイケル・ジャクソンがフィーチャーされていない状態で、フレディの85年のソロデビューアルバム『Mr. Bad Guy』に収録されることになります。しかし83年のセッション音源がリークしています。それがマイケルだけが歌っているバージョンです。そしてそのピアノのバッキングはフレディによるものです。フレディがマイケルに指示する声も入っています。「なぜ白か黒かだけで判断しようとするの?見たもの以上のものが人生にあるんだ」というフレディの気持ちがこもった歌詞はマイケルにとっても共感できたことでしょう。しかし二人が歌っているバージョンもリアルに存在し、それがGolden Duetという、ハモりもある二人の歌が完全溶け込んだ素晴らしいバージョンで、それも収録しています。そして『Mr. Bad Guy』のフレディのピアノ中心のバージョン、クイーンのメンバーで作られたバンド・バージョン、そしてマドンナ等のリミックスを手掛けているウィリアム・オービットによるバージョン、これはクイーンによるバッキングに、フレディ、そしてマイケルのボーカルがある、コンプリート・テイクと呼べるものです。 Disc 1 1.Torture (Music Video Version) 6:19 2.Wait (Feat. Michael Jackson AI) 5:27 3.One More Chance (Feat. Janet Jackson) 5:18 4.Be Not Always (Long Version) 9:00 5.State Of Shock (Michael Jackson, Mick Jagger & Freddie Mercury Trio Version) 5:02 6.We Can Change The World 4:46 7.The Hurt (Feat. Michael Jackson AI) 5:29 8.Body (12" Version) 5:49 9.Torture (Michel Jackson Solo Version AI) 4:55 10.Torture (7" Version) 4:31 11.Torture (12" Version) 6:15 12.Torture (12" Version Instrumental) 5:06 13.Wait (7" Version) 4:21 Disc 2 1.State Of Shock (7" Version) 4:07 2.State Of Shock (12" Version Dance Mix) 5:40 3.State Of Shock (12" Version Instrumental) 4:40 4.The Hurt (DJT Extended Version) 6:38 5.Body (7" Version) 4:23 6.Body (7" Version Instrumental) 4:16 7.Body (12" Version Instrumental) 6:46 8.Body (Michael Jackson Solo Version AI) 5:07 9.State Of Shock (Michael Jackson & Freddie Mercury Demo) 4:43 10.There Must Be More To Life Than This (Michael Jackson Solo Demo) 2:04 11.There Must Be More To Life Than This (Golden Duet Version) 2:55 12.There Must Be More To Life Than This (Freddie Mercury Version) 3:01 13.There Must Be More To Life Than This (Queen Version) 3:25 14.There Must Be More To Life Than This (William Orbit Mix) 3:27 15.Greg Phillinganes - Playin With Fire 4:45 16.Greg Phillinganes - Playin With Fire (12" Version) 6:37
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ヴァリアス・アーティスツ / Motown Returns To The Apollo (1DVDR)
¥990
85年に行われた『アポロ劇場50周年記念コンサート』を2時間21分、 日本語字幕が入るため、曲間のMC、ビル・コスビ―のコメディアンのネタがわかるのが嬉しいです。 まずデバージの「Rhythm Of The Night」で幕開け。ジョージ・マイケルの「Careless Whisper」をスモーキー・ロビンソンも歌い素晴らしいデュエットで観客を早くも魅了します。続くはマンハッタンズ、76年のアメリカを含む各国でナンバーワンとなった「涙の口づけ」、55年のポップ17位となったザ・キャディラックの「Speedoo」、64年ポップ4位、後に沢山のカバーを生む「Under The Boardwalk」、そして60年ポップ16位の「The Magic Moment」をザ・ドリフターズが歌います。 その後テンプテーションズが登場、71年の『Solid Rock』収録のアップテンポなファンキ―・チューン「Superstar」、そこへフォートップスも現れロックさを加味した「Something About You」を歌います。しかし彼らはテンプスの「Papa Was A Rolling Stone」も君らの歌だが下がってくれとステージをジャックして歌ってしまいます。テンプスはならばとフォートップスの初のポップ20ヒット(11位)「Baby I Need Your Loving」を歌いステージを奪還。わかったよと今度はフォートップスが「I Can't Help Myself」、テンプスがポップで8位となった「I Know I'm Losing You」を歌って、その2曲が混ざり合う感じで演奏が終わり2組は仲直り。最後ベリー・ゴーディJr.が曲提供をしモータウン・サウンドの原型となったソウルのパイオニアの一人ジャッキー・ウィルソンの「Higher And Higher」をアリ・オリ・ウッドソンが中心に歌って大団円となります。 そして初期にレーベルのトップ・スター達が集結したモータータウン・レビューズをダイジェストながら流し、それをここで再現するんだとスモーキーがビルに語ります、まず登場するのはレーベルの女性スター第一号メリー・ウェルズの62年スモーキーがプロデュースでポップ7位のヒットとなった「Two Lovers」を披露。そして67年ハード・ドライブ・ロックなポップ4位のフォートップスの「Bernadette」、65年ポップ8位マーサ・リーヴスのグルービーな「Nowhere To Run」、そして声のピッチを上げて子供声にしてのリトル・スティービー・ワンダーの「Fingertips」(モータータウン・レビューの7分のライブ演奏からの音源が両サイドに収録されてリリースされ、ポップR&B1位の大ヒットとなりました)をシングルのようにライブ演奏して観客を沸かせます。ミラクルズの59年の「You Can Depend On Me」ではビル・コスビ―の変な踊り、続くポップで8位の「Goin' To A Go-Go」でも変な踊りは続きます。 スターサーチでウィナーとなった「Over The Rainbow」をサム・ハリスが、そしてナイル・ロジャースがギター、ロッド・スチュワートが歌のオーティス・レディングの「Dock Of The Bay」はカッティングが入ってファンクさがあり面白いアレンジです。 デューク・エリントンのピアノ・プレイの映像からスティービー・ワンダーがピアノの「Sir Duke」のバンド演奏は最高の演出。そしてビリー・プレストンがピアノ、ジョー・コッカーとパティ・ラベルの白熱の歌の共演「You're So Beautiful」は大盛り上がりとなります。 そしてミュージカルのステージとなり、主役級しか入れないコーラスラインに、ドラマ『Fame』で有名なデビー・アレンの華麗なダンス、マリリン・マック―の29年映画『On With The Show』等で使われた「Am I Blue」での美声、ベッシ―・スミスで有名な「Gimme A Pigfoot」をジェニファー・ホリデイが、「Don't Leave me This Way」のカバーでオリジナルを超えるヒットとなったテルマ・ヒューストンはダイナ・ワシントンの「What A Difference A Day Made」を歌います。そしてアフリカ系アメリカ人初のミス・アメリカとなったヴァネッサ・ウィリアムスは「ばら色の人生」、彼女は後の92年「Save The Best For Last」でポップ、R&B共にナンバーワンの大ヒットを生み出します。ボビー・ブランドの「God Bless The Child That's Got His Own」(神は自立できる子供こそを助ける)をデビー・アレンが歌い、大団円を迎えます。 続くはニュー・エディションのポップ4位の「Cool It Now」、華麗なダンスに注目です。スティービー・ワンダーとボーイ・ジョージ、バックにはスモーキーら重鎮がコーラスでの「Part Time Lover」はボーイがちょっとアウェイさを感じさせますが健気に乗り切ります。 サザン・ソウルの雄アトランティックのウィルソン・ピケット「In The Midnight Hour」、名コンビ、バート・バカラックとハル・デビッドの曲を初めて歌ったR&Bシンガーのチャック・ジャクソンの「Any Day Now」、ビリー・プレストンがピアノ、歌うはプリンスも影響を受けたリトル・リチャードで黒人霊歌「Didn't It Rain」を披露。 そしてグレゴリー・ハインズが名タップダンサー、テディ・ヘイルを偲び踊ります。「Joy Joy Down In My Heart」はリトル・リチャード、メイビス・ステイプルス、そしてアル・グリーンとリレーで歌われ、ニュージャージー聖歌隊も雪崩れ込んでの大ゴスペル大会となります。そしてパティ・ラベルが前に出ての涙ながらの「You'll Never Walk Alone人生ひとりではない」(サッカークラブのサポーター達に歌われ人気を博しています))の大熱唱が圧巻です。 アマチュア・コンテストで優勝した時の曲と演奏後に、そうMCをするサラ・ヴォーンの「Body And Soul」。アドリブをボーカルで行った最初の人がサラですが、彼女が観客の一人だったのよと紹介したのがかのビリー・エクスタイン(ビバップ、即興演奏、つまり演奏を楽しむための音楽、それを作り出した立役者です。アート・ブレイキー、チャーリー・パーカー、マイルス・デイヴィス、そしてサラ・ヴォーンを世に送り出した人物)で、彼と二人で「Dedicated To You」を。「もし私があなたのために本を書くとしたら、私に名声と富をもたらすわ。その本は私の心そして私のようなもの。だからあなたにそれを捧げるわ。もし僕が絵を描くとしたら、君の愛らしさを表現するよ。僕の芸術は僕の心と僕自身。君にそれを捧げよう。あなたの愛は私の道を照らす灯台だから。あなたと一緒なら人生はただ一つの天国の場所になるかもしれないと知っているから」。歌って二人はキス。 そしてジェームス・ブラウンが「Please Please Please」でのマント・ショウ。テンプテーションズのリード・ボーカル、デヴィッド・ラフィンの兄ジミー・ラフィンが66年夏にリリース、ポップ7位のヒットとなった「What Becomes Of The Brokenhearted」をルーサー・ヴァンドロスとボーイ・ジョージがデュエット。 そして僅か6歳で弾けるようなタップを披露するサミー・デイヴィス・Jr.、ピアノの上でタップするバック・アンド・バブルス、ムーンウォークのエッセンスが既にあった感のティップ、タップ&トゥ、ジェームス・ブラウン、そして何よりプリンスのダンスネタが詰まったベリー・ブラザース等、古き良きダンス映像、そしてサミー・デイビス・ジュニアが登場し、名タップダンサーがステージで披露しますが、特にジミー・スライドの滑るようなダンスがとてもムーンウォーク的です。そしてやっぱり切れが一番良いのがサミーです。 コモドアーズは84年1月21日に49歳の若さで肺炎で亡くなったジャッキー・ウィルソン、そして4月1日にはマーヴィン・ゲイもこの世を去り、モータウンの仲間だった二人を追悼、「Nightshift」を披露します。ジャッキー・ウィルソンへの思いはライオネル・リッチー脱退後加入したJ.D.ニコラスが歌です。それを受けてエル・デバージがジャッキーの「Lonely Teardrops」を披露。そして飛行機事故で亡くなったオーティス・レディングの「Try A Little Tenderness」はビリー・プレストンが、銃殺されて亡くなってしまったサム・クック、彼の「You Send Me」はサムの高校時代の同級生だったルー・ロウルズが披露。そしてマービン・ゲイへの想いをウォルター・オレンジが「Nightshift」で伝えると、それを受けてルーサー・ヴァンドロスが「How Sweet it Is」を歌います。 いよいよフィナーレが近づいてきました。スティービーがテクノロジーが進化して便利になったのになぜ憎しみ合うことは無くならないのか、とMCをすると「Love's In Need Of Love Today」をジョージ・マイケルとプレイします。「今日、愛は愛を必要としている、もう待ったなし、愛を送ってください」。そしてフィナーレ曲はフォーリナーの84年のナンバーワン曲、「I Want To Know What Love Is」。なぜこのロック・バラード曲が選ばれたのでしょう。愛とは何なのか、わかったようでわからない、ある種哲学的な歌詞が理由でしょうか。オリジナルではニュージャージー聖歌隊、『ドリームガールズ』のエフィ役だったジェニファー・ホリデイが参加しているから?とにかくとても素晴らしいクロージングで、ダイアナ・ロス、そしてパティ・ラベルが登場し、更に出演者が歌い繋いでいきます。 Intro El Debarge - Rhythm Of The Night George Michael & Smokey Robinson – Careless Whisper Manhattans – Kiss And Say Goodbye The Cadillacs - Speedoo The Drifters - The Magic Moment The Drifters - Under The Boardwalk The Temptations – Superstar Four Tops - Something About You Four Tops - Papa Was A Rolling Stone The Temptations – Baby I Need Your Loving Four Tops - I Can't Help Myself The Temptations - I Know I'm Losing You The Temptations - Higher And Higher Motortown Reviews - Martha Reeves and The Vandellas, The Contours, The Supremes, Marvin Gaye, Little Stevie Wonder, The Marvelettes, Mary Wells, Smokey Robinson and The Miracles Mary Wells - Two Lovers Four Tops - Bernadette Martha Reeves - Nowhere To Run Little Stevie Wonder – Fingertips Smokey Robinson - You Can Depend On Me Smokey Robinson - Goin' To A Go-Go Sam Harris – Over The Rainbow Rod Stewart – (Sittin' On)The Dock Of The Bay Stevie Wonder – Sir Duke Joe Cocker & Patti Labelle - You're So Beautiful Debbie Allen – Tall, Tan, Teasin' Marilyn Mccoo - Am I Blue Jennifer Holiday - Pigfoot And A Bottle of Beer Thelma Houston– What A Difference A Day Made Vanessa Williams - La Vie En Rose Debbie Allen - God Bless The Child New Edition - Cool It Now Stevie Wonder & Boy George – Part-Time Lover Wilson Pickett – In The Midnight Hour Chuck Jackson - Any Day Now Little Richard - Didn't It Rain Gregory Hines – Tribute To Teddy Hale Little Richard, Mavis Staples & Al Green - Joy Joy Down In My Heart Patti Labelle - You'll Never Walk Alone Sarah Vaughan - Body And Soul Sarah Vaughan & Billy Eckstine - Dedicated To You James Brown – Please, Please, Please Boy George & Luther Vandross – What Becomes Of The Broken Hearted Sammy Davis Jr., Buck & Bubbles, Bill Bojangles Robinson, Nicholas Brothers, Berry Brothers, Coles & Atkins, Peg Leg Bates & Little Buck, Sammy Davis Jr. & the Will Mastin Trio Bunny Briggs, Chuck Green, Gregg Burge, Ludie Jones, Jimmy Slyde, Sandman Sims, Harold Nicholas, Sammy Davis Jr. Commodores – Nightshift El Debarge - Lonely Teardrops Billy Preston - Try A Little Tenderness Lou Rawls - You Send Me Luther Vandross - How Sweet It Is Stevie Wonder And George Michael – Love's In Need Of Love Today Diana Ross And All Members – I Want To Know What Love Is Pro-shot 141min.
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ミーターズ / Tipitina's 1979 Remaster (2CDR)
¥1,490
77年リプリーズからの『New Directions』で解散したミーターズ。リーダーのアート・ネヴィルは兄弟たちとネヴィル・ブラザーズを結成します。しかし解散から2年後の79年1月20日に地元ニューオリンズのティピティナズで、アートとパーカッションのシリル・ネヴィルの代わりのメンバーを加えてミーターズ名義で行なった幻のライヴがステレオ・サウンドボードで存在します。今回DATマスターからのデジタル・ソースと、長年いつ行われていたか不明だったトレーダーのCDRをチェックしたら、時折リード・ヴォーカルでウィリー・ウエストが歌っていたため特定出来たもう一つの音源、二つを使って様々なリマスタリングを施し超高音質の2CDRになっての画期的なリリースです。ベースのジョージ・ポーターJr.とドラム、そしてリード・ヴォーカルとなったジョー・ジガブー・モデリスト、ギターのレオ・ノセンテリ、そして前述した60年代からニューオリンズで活躍している伝説のシンガーのウィリー・ウェストと、アーマ・トーマス、ジョニー・アダムス、ソロモン・パークらのバンドに参加していたニューオリンズ屈指の職人キーボード奏者のクレイグ・ローテンを加えた特殊編成となっています。ミーターズの代表曲をアートなしでまた違った魅力でプレイしている、ニューオリンズ・ファンク土壌由来の醍醐味が味わえる素晴らしいタイトルです。 Tipitina's New Orleans, La., USA January 20, 1979 Disc 1 01. Just Kissed My Baby 11:18 02. Got Me Someone Else (And I Just Don't Need You) (?) 5:03 03. The Funky Soldier (Keep On Marchin') 7:09 04. Funkify Your Life 12:26 05. Africa 5:57 06. People Say (first version) 5:11 Disc 2 01. Fire on the Bayou 12:45 02. Ain't No Use 8:24 03. Drums 2:11 04. Bass 2:08 05. jam 5:32 06. People Say (second version) 7:24 Zigaboo Modeliste, drums, lead vocals George Porter Jr., bass, vocals Leo Nocentelli, guitar, vocals Craig Wroten, keyboards, vocals Willie West, vocals (occasional lead vocals)
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リサ・スタンスフィールド / All Around The World 2001 (1CDR)
¥990
リサ・スタンスフィールドの5枚目のアルバム『Face Up』リリース時の01年6月27日、BBCラジオ・シアタ―でのライブを最強のサウンドボード録音で収録!ソングライターとしてのセンスが抜群の彼女、楽しんで作ったという『Face Up』からのタイトル曲や「8-3-1」、「Let's Just Call It Love」、「How Could You?」、実はこれらがUKソウルとして隠れ至高となっていて、それらがライブ・アレンジで聴けるのが嬉しい限りです。そして彼女のヒット曲も当然歌ってくれており、古くは89年コールドカットの「People Hold On」、ナンバーワン・ヒット「All Around The World」の絶対的名曲マナー、映画『ボディーガード』のサントラでUKトップ10となった哀愁の「Someday(I'm Coming Back)」や97年UK9位の「The Real Thing」、後インコグニート的ダンスの「Change」といった代表曲をフィジカルにライブ披露。ダンス・ポップなシンガーでありながら適度なソウルフルさがとても心地良い、そんな一度聴いて魅力を知って頂きたい素晴らしいライブとなっています。 live at the BBC Radio Theatre, 27th June 2001 1. 8-3-1 4:23 2. The Real Thing 4:09 3. Face Up 4:58 4. So Natural 5:21 5. Let's Just Call It Love 4:13 6. How Could You? 4:38 7. Change 5:31 8. Someday(I'm Coming Back) 3:59 9. All Woman 5:48 10. Live Together 4:56 11. People Hold On 3:53 12. All Around The World 4:57 Lisa Stansfield - Lead Vocals Ian Devaney - Keyboards, Guitar Dave Oliver - Keyboards John Thirkell - Trumpet Mick Donnelly - Saxophone, Flute Davide Mantovani - Bass Snowboy - Percussion Davide Giovannini - Drums Andrea Grant - Backing Vocals Producers Sarah Gaston and Paul Long
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スティーヴィー・ワンダー / Video Collection (1DVDR)
¥990
スティービー・ワンダーのテレビ・コンピレーションDVDRの登場です。キャリア初期から80年代まで有名映像を幅広く網羅しており、特に日本で放送された映像を率先して収録しているのが嬉しいです。まずエド・サリバン・ショウも日本語字幕入り且つ解説も日本語、そしてクリアな映像です。若きレイパーカーJr.がギターで居るセサミ・ストリートはトークボックスで歌う「Sesame Street Theme」が激ファンキー。「迷信」と紹介され歌詞和訳が入る「Superstition」はゆったりとしたグルーブからスティービーのMayby your babyの叫びより「Maybe Your Baby」の演奏にチェンジし暫くしてまた「Superstition」に戻るスリリングな展開が最高です。そしてローリング・ストーンズの演奏にスティービーが入って彼が主役となっての「Uptight」はレイパーカーが最高のカッティングを入れています。そして「Satisfaction」はミック・ジャガーとスティービーのデュエットで、パーティーのようなステージとなります。ドン・コーネリアスが(世界の7不思議ではなく)8th Wonderと紹介して始まるソウルトレインは、インタビューが日本語訳が入るので、迷信深いより信心深い方が良い等のスティービーの素晴らしい言葉が理解できます。そして出番を待っている間に作ってしまったという「Soul Train」、日本語歌詞が無いので、ここに簡単に記載しておきます。「ソウルトレイン、ドン コーネリアスと共に、ブラザー、シスター、みんなが集まる場所、最高の女性たち、ソウルトレイン・ダンサー、心を自由に、迷信深いのは良くないよ!」。オーリー・E. ブラウンが笛を吹きながらドラミングするのが印象的なMedia Sound Sessionはこの時期の貴重な楽曲をスタジオ演奏してくれています。しかも未発表曲「Fine Young Thing」はワンダーラブのコーラスも溶け込ませた最強のゴスペル・ファンク。ラルフ・ハマーのいぶし銀ギターも冴えます。スティービーのキーボードのフレーズが変化する「Superstition」はスティーブ・マダイオの嘶くトランペット、そしてスコット・エドワーズのベースがグルービーですが、クロージングが特に画期的です。グラミー賞、「お前らは結局何もしやしない」と迫力たっぷりにサウンドで怒る「悪夢」の演奏も良いですが、エラ・フィッジェラルドが居る前で「You Are The Sunshine Of My Life」を演奏する予定だったのに、エラがジャズ・カバーして有名な「A Tisket, A Tasket」をスティービーがサプライズで歌うのには鳥肌です。「ラスタの精通者、師匠」を意味する「Master Blaster」は7月より熱い盛り上がり。American Music Awards 1982では、功労賞を取ったスティービーへ超有名アーティスト達が言葉、そして歌を贈る、それらも日本語訳されていて嬉しいです。どんな人がいるか、是非映像を観てご確認ください。スティービーが感動して泣いていますよ...そんな彼が「音楽は誰にでも理解できる言語がある世界」と「Sir Duke」で彼らに応え、R&Bチャート9週連続1位を獲得した究極ラブソング「That Girl」を歌い、「Superstition」で締めくくります。 Motown 25は綺麗な映像ですが、字幕はありません。以下の完全版収録のDVDRにはあります。 ヴァリアス・アーティスツ / Motown Legacy (2DVDR) https://purpletown.buyshop.jp/items/95395809 84年、85年American Music Awards、オリジナルとなるブレッド&バターの「特別な気持ちで」のI love youも良いですが、スティービーの「特別じゃなくても」のI love youもステキな歌詞「I Just Call To Say I Love You」の演奏、そしてその翌年には真逆に夫婦ダブル不倫の歌「Part Time Lover」をプレイしているという事実も確認できます。 ●Ed Sullivan Show 1964 Fingertips ●Ed Sullivan Show 1968 For Once In My Life You Met Your Match / Alfie ●BBC Lifetime Achievement Awards 1972 You Are The Sunshine Of My Life ●Sesame Street 1972 Superstition Sesame Street Theme ●Wonder Love In 1972 Superstition / Maybe Your Baby ●Rolling Stones 1972 Tour Uptight / Satisfaction ●Soul Train 1972 Signed, Sealed, Delivered, I'm Yours / Interview Superstition Interview / Soul Train ●Media Sound Session 1973 Flip Side / Introduction / Interview All In Love Is Fair Fine Young Thing / Interview Superstition / Interview / Outroduction ●Grammy Awards 1973 You Are The Sunshine Of My Life ●American Music Awards 1974 Superstition ●Grammy Awards 1974 You Haven't Done Nothin' ●Grammy Awards 1978 A Tisket, A Tasket ●American Bandstand's 30th Anniversary Special 1981 Master Blaster ●American Music Awards 1982 Intro / Interview / Tribute Session To S.W. Sir Duke / That Girl / Superstition ●Motown 25th Anniversary 1983 I Wish Uptight / Signed, Sealed, Delievered I'm Yours / My Cherie Amour / Sir Duke / You Are The Sunshine Of My Life ●American Music Awards 1984 I Just Called To Say I Love You ●American Music Awards 1985 Part Time Lover Pro-Shot 124min.
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ラリー・グラハム / Video Collection (1DVDR)
¥990
アップライトベースのスラッピング奏法を応用し、チョッパーベースを開発したラリー・グラハム。彼がスライ・ストーンのオリジナルのベーシストであり、金字塔「Thank You」で初めて彼が披露し一躍注目を集めました。スライとの喧嘩から、その後さほど時間を経ずに、自身のバンドGraham Central Staionを結成し、数多のファンキーな楽曲を作りヒットを連発させています。正直このGCSになってからのが、スライの一連の曲よりも黒く、ファンクしています(一転80年代はバラード主体となってしまうのですが)。ラリー・グラハムの映像、ご存知プリンスと絡み始めた90年代後半からは映像は多いですが、70年代は極端に少ないので、故に誰もがその絶頂期の映像を見たいと切望していました。今回その70年代の映像をかき集めてのリリースです。とにかく前半のGCSの演奏は、スライの骨格をラリーが担っていた、という以上に新しい時代のファンクを切り開こうとした感が暴発してて、鳥肌の連続です。また75年の「Feel The Need」のスタジオクリップ、日本語字幕でバンドを紹介しているので、日本で放送された映像なのでしょうが、大変貴重です。そしてソウルトレインは残念ながら口パクですが、スペース・ファンク「Paw」が最高のビジュアル。97年モントルー・ジャズ・フェスでのライブではスライの妹ローズ・ストーンが参加しています。「The Jam」ではラリーが紹介するのではなく、メンバ―がそれぞれ自分を紹介するという構図はレア。プリンスと共にライブを行い始める前夜とも言うべき映像なので、プリンスとのラリーだけを知るのなら大変興味深い部分が多いです。スライがやった観客置き去りをやるのも必見。そしてプリンスとの代表的映像、99年のSeptimo。ラリーよりプリンスが面目躍如なのですが、それもまあご愛敬です。ラリーのベース・プレイはもちろん、天賦の美声、更にGCSのバンド・アンサンブルに是非鳥肌立ててください。 ●Don Kirshner's Rock Concert 1974 1.Can You Handle It? 2.It Ain't No Fun To Me - Release Yourself ●Music Video 1975 3.Feel The Need ●The Warner Brothers Music Show 1975 4.Your Love 5.It's Alright ●Soul Train 1978 6.My Radio Sure Sounds Good To Me 7.Is It Love? 8.Pow ●Fridays 1978 9.My Radio Sure Sounds Good To Me ●Montreux Jazz Festival July 11, 1997 Featuring Rose Stone 10.Dance To The Music 11.The Jam 12.Thank You (Falettinme Be Mice Elf Agin) ●Septimo, Spain TV, Sep 22, 1999 w/Prince & The NPG 13.The Jam 14.Everyday People - Freaks On This Side Pro-shot 79min.
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アル・グリーン / Video Collection (2DVDR)
¥1,490
69年ハイ・レコードのプロデューサー、ウィリー・ミッチェルと出会い彼ののプロデュースの下、「Tired Of Being Alone」(全米11位)、「Let's Stay Together」(全米1位)、「I'm Still In Love With You」(全米3位)とヒットを連発して、一躍スターとなったアル・グリーン。堂々2枚組のコンピレーションDVDRの登場です。まずDisc1、72年のWNETの番組Soul!の映像、同年の大晦日のイベント(日本語の字幕入り)は大変貴重です。そしてブラスロックバンドのシカゴがリハーサル中に、アルが入ってきて突然歌いだすという奇想天外なショット、ソウル・トレイン、グラミー賞は日本語字幕入りです。そしてDisc2は74年Midnight Specialを放送分完全収録しています。絶頂期の72年から74年までほぼ完璧にコンピレーションしていて最高です。74年に恋人から熱湯をかけられて火傷を負ってしまうアルは、その事で牧師になる事を決め、ゴスペル・シンガーとなります。そして90年のアポロシアターでのライブ映像、日本での放送をとてもクリアに収録していますが、ここでも彼のゴスペル・シンガーとしての素晴しいステージが堪能できます。彼の言葉が日本語字幕でわかります。もちろんアルのヒット曲も歌われ、グイグイ惹き込まれてしまうことでしょう。 DVDR1 98min. ●'Let's Stay Together' PBS TV Soul! WNET Studio, New York, NY, 22-Oct-1972 1.What A Wonderful Thing Love Is (Intro) - Interview 2.Tired Of Being Alone 3.Look What You Done For Me 4.How Can You Mend A Broken Heart? 5.I'm Still In Love With You 6.Judy 7.You Ought To Be With Me 8.Love And Happiness 9.We've Only Just Begun 10.Let's Stay Together ●'New Years Rockin' Eve' 31-Dec-1972 11.Induction - I'm Still In Love With You 12.You Ought To Be With Me 13.Let's Stay Together ●'In The Rockies' 1973 With Chicago 14.Tired Of Being Alone ●'Soul Train' 1973 15.Intro - You Ought To Be With Me 16.Q & A 17.For The Good Times 18.Love And Happiness - Outroduction ●'16th Annual Grammy Awards' 1974 19.Call Me DVDR2 99min. ●'The Midnight Special' 04-Oct-1974 1.Sweet Sixteen 2.Tired Of Being Alone 3.Here I Am (Come And Take Me) 4.Let's Get Married 5.Interview #1 6.Love And Happiness 7.Let's Stay Together 8.Interview #2 9.I'm Still In Love With You ●'Live From The Apollo Theatre' Apollo Theatre, New York, NY, 08-Dec-1990 10.L-O-V-E 11.In The Holy Name Of Jesus 12.I Wanna Be Ready - Sermon 13.Jesus Will Fix It - Sermon 14.Medley : Amazing Grace - Mother Story - Mirror Me - Be With Me Jesus 15.Mighty Cloud Of Joy 16.As Long As We're Together 17.Let's Stay Together 18.How Can You Mend A Broken Heart? - Sermon 19.Lord Will Make A Way 20.Tired Of Being Alone - The Dock Of The Bay Pro-shot Total 197min.
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マイケル・ジャクソン / Thriller Sessions Definitive Edition Vol.5 (1CDR)
¥990
モンスター・アルバム『Thriller』がどのようにして作られていったのか、可能な限り時系列でマイケル・ジャクソンのデモ、オルタネイト・バージョン、未発表曲を並べ検証していきます。今回はその第五弾、最終エディションとなります。 『Thriller』制作中、マイケルとクインシ―ジョーンズの間には創作上の相違が生まれていました。クインシーは当初、「Billie Jean」をレコードに入れたいと考えていませんでした。マイケルが収録することを強く主張したため、クインシーはイントロを短くしたり、タイトルを「Not My Lover」に変更することを提案したりしました。 「優れた曲とパフォーマンスを詰め込んで、ミックスダウンも含めて、全て完璧に行ったが、私たちが手にしたのは「24カラットの“音の糞”」だったんだ。レコードは現実的に制作しなければならない。A面、B面それぞれを19分以内にしなくては。それが原則なのだ」。クインシー・ジョーンズ自伝より。 前回Vol.4ではアルバム『Thriller』の音の糞エディションを可能な限り再現してみました。そして今回はクインシーの言う現実的なレコード、A面、B面それぞれを19分以内、究極のセールスとなろう『Thriller』を再現します。 82年11月8日にアルバムは完成、リリースされた『Thriller』はトータル42分19秒です。クインシーの望むバージョンのためにはあと4分程カットしなくてはなりません。それを可能にするのはシングル・バージョンの存在です。アルバム・バージョンの更なるエディットとなっており、その作業は『Thriller』編集作業中に行っていたはずです。そのバージョンは「Wanna Be Startin' Somethin'」、「Thriller」、「Beat It」そして「Human Nature」の4つです。結果トータル37分39秒となりました。クインシーが望む『Thriller』はきちんと成立するのです。実際聴くと「Wanna Be Startin' Somethin'」がとてもスピーディーに終了し、「Thriller」に冗長さが無くなりますがフェード・アウトなのは真の終わり方ではないですね。「Beat It」はエディ・ヴァン・ヘイレンのギター・ソロもちゃんと入っていて存在感が十分あります。「Human Nature」はいささか物足りなさを覚えますが、フルレングスが12インチ・バージョンで聴ければきっと更に曲の魅力を再確認することになる効果が期待できます。このアルバムでのリリースとなっていたら、沢山のヒット曲が生まれ、そのフルレングス・バージョンが12インチで聴けて、更に「Carousel」等をB面曲にしていたら、やはりモンスターなセールスを上げていたと思えます。まあそれも「Thriller」のエディットがしっかりクローズしていたらば、ですが。 そして『Thriller Sessions Definitive Edition』Vol.1からVol.4に入りきれなかったデモをここで収録させました。まず「The Girl Is Mine」のマイケルがメロディを模索している所を捉えた音源です。そして79年のデモ。「The Girl Is Mine」はもっと後にマイケルによってつくられたはずで79年ではないはずなので、フェイクでは、という話もありますが、これを聴く限りマイケルの声ですし、クインシーに言われてマイケルが作った後半のマイケルとポールの語り部分もマイケルの時折混ざる地声によって萌芽のように入ってはいます。ただそれでも79年に作られていたということもワンチャンあります。あえて記載されているそのままにしました。 そして82年のレコーディングということで「Human Nature」のピアノをバックにマイケルが歌う音源。82年なのかどうかなのですが、きっとそうでしょう。そして歌い方も微妙に違い新しいアイデアが入っており、ファンメイドではありません。そして「Human Nature」のアコースティック・ギターをバックに歌うUnpluggedバージョン。これはファンメイドだと思われますが、かなり美しい出来なので収録させました。 『Thriller』の制作時に作られていた「Someone In The Dark」はマイケルが E.T. the Extra-Terrestrialのオーディオブックのプロモーション・シングルとしてリリースされた曲です。このトラックは、「Opening Version」と「Closing Version」の歌詞が異なる2つのパートに分かれています。それらは『Thriller』リリース時期に重なるため、今回並べて収録させました。その展開を含めお楽しみください。尚この曲がどのような顛末となったか、そのエピソードは以下のタイトルに詳しく書かれていますのでご参考ください。 マイケル・ジャクソン / Sunset Driver (1CDR) https://purpletown.buyshop.jp/items/97624399 82年12月1日に発売された『Thriller』。既にファースト・シングル「The Girl Is Mine」は2位の好セールスとなっていました。マイケルの最初のコラボレーション、マイケルのソフト・ロックへの傾倒を強調するべくポール・マッカートニーが招聘され、彼と「The Girl Is Mine」において共同リードボーカルを務めました(当初はフレディ・マーキュリーを含む他の歌手も念頭に置いており、『Thriller』のリリースの翌年、フレディとすぐに共作することになります)。 2枚目のシングル「Billie Jean」は、新しい、そして名付けようもない領域へと突き進むことになります。「Billie Jean」はポップの爆発的なヒットとなり、アメリカ、イギリス、オーストラリア、カナダのチャートでトップになりました。このシングルの成功の要因の1つは、その印象的なミュージック・ビデオにあることは間違いありません。このビデオは、当時まだ新進気鋭だったMTVの暗黙の人種的障壁を初めて打ち破ったということです。マイケルの後、MTVは黒人アーティストを多く放送するようになります。このシングルの成功のもう一つの要因は、83年のモータウン25周年記念特別番組 『モータウン 25: イエスタデイ、トゥデイ、フォーエバー』 でのセンセーショナルなパフォーマンスです。83年5月16日に放送され、マイケルは彼の代名詞であるムーンウォーク (後ろ向きに滑っているように見える動き) を披露し、成熟した才能を世界にアピールしました。 そして最も注目すべきことは、エディ・ヴァン・ヘイレンが「Beat It」でリードギタリストとしてフィーチャーされ、ポップ史で最も象徴的なギターソロを生み出したことでしょう。エディがマイケルをメタリックなハード・ロックへの接近の橋渡しをしたのです。そんな「Beat It」は映画のようなビデオだったこともあり、MTVでまたもや大ヒットとなり、『Thriller』を成層圏に押し上げるのに役立ちました。 アルバムはディスコからポップ、ソウルへと滑らかに流れ、彼の幅広い音楽性をマジカルと呼んでいい形で披露しています。それらを「Wanna Be Startin' Somethin'」、「Human Nature」、「P.Y.T. (Pretty Young Thing)」とリリースしていき、全てでトップ10入りし『Thriller』はアルバム・チャート1位の座を守り続け、最後のシングル「Thriller」ではミュージック・ヴィデオ以上の大作となりました。マイケルは監督のジョン・ランディスにこの曲を短編ミュージカル・ホラー映画に仕立て上げるように依頼しています。 アルバムが2年間のチャート入りを終えるまで、83年2月26日から84年4月14日までの間、37週間1位に輝き、2900万枚を売り上げ、史上最大のセールスを記録したアルバムとなったわけです。 マイケル・ジャクソンが『Thriller』についてこう語っています。「完全なる転換でした。幼い頃から作曲を勉強してました。最も影響を受けたのはチャイコフスキー。『くるみ割り人形組曲』のようなアルバムを聴いてみると、すべての曲が素晴らしいんです。だから僕は自分に問いかけた『すべての曲が素晴らしいポップ・アルバムがあってもいいんじゃないか?』って」。 更に『Thriller』リリース以降の音源を収録させました。ポール・マッカートニーの『Pipes Of Peace』にある「Say Say Say」が81年4月から5月、それと同時期の81年5月に「The Man」のデモをポールは作っていました。この時マイケルは「Say Say Say」みたいにデュエットしたいとポールに申し出たそうですが、その時点では完成しておらず、83年2月にマイケルがロンドンに訪れて更にレコーディングをし、6月8日に完成させています。その「The Man」を収録。 そしてグレン・バラード、ブリー・ハワード、デイヴィー・ファラガーによって書かれ、クインシー・ジョーンズがプロデュースした「Nite Line」。ポインター・シスターズへ提供され『Break Out』で「Nightline」と名前を変更し収録されました。今回マイケルとポインター・シスターズのボーカルを巧妙にブレンドしたゴージャスな「Niteline(Feat. Michael Jackson)」のファンメイドを収録しました。 更に「Thriller」のMVを超えた映画、そのエフェクトを含めた「Thriller」のファンメイドのエクステンデッド・バージョンを収録。今回の『Thriller Sessions Definitive Edition』シリーズのラストのオーラスに相応しいクロージング曲となっています。 1.Wanna Be Startin' Somethin' (Single Version) 4:19 2.Baby Be Mine 4:20 3.The Girl Is Mine 3:42 4.Thriller (7" Special Edit) 4:38 5.Beat It (Edit) 3:05 6.Billie Jean 4:53 7.Human Nature (Single Version) 3:46 8.P.Y.T. (Pretty Young Thing) 3:58 9.The Lady In My Life 4:58 10.The Girl Is Mine (Home Songwriting) 3:18 11.The Girl Is Mine (Home Demo 1979) 3:10 12.Human Nature (Piano And A Microphone Session 1982) 4:33 13.Human Nature (Unplugged Version) 4:10 14.Someone In The Dark (Opening Version) 4:53 15.Someone In The Dark (Closing Version) 3:06 16.The Man (Remastered 2015) 3:56 17.Niteline (Pointer Sisters Feat.Michael Jackson) 4:13 16.Thriller (Extended Version) 9:41
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マイケル・ジャクソン / Thriller Sessions Definitive Edition Vol.4 (1CDR)
¥990
モンスター・アルバム『Thriller』がどのようにして作られていったのか、可能な限り時系列でマイケル・ジャクソンのデモ、オルタネイト・バージョン、未発表曲を並べ検証していきます。今回はその第四弾となります。 アルバム『Thriller』から先行する形で82年10月23日にリリースされたファースト・シングル「The Girl Is Mine」。その曲は冒険を示唆するものではありませんでした。マイケルはポールとのデュエットをアルバムのリード・シングルとしてリリースすることでまずは安全策を取ったと言えるでしょう。B面曲は「Can't Get Outta The Rain」。これは「You Can't Win (Part.2)」を再レコーディングした曲です。「You Can't Win」はチャーリー・スモールズが作曲し、クインシー・ジョーンズがプロデュース、74年にボルチモアで上演されたミュージカル『ザ・ウィズ』のために作られました。ですがブロードウェイの公式オープニングからカットされ、映画『ザ・ウィズ』の制作が始まるまで演奏されることはありませんでした。映画の制作中、マイケルが歌うこととなり、77年11月から78年1月にかけて録音され、「I Was Born On The Day Before Yesterday」の代わりにマイケルが演じた案山子の際に使われました。オリジナルのサウンドトラックを録音した後、マイケルはクインシー・ジョーンズと共にスタジオに戻り、78年夏『Off The Wall』風のプロダクションでこの曲を再録音しました。最終的に79年1月11日にシングルとしてリリースされ、モータウンを去ったマイケルの最初のソロシングルとなりました。「You Can't Win」は2部の曲となっています。前半は正式なヴァースとコーラス、後半はアドリブとバックボーカルの構成となっています(04年の『Ultimate Collection』に収録のものは7分の1曲にまとめられたバージョンです)。82年10月18日、「You Can't Win」(Part 2)の再録音版「Can't Get Outta The Rain」がシングル「The Girl Is Mine」のB面としてリリースされました。しかしそれは基本的に元曲のパート2なのですが、「you can't get outta the game」の歌詞が「you can't get outta the rain」に置き換えられ、オーバーダブもいくつか追加されています。そして作曲クレジットにチャーリー・スモールズの名は無く、クインシーとマイケルのみとなっています。 このファースト・シングルがリリースされ、チャートの2位となる頃、『Thriller』のテスト盤が完成します。スタジオでは、エピック・レコードのブラック・ミュージック部門の責任者ラーキン・アーノルドがシャンパンを開けて聴く瞬間を待ち焦がれていました。いざ皆でそのマスター・テープに耳を傾けました。 「...それは完全な失敗だった。優れた曲とパフォーマンスを詰め込んで、ミックスダウンも含めて、全て完璧に行ったが、私たちが手にしたのは「24カラットの“音の糞”」だったんだ。スタジオは静まり返っていたよ。アルバムにあまりにも多くの要素を加えすぎていた。ビッグでファットなサウンド、グル―ヴ、それらが乏しいとサウンドがどうしても貧弱になる。だからレコードの両面それぞれに28分間、そんな音楽を敷きつめた。聴いたスメリー(マイケルの愛称)は「うわっ、ジェリー(最高のダンス曲の意味)だ。思わずダンスしたくなるよ」と言ったよ。だがレコードは現実的に制作しなければならない。A面、B面それぞれを19分以内にしなくては。それが原則なのだ。私たちは頭を抱えた。マイケルは「今さらどうすればいいのだろう」と涙ながらそう言った。結局、私たちは2日休み、その後の8日間で1日1曲のペースでミックス・ダウンを行い、いっきにアルバムを完成させた。「The Lady In My Life」をロッド・テンパートンはそのヴァースを1か所削除し、マイケルは「Billie Jean」の長々としたイントロの“ジュリー”なパートを捨てることに同意した。そして、何かが働き、『Thriller』はアルバムの域を超える何かへと昇華したんだ」。クインシー・ジョーンズ自伝より。 今回、このおよそ56分の『Thriller』24カラットの“音の糞”エディションを再現しようと試みました。 まずリリースされたアルバム『Thriller』はトータル42分19秒です。クインシーの原則19分X2=38分を4分既に超えています。 さてリリースされた12インチのバージョン、そして「The Lady In My Life」のフル・レングス・バージョンで『Thriller』を基本構成しました(例外は後述します)。 「Wanna Be Startin' Somethin'」は6分2秒ではなく、12inch Versionの6分30秒に(12インチの記載ではただ「Wanna Be Startin' Somethin'」とだけ書かれていますがロング・バージョンです)。「Baby Be Mine」はロング・バージョンがなく4分20秒そのまま。「The Girl Is Mine」は既にシングルとなっていますからそれをカットするわけにはいかないはずで3分41秒そのまま。そして「Thriller」はロング・バージョンがありますが、実はアルバムと同じレングスで5分57秒、同じバージョンです。「Billie Jean」には12インチのロング・バージョンがあり、4分54秒ではなく6分23秒となります。「Beat It」、「Human Nature」はロング・バージョンが無くそれぞれ4分18秒、4分6秒とそのままです。そして「P.Y.T. (Pretty Young Thing)」(3分59秒)、これもロング・バージョンがないはずなのですが、フェードアウトで終るインストが存在し(5分40秒)、そのバッキングとほぼ同じNick Long Version(5分41秒)マルチトラックからのファンメイドがあります。ファンメイドとしてはかなり本当度が高く、今回例外ながら音の糞エディション用に収録しました。そして最後の「The Lady In My Life」は3分58秒のアルバム・バージョンより遥かに長い6分30秒です(多少無音部分がふくまれています)。これでトータルは47分16秒(「P.Y.T. (Pretty Young Thing)」をアルバム・バージョン3分59秒とするなら45分47秒)。56分より9分(10分)以上も足りません。「The Lady In My Life」は1ヴァース省略したとありますが、フル・バージョンに比べればもっともっと削られていることになります。そしてこれまでのリリース『Thriller Complete Sessions』Vol.1からVol.3を聴くとお分かり頂けるかと思いますが、長いバージョンはありますが、全てデモ音源で、アルバムに収録させるべく作られた完璧なバージョンではありません。唯一「Wanna Be Startin' Somethin'」のデモからは編集出来る余地のようなものはありますが、それをそのままアルバムに入れていたとは思えませんでした。実際30秒程長い12インチ・バージョンがあるので、そちらが音の糞エディション用だと思えます。 よっておよそ56分の『Thriller』24カラットの“音の糞”は現存の音源からは再現不可能です。しかしそれでもその47分エディションをまず収録しました。 ここからは仮説です。クインシーが計算間違えで47分バージョンが実は音の糞ではないか。あり得ると思います。46分の方でも十分長すぎるのです。共に46分のカセットテープにはきっと入り切れないと思います。 アルバム片面は30分が限度とされています(クイーンの『Greatest Hits』がA面30分4秒、B面30分58秒、またカラヤンの「田園」を37分43秒収録したLPが存在します)。ですので片面28分をLPに入れることは可能です。8日間で1日1曲のペースでミックス・ダウンを行い、いっきにアルバムを完成させた、これは「The Girl Is Mine」以外の8曲をそうした、ということです。「Billie Jean」の89秒、「The Lady In My Life」約2分半の削られたと確定出来る分を除いて、42分19秒の『Thriller』にするためには、それぞれの曲を平均すると、2分位エディットすることになる計算です。実際そのようなことをした「Wanna Be Startin' Somethin'」では、曲中から色々ピックして何とか30秒弱削っています。素晴らしい功績の編集が施されているのは聴いたらわかることでしょう。この30秒を一日でやったというのでさえちょっとした奇跡に思える程です。しかしそれでも30秒、平均カット時間の四分の一です。他の曲にも同様、それ以上の編集を行ったということになると、かなり魔法のような作業のように思えます(後半部分をバッサリ切ってフェード・アウト処理、そんなラフな仕事ばかりならば別ですが)。 片面28分を19分にするというのは実質1曲から2曲を完全にカットする位でもしないとです。なので「Human Nature」収録で落選した「Carousel」、これも音の糞に足してみました。これでもトータル50分56秒(49分13秒)。ならば「Can't Get Outta The Rain」も追加、こうしてやっと55分1秒(53分18秒)です。「Can't Get Outta The Rain」がPart1も作られているとするなら、更に3分以上追加されることになり、56分以上になります。まあこうなってくると最早『Thriller』らしさが無くなってきますね(よって「You Can't Win」は未収録としました)。 更に「Wanna Be Startin' Somethin'」と「Billie Jean」、「Thriller」の12インチ収録の12インチ・バージョンのインスト、そして「P.Y.T.」は12インチに収録されているアルバム・バージョンのインストではなく、ロング・バージョンのインストを収録。尚「P.Y.T.」の12インチのインストは以下のタイトルに収録しています。 マイケル・ジャクソン / Genesis (1CDR) https://purpletown.buyshop.jp/items/97726394 1.Wanna Be Startin' Somethin' (12" Version) 6:30 2.Baby Be Mine 4:20 3.The Girl Is Mine 3:42 4.Thriller 5:57 5.Beat It 4:18 6.Billie Jean (Long Version) 6:19 7.Human Nature 4:05 8.P.Y.T. (Pretty Young Thing) 5:41 9.The Lady In My Life (Full Version #2 Edit) 6:24 10.Carousel 3:40 11.Can't Get Outta The Rain 4:05 12.Wanna Be Startin' Somethin' (Instrumental) 6:33 13.Thriller (Instrumental) 6:00 14.Billie Jean (Instrumental Version) 6:19 15.P.Y.T. (Pretty Young Thing) (Instrumental Long Version) 5:40
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マイケル・ジャクソン / Thriller Sessions Definitive Edition Vol.3 (1CDR)
¥990
モンスター・アルバム『Thriller』がどのようにして作られていったのか、可能な限り時系列でマイケル・ジャクソンのデモ、オルタネイト・バージョン、未発表曲を並べ検証していきます。今回はその第三弾となります。 「Nite Line」はグレン・バラード、ブリー・ハワード、デイビー・ファラガーによって作曲され、クインシー・ジョーンズによってプロデュースされ、82年8月の『Thriller』セッション中に録音されました。しかし採用されず、ポインター・シスターズに提供され、アルバム『Break Out』で「Nightline」と改名され収録されました。ランディ・クロフォードも提供されておりアルバム『Niteline』の1曲目に収録されています。ここではそのマイケルがボーカルのリーク音源を収録しています。 「Hot Street」はロッド・テンパートン作、クインシー・ジョーンズのプロデュースで、82年8月から9月にかけてウェストレイク・レコーディング・スタジオで録音されました。当初「Slapstick」というタイトルで、歌詞はまったく異なっていました。マイケルはこの曲を大変気に入り、アルバム収録したいと考えていましたが、収録するほどの力強さがないと結局判断されました。マイケルは次のように語っています。「うん「Hot Street」は好きだよ。あの曲は大好きだ。クインシーとロッドは十分良いとは思わなかったんだけど、僕は素晴らしいと思った」。「僕にはドタバタ喜劇が必要だ、だってその愛が君を笑顔にするから」という「Slapstick」の歌詞にはかなりマイケルの映画愛が反映されています。一方「ストリートが熱いぜ!夜のビートをただ感じろ!ファンタジーが止まらない!」という「Hot Street」の歌詞では正直いなたさを感じさせます。歌詞以前に、ロッド・テンパートン屈指の踊り狂える楽曲であることがマイケルが好んだ理由なんだろうと。ただ『Off The Wall』の収録曲の二番煎じと思われそうなので『Thriller』に未収録となったのではないでしょうか。『Thriller』は『Off The Wall』以上でなくてはならなかったのです。「Hot Street」は他のアーティストに提供されていませんが、もしかするとマイケルがいつか他のアルバムで使うかもしれない、とロッドに保留にさせてたのかもしれません。 「Carousel」はマイケル・センベロとドン・フリーマンが共同で作曲し、クインシー・ジョーンズがプロデュース、82年8月から9月にかけて録音されました。「僕はピエロ、君はダンサー、サーカスの女の子は僕の心を粉々にした、メリーゴーランドの上で」という歌詞も悪くないですが、やはりメロディーが秀逸です。しかし『Thriller』に未収録。そしてマイケル以外の他のアーティストが歌うということもなく、ずっと世に出ず埋もれたままとなっていました。今回正規のバージョンの他、リークした11秒のイントロ、最後が10秒程長いフルレングス・バージョン、『Thriller 25』のみ収録のエディット・バージョン、更にマイケルのメインの歌、演奏に、マイケル・センベロが作ったデモを使って演奏とコーラスを加えた、ファンによるミックス・バージョンも収録しました。 「Starlight」に対してもっとミステリアスに怖い雰囲気を出してほしい、マイケルとクインシーはロッドに依頼します。 「目が覚めて、この言葉を口にしてみた…頭の中で、これがタイトルだ!と言っているんだ。そしてビルボードチャートのトップになったシーンが想像できた。「Thriller」という単語が注目すべきこととして飛び出してきたことは、マーチャンダイジングの象徴と言えると思うよ」。ロッド・テンパートン 「Starlight」の後、この曲には「Midnight Man」のタイトルも検討されましたが、最終的には「Thriller」がタイトルとして選ばれました。曲のタイトルが決まると、ロッドは「数時間」で歌詞全体を書き換えたと言われています。ブリッジはホラー映画俳優のヴィンセント・プライスが話しています。「Thriller」は、82年9月から11月にかけてレコーディングされました。エンジニアのブルース・スウェディエンは、マイケルにさまざまなアプローチでボーカルを録音させ、テイクを2回繰り返したり、マイクからさまざまな距離で録音したりしました。一部のバック・ボーカルはウェストレイク・スタジオのシャワー室で録音されました。ベースラインはRoland Jupiter-8シンセサイザーで演奏され、ヴァースはSequential Circuits Prophet 5で重ねられました。 パーカッションは、他の2台のドラム・マシンのサウンド・チップ (LM-1 のスネア、ハイハット、コンガ、TR-808 のクラップ) で改造したリン・ドラムで作成されました。「Thriller」には、グレッグ・フィリンゲインズのローズ・ピアノとデヴィッド・ウィリアムスのギターも含まれています。オオカミの遠吠えを録音するために、スウェディエンは納屋で一晩中グレート・デーンの周りにテープ。レコーダーを設置しましたが、犬は遠吠えしてくれませんでした。そこでマイケルは、遠吠えを自分で録音することにしました。きしむドア音については、スウェディエンはユニバーサル。スタジオからドアを借りてその蝶番の音を録音しました。 今回ドアのきしむ音、遠吠えがなく、ドラムで始まり、ヴィンセント・プライスの声がなく突然終わってしまう「Thriller」のデモ音源を収録しています。 「Wanna Be Startin' Somethin'」は78年のデモが作られていました(Vol.1に収録しています)。82年9月に再レコーディングがなされ、最終的に11月に完成して『Thriller』の1曲目となります。「何か始めたがっている」ということでオープニング曲に最適、と思うかもしれませんが、「厄介なことを起こしたがっている」パパラッチ等を指しており、「雷の痛みをくらうぞ」と彼らを歌で攻撃しています。まず31秒ほどのスニペットで、まだホーンもなく、キーボードの音もなく、デモの域を全く超えていません。78年のデモにはホーンはなかったですが、キーボード音はありました。よってもっとも古いデモなのかもしれませんが、不明です。そして81年のデモとされる音源。81年にはまだ再レコーディングをしていないはずなのですが、一応変更しないでおきます。まずジェリー・ヘイらシーウィンド・ホーンズによるホーンが入っています。グレッグ・フィリゲインズのキーボード音もあります。そしてルイス・ジョンソンのベース・ラインが前に出ており、チキチキのハイハットの音とギターが引っ込んでいて、グルーブさがありますが、万華鏡的展開が感じられず単調です。そして82年9月だと思われるデモ。ホーンが鳴ってはいますが、殆ど聴こえないので一体これは何のための音源なのだろうと思わされます。そのため特に終盤のマヌ・ディバンゴの「Soul Makossa」の展開がとても単調です。しかしアルバム・バージョンより15秒程長くプレイしています。 「P.Y.T. (Pretty Young Thing)」は82年9月に作曲され、録音されました。クインシー・ジョーンズは、妻を「かなり若い子」と呼んでいたことから、数人のソングライターに「Pretty Young Thing」というタイトルを元に曲を書くように依頼します。マイケルとグレッグ・フィリンゲインズはミッドテンポのデモを共同で書きました。それが今回収録されているバージョンです。しかし、クインシーはもっとダンサンブルな曲を望み、ジェイムス・イングラムが書いたバージョンが採用され『Thriller』に収録されました。正直クインシーの判断は正解だったと言わざるを得ません。 「The Lady In My Life」は82年9月に初めて録音され、同年11月に完成しました。マイケルは、この曲がアルバムのために作るのがもっとも難しかった曲の1つだと述べています。「僕たちは、ボーカルをできるだけ完璧にするために、何度もテイクを重ねることに慣れていたけど、クインシーは文字通り何十回もテイクを重ねた後でも、この曲での僕の仕事に満足してくれなかった。ついに、あるセッションの終わりに、彼が僕を呼び出して、懇願するように言ったんだ、僕にスタジオに戻ってたら文字通り懇願するように歌えって。それで僕はスタジオに戻って、スタジオ内の照明を消してもらい、スタジオとコントロール・ルームの間のカーテンを閉めて、恥ずかしくないようにしたんだ。Qがテープを再生し、僕は懇願した。その結果が、溝に聞こえるものなんだ」。 02年のプロモCD、ロッド・テンパートンの『The Songs Of Rod Temperton』に収録のロング・バージョンがありました。それも収録していますが、それより15秒程長い真のフルレングス・バージョン#2を収録しました。まず異なった歌詞が含まれ、聴いたことのないヴァース、コーラス、アウトロもより長くなっています。 これらは、一枚のLPに収めるためカットされています。 「Human Nature」はバンドTOTOのメンバーでキーボード奏者のスティーブ・ポーカロによって書かれました。ある男の子が娘を滑り台から突き落とした後、娘と話していたときにこの曲をポーカロは思いつきました。彼は娘に、男の子はおそらく君のことが好きだし、それは人間の性なのだと言ったそうです(今ならNGですね)。ポーカロはスタジオでTOTOのメンバーと共にヒット曲「Africa」をミックスしている間に、「Human Nature」のデモを録音しました。デイヴィッド・ペイチがシンセサイザーで協力しています。「Human Nature」は他のメンバーはロックさが足りないと判断、TOTO以外の誰かが使ったほうが良いと提案されました。ポーカロはTOTOのバンドメンバー数名とともにスリラー制作を手伝っていましたが、「Human Nature」をマイケルが使うことはその時は考えていなかったそうです。ある日、ペイチとポーカロはデモをクインシー・ジョーンズに渡します。クインシーはデモのほとんどを聴き、「Human Nature」がアルバムに最も合うと判断。しかし歌詞は満足していなかったため、ジョン・ベティスに書き直しを手伝ってもらっています。82年10月2日にデモが作られ、その時のキーはCメジャーでした。しかしアルバム・バージョンではキーが1つ上げられました。 今回『Thriller 40』に収録予定でしたがお蔵入りとなったそのキーが低いオリジナル・デモ、まだ歌い方を模索しているマイケルがおり、最後にこれは面白いと楽しんでいて、大変興味深いテイクとなっています。確かにキーが低いとマイケルが元気なさそうです。そして87年来日公演時のプロモ3インチシングルに収録されていたAlternate Mix、終わり方は同じですが、その前のアウトロ部分が20秒弱短いエディット・バージョンです。 尚「Human Nature」はギリギリの最終選考で「Carousel」に取って代わることになります。 「Beat It」は、82年10月初旬にレコーディングされました。クインシー・ジョーンズがプロデュース。『Thriller 40』のドキュメンタリーによると、MTVが黒人アーティストのMVを流さず、「彼らはロックしか流さない」と考えたマイケルは「Beat It」をロック志向のサウンドにしたいと考えていました。さらにこの曲は特に、79年のアルバム『Off The Wall』のサウンドとは違ったものにしたいとも思っていました。マイケルは、白人男性の聴衆の注目を集めるギタリストが欲しいと、エディ・ヴァン・ヘイレンにギター演奏を依頼します。 「僕がロックソングを買うんだったらこんな曲、そんなのを書きたかった...そして、子供たち、つまり小学生も大学生も同じく本当に楽しんでもらいたかったんだ」。マイケル・ジャクソン、エボニー誌、84年5月。 「Beat It」は、バックトラックをまずレコーディングし、エディが後からギターソロをオーバーダビングしました。ヴァースの所でソロが入っていますが、そここそ一番だということで編集が行われました。しかし、曲の24トラック・テープのSMPTEタイムコード(同期用の時間記録)に干渉してしまって、リールとリールを同期させることができませんでした。そのため、サンセット・サウンドで、TOTOのスティーブ・ルカサーとジェフ・ポーカロが、マイケルのボーカル、ヴァン・ヘイレンのソロ、ドラム、ベース、ギター、これらと曲をテープに「逆再生」で再録音しなければなりませんでした。またエディは曲のアレンジも変えています。正確に言えばソロの部分のコードを曲と異なるものにしたのです。結果その方がうまくいったと、スティーブ・ルカサーもユーチューバーのリック・ベアトとのインタビューで認めています。ピアーズ・モーガンとのインタビューで、エディはマイケルとの仕事について語っています。エディは、この曲のソロを演奏するのに報酬を受け取ったことはないらしいのです。 「頼まれてやったんだ。こちらから何も頼んでない。俺の人生の約20分だ。クインシーが電話をかけてきて、やる気があるかと聞いてきたんだ。正直に言うと、当時バンド(ヴァン・ヘイレン)の方針は「バンド以外のことはやらない」だった。でも誰もいなかった、相談も出来なくて。この黒人の子供たち用のレコードで演奏しても、誰も知るはずがないと思ったんだ 」。エディ・ヴァン・ヘイレン、ピアーズ・モーガン、13年5月3日。また兄アレックス・ヴァン・ヘイレンが英ガーディアン紙のインタビューで、デイヴ・リー・ロスは、最終的にエディの仕事をバンドから去る口実に利用した、と語っています。 『This Is It』に収録されているデモ、そして08年のゲーム『Guitar Hero: World Tour』で聴ける、マイケルのbeat itの声の連呼でしっかり終了するAlbum Mix #06を収録しました。 ●1982 August 1.Nite Line ●1982 August to September 2.Slapstick 3.Hot Street 4.Carousel (Full Version) 5.Carousel (Edit Version) 6.Carousel 7.Carousel (feat. Michael Sembello Mix Version) ●1982 September to November 8.Thriller (Vincent Prince Voice-Over) 9.Thriller (Demo) 10.Wanna Be Startin' Somethin' (Home Demo Excerpt) 11.Wanna Be Startin' Somethin' (1981 Demo) 12.Wanna Be Startin' Somethin' (1982 Demo) ●1982 September 13.P.Y.T. (Mid-Tempo Version) ●1982 September to November 14.The Lady In My Life (Full Version) 15.The Lady In My Life (Full Version #2) ●1982 September to October 16.Human Nature (Demo) 17.Human Nature (Alternate Mix) 3" Souvenir single for the Japan Tour 87 ●1982 Early October 18.Beat It (Demo) 19.Beat It (Album Mix #06) Guitar Hero: World Tour
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マイケル・ジャクソン / Thriller Sessions Definitive Edition Vol.2 (1CDR)
¥990
モンスター・アルバム『Thriller』がどのようにして作られていったのか、可能な限り時系列でマイケル・ジャクソンのデモ、オルタネイト・バージョン、未発表曲を並べ検証していきます。今回はその第ニ弾となります。 前回の後半は『Thriller』セッション、81年秋のレコーディングされた曲を収録していました。実は他にも81年秋にレコーディングした曲はあります。 まず「Learned My Lesson」。その時の音源はリークしていません。HIStoryセッション中に再び取り上げられ。94年4月にブルース・スウェディエンがミックスを担当、完全録音されていますがアルバムには未収録となりました(スニペットが存在しますが時期が違うため今回未収録としました)。そして「Much Too Soon」とタイトルを変え、10年『Michael』に異なるミックスで収録されています。「Nymphette Lover」もタイトルのみで未リーク。そして「Rolling Dice」。この曲はロッド・テンパートンが作曲し、クインシー・ジョーンズがプロデュースしましたがこれもリークしていません。93年のメキシコでの証言で、マイケルは存在を認めています。「そう、ヘイヴェンハーストでデモを作ったけどリリースしなかった。力強さが足りないと思ったんだよ。」。この曲は初期段階で中止された可能性が高いですが、録音はされていると思われています。尚デモ段階から先に進まなかった(他のアーティストに提供された曲は別として)ロッド作で、他に「Got The Hots」と、そしてある程度まで進んで、凄い曲に変化することになる「Starlight」があります。 そして「Spice Of Life」。マンハッタン・トランスファーの曲で、83年9月リリースされたアルバム『Bodies And Souls』に収録されています。ロッド・テンパートンと、ロッドがいたヒート・ウェイブのメンバー、デレク・ブランブルによって書かれました。デレクによるとマイケルはこの曲を録音しており、その時期が81年秋だと思われます。このマイケルが歌うバージョンはリークしていませんが、AIによって再現した「Spice Of Life」を冒頭に収録しました。 81年秋のレコーディングに「Behind The Mask」があります。正確には81年10月に録音されました(80年に録音が考慮された説もあります)。イエロー・マジック・オーケストラのインストゥルメンタル曲のカバーですが、日本を訪れた際にこの曲を聴いたプロデューサーのクインシー・ジョーンズがマイケルに紹介したとされています。そしてマイケルはメロディーと追加の歌詞を加えた再構築バージョンを作ります。共作者で作詞を担当したクリス・モスデルが「マイケルはこの曲を女性についてのラブソングにした。私にとっては全く違う前提だった...でも、まあ、この曲は彼に任せたよ」と語っています。作者の坂本、モズデル、そしてマイケルの間で印税に関する合意に至らなかったため、『Thriller』には収録されませんでした(マイケルが出版権を100%譲渡することを坂本に要求、ならばどれだけ変更しているのかチェックしたいと坂本側は訴えましたが、マイケルはそれも拒否しました)。そのマイケルが歌を加えたバージョンが「Behind The Mask (Mike's Mix (Demo)」です。出版権を100%譲渡は大げさだとしても、マイケルの歌がオリジナルに既にあったと思わせる、元がインストだとは思えない素晴らしいマイケル印の出来です。後にグレッグ・フィリンゲインズのアルバム『Pulse』やエリック・クラプトンの『August』に収録されますが、その時のクレジットが坂本龍一、クリス・モスデル、そしてマイケル・ジャクソンとあり、マイケルのバージョンをマイケル側のオファーで彼らは手にしたということになります。エリックやグレッグの歌い方も悪くないですが、やっぱりマイケルですね。10年に『Michael』収録のバージョンはジョン・マクレインによって完全に作り直されており、バース2がバース3に置き換えられ、サックスのソロが含まれています。今回『Michael』バージョンのように疑似ライブ的なアレンジが施され殆ど同じですが、ボーカル追加されているという(「Mike's Mix」から流用しているかも不明です)「Behind The Mask(Extra Vocals)」を収録しています。 尚「Mike's Mix (Demo)」は、品質とミキシングの問題がいくつかあり、「YMO」バージョンからのサンプリングには実はレコードからリッピングされています(針音が聴こえるのでわかると思います)。ボーカルのミキシングにもいくつかのエラーがあり、音圧が強すぎです。それらを補正し、リミックスしたのが(Re-Mixed Demo)です。 アルバム『Thriller』の本格的なレコーディングは、82年4月14日からカリフォルニア州ロサンゼルスのウェストレイク・レコーディング・スタジオで始まります。制作予算は75万ドルでした。マイケルが書いた曲はオーディオ・レコーダーに歌声を直接録音、その後、彼はそれを使ったり記憶から歌ったりして、ヘイヴェンハーストで16トラックにデモ録音しています。またレコーディング・スタッフの中にはTOTOのメンバーもいました。 『Thriller』収録曲を最初に完成させたレコーディングとなる「The Girl Is Mine」は作曲、共同プロデュースがマイケル・ジャクソンです(プロデュースはクインシー・ジョーンズ)。ポール・マッカートニーは作曲に拘わっておらずゲスト・ボーカルでの参加です。82年4月14日から16日にかけてウェストレイク・スタジオで録音、同年10月18日にアルバムの最初のシングルとしてリリースされました。これがマイケルとポールの最後のコラボレーションとされています(実は83年2月に「The Man」の更なるレコーディングをマイケルはしているという話があるので、それが最後という説の方が有力です)。「The Girl Is Mine」は、マイケルがポールと一緒にアニメを見ながら作曲されました。クインシー・ジョーンズは当初マイケルに、2人の男性が1人の女性をめぐって争うという曲を書くよう指示していました。インスピレーションを受けたマイケルは夜中に目を覚まし、テープレコーダーに向かって歌入れしました。後に「メロディー、キーボード、弦楽器など、頭の中で聴こえている通りに歌った。だから、すべて歌をテープに録音したんだ」と語っています。その後、クインシーは後半の語りのヴァースも追加するようにも依頼しています。マイケルとポールは82年4月14日から16日までロサンゼルスのウェストレイク・スタジオでこの曲を録音したのです。マイケルは、このレコーディングはスタジオで最も楽しかった瞬間の1つだったと語っています。「ソロアーティストとしてレコーディングした曲の中で、最も気に入っている曲の1つは、おそらく「The Girl Is Mine」だよ。なぜなら、ポール・マッカートニーとの作業はとてもエキサイティングで、文字通り楽しかったから。おしゃべりしたり、演奏したり、お互いに物を投げ合ったり、冗談を言ったりしていたんだ。実際、僕たちは(インストゥルメンタル)トラックとボーカルをほぼ同時にライブでレコーディングした。その映像はあるんだけど、公開していないね。いつか、こっそりとプレビューをお届けするかもしれないよ」。この2人の映像は、後にポール・マッカートニー・ワールドツアーで公開されています。尚レコーディングには、デヴィッド・ペイチ(ピアノ)、ジェフ・ポーカロ(ドラム)、スティーヴ・ルカサー(ギター)、スティーヴ・ポーカロ(シンセサイザープログラミング)など、バンドTOTOのメンバー数名が参加しました。 「The Girl Is Mine」のマイケルがソロで歌っているデモを今回収録しました。マイケル、ポール、両方の歌うパートを全てマイケルが歌っており、明らかにこの曲は歌詞も曲もマイケルが作ったということがわかります。ここでしか聴けない歌詞の部分がありますが、その代わり、マイケルとポールが女性を奪い合う、二人のお喋りはまだこの時点では出来ていません。この部分が後にクインシーにマイケルが依頼されたヴァースです。結局その女の子はマイケルを好きになって他の人を愛することが出来ないって言ってた、とマイケルがポールに言い、ポールがそんなの信じられない、とマイケルの方が女性を獲得したと思わせる語りになっているのは、マイケルが考えたとわかりますね。そして「The Girl Is Mine」のアメリカ盤のプロモ・シングルに収録されていたAlternate Mixも収録しました。 尚82年のレコーディングに「Set It On Out」がありますが、タイトルしか知られていない未リーク曲です。また「MJ Melody」も同じ時期ですが未リークで、それは仮タイトル、インストだったという可能性があります。 そして「Stand Tall」。これは82年にマイケルが作曲したとされています。しかしファンで研究者のダミアン・シールズによると、マイケルはこの曲を録音したことはない、彼が聞いた音源にはコーラスとブリッジのみで、ヴァースはなく、マイケルではなくある男性のセッション・シンガーが歌っていた、としています。その歌入り音源はリークしていないのですが、スニペットでのインストがあり、それを収録しました。85年に著作権登録されており、『Bad』セッションでの未発表曲とも言われています。サウンドが83年5月、6月録音の「State Of Shock」風なので、正直時期は微妙です。 「Baby Be Mine」はロッド・テンパートンの作曲で82年6月にレコーディングします(完成は82年11月)。当時のディスコ音楽への反発があった中、マイケルは『Off The Wall』以上のアルバムを作るべく、ある意味とても『Off The Wall』マナーな楽曲を比較的早い時期に録音しています。正直『Off The Wall』のどの曲よりも素晴らしいダンサーとなっていると思います。実際アルバムの2曲目という重要な位置に収まるわけですが、シングル・カットはされなかったし、ライブでも披露されていないのです。 最初30秒のスニペットが流出しましたが、その後完全なデモがリーク、それを収録しています。恐らくアーリー・デモで、6月頃のレコーディングではないかと思われます。正直アルバム・バージョンに比べてマイケルのボーカルが定まっておらず、模索のようなものが感じられます。 82年7月、ロッド・テンパートン作曲の「Starlight」が録音されています。マイケルの映画への愛と成長していく姿を曲に表そうというコンセプトで「Starlight」は作られました。「僕らには星や太陽の光が必要、君が出来ることは僕の傍にいること、君の人生の始まりとなる」。映画的さがまずありません。そしてラブソングなのでしょうが、僕がクインシー・ジョーンズで、君がマイケル・ジャクソン、にあてはめたくなります。それが成長していく姿、ということになるのでしょうが。クインシーは、この曲がアルバムのタイトル・トラックになるべきだと思ったものの、それでもまだタイトル自体が弱いな、と考えていました。 「Billie Jean」はマイケル ジャクソン作曲、83年1月2日にセカンド・シングルとしてリリースされました。時代を超越した曲であることと、モータウン25でのパフォーマンス中にムーンウォークが導入されたことから、マイケルがリリースした曲の中で最も偉大で伝説的な曲と考えられています。このシングルは大成功を収め、数々の栄誉を受け、マイケルはポップ界全体の国際的なアイコンとして確固たる地位を確立しました。 12インチのエクステンデッド・バージョンがリリースされています。このバージョンでは、イントロとアウトロが長く、トラックは「You know you ain't (Not my lover) / You know you can't (Not my lover)」というアドリブで終わります。これは最終的にこの曲のライブ・パフォーマンスで再利用されることになります。これも当初はアルバムに収録される予定でしたが、最終的にアルバムの尺に入らないとカットされました。今回その12インチのLong Version、そしてそれと同じレングスのInstrumental Version(マイケルのコーラスは入ってます)を収録しています。 「Billie Jean」はクインシー・ジョーンズとの共同制作です。81年秋にヘイヴェンハーストでデモとして最初に録音され、それはVol.1に収録されています。その後82年7月から11月にかけてクインシーとウェストレイクで再び録音されました。もともと、この曲はクインシーに気に入られず、ボツ曲とすべきと考えていました。曲が弱すぎると感じ、イントロが気に入らず、タイトルを「Not My Lover」に変更したいと考えていました。マイケルはこの件で、クインシーと何日も口をきかなかったと伝えられています。そしてオーディオ・エンジニアのブルース・スウェディエンは「Billie Jean」を91回ミックスしたそうです。最終的に2回目に行った際のミックスが選ばれました。 今回ヘッドフォンから漏れた音質が悪いデモを5分、そしてシンプルな展開が続く箇所がありますがトライアル的なデモでLong Versionよりも一分弱長いDemo #2は音のレベル等リマスターして収録。そして最後がぐちゃッとなりますが、とても生々しいボーカルのDemo #3。そしてこれはファンメイドの可能性が高いですが、Acoustic Versionも収録しています。 「Billie Jean」のMVは、基準に合わないとMTVでの放送を拒否されています。しかし当時CBSレコードの社長だったウォルター・イェトニコフが、人種差別に対するMTVの姿勢を公表するとMTV幹部らを脅し、結果MTVはイェトニコフの要求を受け入れ、MTVで放送されました。 「私はMTV にこう言った。「私たちが持っているもの、すべての製品を放送から外します。もうビデオは渡しません。そして、私は公に出て、黒人の曲を流したくないという事実を皆に伝えるつもりだ」。 –ウォルター・イェトニコフ、Blender、05年10月 MVは83年3月10日に初公開され、MTVで定期的に放送された最初の黒人アーティストとなりました。またこのビデオのおかげで、『Thriller』の売り上げは1,000万枚増加したと言われています。 マイケルは、ジャクソンズのVictory Tourから始まり、すべてのツアーで「Billie Jean」をプレイしています。パフォーマンスのたびに、マイケルはキラキラ光る黒いジャケット、片方の白い手袋、白い靴下、フェドーラ帽を身につけていました。 「手袋は、ただ一つが二つよりかっこいいと思ったんだ。僕は動きを強調するのが好き。観客の目は白いところ、つまり手袋に行く。そして、ダンスをしているとき、足に少し光が当たると、僕の動きに驚きの叫び声をあげてくれるんだ。だから僕は白い靴下を履くんだよ。ジャケットのデザインについては、服を作った人たちと一緒に座って、ボタンやバックル、デザインをどこに付けたいかを伝えたよ」。 「Billie Jean」の最初の、そして最も象徴的なパフォーマンスは、83年5月16日にマイケルが『モータウン 25: イエスタデイ、トゥデイ、フォーエバー』のテレビ特別番組に出演したときに行われました。マイケルは当初、バンドやモータウンから距離を置き、ソロ活動に集中したいと考えていたため、兄弟との共演を断りました。ベリー・ゴーディ(モータウンの創設者でロックウェルの父)と話し合った後、「Billie Jean」を披露することを許されるならと共演に同意しました。ムーンウォーク(バックスライドと呼ばれるダンス技法、30年代にキャブ・キャロウェイのThe Buzzがその起源という説があります)やトウで立つなど、マイケルの最も象徴的な技法がこのパフォーマンスで初披露されました。これらはマイケルのトレードマークのダンス・スタイルとなります。この特別番組は5000万人が視聴し、マイケルはエミー賞にノミネートされました。 番組は大成功を収めましたが、マイケルは実はこのパフォーマンスを非常に恥ずかしく思っていたそうです。 上記の特別番組の映像は以下のタイトルに収録されています。 ヴァリアス・アーティスツ / Motown Legacy (2DVDR) https://purpletown.buyshop.jp/items/95395809 後に「We Are The World」のレコーディング・セッションの際、ホール&オーツのダリル・ホールの所にマイケルは行き「ねえ、ダイジョブだと良いんだけど、僕「Billie Jean」のために「No Can Do」(「I Can Go For That (No I Can Do)」を盗んだんだ」と話したそうです。 ●1981 Fall 1.Spice Of Life (AI Version) 3:42 ●1981 October 2.Behind The Mask (Mike's Mix Demo) 5:01 3.Behind The Mask (Extra Vocals) 5:00 4.Behind The Mask (Re-Mixed Demo) 5:07 ●1982 April 14-16 5.The Girl Is Mine (Demo) 6.The Girl Is Mine (Alternate Mix) ●1982 7.Stand Tall (Snippet) ●1982 June to November 8.Baby Be Mine (Demo) ●1982 July 9.Starlight ●1982 July to November 10.Billie Jean (Headphone Leak Demo) 11.Billie Jean (Demo #2) 12.Billie Jean (Demo #3) 13.Billie Jean (Long Version) 14.Billie Jean (Instrumental) 15.Billie Jean (Acoustic Version)
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マイケル・ジャクソン / Thriller Sessions Definitive Edition Vol.1 (1CDR)
¥990
モンスター・アルバム『Thriller』がどのようにして作られていったのか、可能な限り時系列でマイケル・ジャクソンのデモ、オルタネイト・バージョン、未発表曲を並べ検証していきます。今回はその第一弾となります。 アルバム『Off The Wall』は大ヒット、ビルボード200で最高4位を記録し、賞を総なめにしつつ何百万枚も売れました。しかしグラミー賞の年間最優秀アルバム賞を逃したため、マイケルはポップの主流に更に食い込む必要があると強く感じます。ですがその前にジャクソンズのアルバムをもう1枚完成させる必要がありました。80年の『Triumph』は、ヒット・シングル3曲 (「Lovely One」、「This Place Hotel」、「Can You Feel It」) が収録され、そのタイトル「勝利」はマイケルのソロでの更なる成功を暗示していたと言えます。 『Thriller』の曲の一つは既に『Off The Wall』の制作時に作られていました。それが『Thriller』のオープニング曲「Wanna Be Startin' Somethin'」です。78年11月に作曲、録音されました。元は妹のラトーヤへの曲で、他の姉妹との関係についての報道に対する返答として書かれましたが、その時点でのリリースは実現しませんでした。そこでマイケルは『Off the Wall』 用にと録音しますが、既にアルバムのリリースが予定されており、収録させることは出来ませんでした。結果として、この曲は78年の時点では完成とはならなかったのです。その音源が(1978 Demo)です。 そしてジャクソンズの『Triumph』。そのアウトテイクで未発表曲「We Love You」。作曲はマイケル・ジャクソン、そしてボーカルは彼だけのもので、ジャクソンズ名義というよりはソロにも適用できる雰囲気も纏っていますが、『Thriller』の収録には検討されていません。そして『Triumph』4曲目収録のマイケルとティト作「Everybody」の英語の解説が入りますがセッション音源です。尚『Off The Wall』の「Get Down On The Floor」の歌詞とそのサウンドの影響が感じられます。そしてマイケル・ジャクソンの未発表のボーカルを含む「Wondering Who」のエクステンド・バージョン、尚#2はファンメイドです。 『Thriller』のファースト・シングルはポール・マッカートニーとの「The Girl Is Mine」ですが、その制作の一年以上も前にポールとマイケルがコラボレーションしている曲があります。それが 83年8月5日にリリースされた「Say Say Say」です。ポールのグループとしてもソロとしても今の所最後のナンバー・ワン、そしてソロとしてなら最大のヒット曲、またR&Bチャートでも2位になっています。実はマイケルにとっても歴代1位のメガヒットなのです。よって「Say Say Say」が『Thriller』のアウトテイクというわけではありません。81年4月に、曲の歌詞の大部分をマイケルが書き、その翌日ポールに渡されました。レコーディングは81年5月にロンドンのAIRスタジオで開始。当時ポールはウイングス解散後の2枚目のソロアルバム、82年にリリースの『Tug Of War』のレコーディング中でした。 マイケルはレコーディングの間、ポールと妻リンダの家に滞在していました(78年ポールの誕生日パーティにマイケルが招待されたのが最初出会いです。そしてマイケルのために、今の彼へ君は僕の彼女なんだと伝えなきゃと歌う「Girlfriend」という曲もポールは書き、「Sunset Driver」と収録を競い最終的に『Off The Wall』に収録されます。マイケルは『Girlfriend』というアルバム名にするという話もあったそうです。後にウィングスの『London Town』にも収録されています)。 ある晩、ダイニングテーブルでポールは、自分が出版権を持っているすべての曲を載せた小冊子を持ってきました。「これが大金を稼ぐ方法さ」。「誰かがこれらの曲を録音するたびに、僕は報酬を得る。誰かがこれらの曲をラジオやライブで演奏するたびにもね。」ポールのその言葉は、マイケルが85年にATVミュージック・パブリッシングを買収するきっかけとなります。 83年リリースのポールのアルバム『Pipes Of Peace』に収録された「Say Say Say」。そこでマイケルはアドリブもいくつかありますが主にフックを歌っています。歌い出しはポールです。しかし2015 Remixはサウンドはほぼそのままに、冒頭をマイケルが歌い、ポールのパートをかなり歌っている上、マイケルによるボイス・パーカッションも入っている、マイケル寄せのバージョンとなっています。 ビートルズとの仕事で有名なジョージ・マーティンが「Say Say Say」をプロデュースしています。彼はマイケルとの体験について次のように語っています「彼がスタジオに入ってくる、確かにオーラを放っている。そのことに疑問の余地はない。彼はポールのような意味でのミュージシャンではないが、音楽に何を求めているかは分かっているし、非常に確固とした考えを持っている」。マイケルは自伝『ムーンウォーク』でもこの体験について語っています。プロデューサーであるクインシー・ジョーンズが彼の間違いを正すために立ち会わなかったから、このコラボレーションが自信を高めたと明かしています。マイケルは、自分とマッカートニーは対等に仕事をしたとし、「あのスタジオではポールが僕を支えてくれることはなかった」と書いています。「Say Say Say」のデモはテープレコーダーで取られたような音質ですが、ポールとマイケルが共に気持ち良い所を探し合いつつ真剣に歌っている様を堪能できます。そして「Say Say Say」の2015 Remixを含めたロング・オルタネイト・バージョンも収録しています。 マイケルはプロデューサーのクインシー・ジョーンズとソングライターのロッド・テンパートンと再びタッグを組み、『Off The Wall』の続編の制作を開始します。それは音楽の主流のあらゆる基準を意図的に満たすレコードを作り上げることになるのです。彼らの最初のセッションは81年の秋に始まりました。 「Who Do You Know」、その曲制作は80年の『Triumph』時期が最初でした。そしてその1年後の81年秋、『Thriller』セッション中に(まだこの頃は「Thriller」という曲は出来ていませんが、便宜上このように記します)ヘイヴェンハーストで82年2月まで制作が続けられましたが、最終的には採用されませんでした。後にジャクソンズ『Victory』のセッション中にマイケルによって作り直され、収録が検討されましたが、最終的に「State of Shock」、「Be Not Always」、「The Hurt」という他の3曲の貢献だけとなりました。以下のタイトルの「Who Do You Know」の箇所で詳細が書かれていますので是非参考にしてください。 マイケル・ジャクソン / Sunset Driver (1CDR) https://purpletown.buyshop.jp/items/97624399 「The Toy」はマイケルが単独で作曲し、81年に録音されました。『Thriller』に収録されないことが決まってからもマイケルはこの曲に取り組み続け、「I Am Your Joy」 という曲になり、その後何年も改良を重ね「Best Of Joy」 というタイトルでアルバム『Michael』(10年)に収録されることになります。「The Toy」では、それらと歌詞が一部異なっています。クインシー・ジョーンズが、リチャード・プライヤー監督の同名映画『The Toy』のサウンド・トラック用に依頼したのがきっかけです。84年のインタビューでこのことについて尋ねられたマイケルは、2人が『Thriller』に集中できるようにするためにアイデアと曲全体がボツになったこと、そしてこの曲はアルバムの曲と同じくらい、いやそれ以上に強力だと感じたことを語っています。 「What A Lovely Way To Go」は元は『Off The Wall』より前に書かれた「What A Lonely Way To Go」でした。78年に『Off The Wall』セッション中に録音されましたがボツとなりました。その後81年秋に『Thriller』セッションで再び取り上げられ、タイトルが「What A Lovely Way To Go」に変更、録音、それがここに収録されたデモです。そして10年初頭にマーク・ロンソンによってリミックスされ、「Lovely Way」というタイトルで『Michael』に収録が検討、その時のリミックスのスニペットも収録しています。 マイケル自作のみならず提供曲も録音されました。「She's Trouble」はビル・リヴシー、スー・シフリン、テリー・ブリテンによって書かれ、81年秋ににマイケルが歌を入れ録音されています。最終的にこの曲はボツとなり、後にスコット・ベイオのアルバム『The Boys Are Out Tonight』とミュージカル・ユースのアルバム『Different Style』に提供されています。尚09年、未完成の歌詞とつぶやきの初期デモが流出、そのバージョンと『Thriller 40』のデモ、両方を収録しました。 ロッド・テンパートンが主に作曲をしたと思われる「Got The Hots」。マイケルとクインシーのクレジットもありますが、これも81年秋にレコーディングされ、そのバージョンが『Thriller 25』等に収録されています。後にシーダ―・ギャレットが変更を加えタイトルを「Baby's Got It Bad」とし彼女のアルバム『Kiss Of Life』に収録しています。 ここまで『Thriller』のボツ曲ばかりが続きましたが、81年秋のセッションでマイケルにとって最も代表的な曲のデモがマイケルの作曲でレコーディングされます。「Billie Jean」81年のデモは『Thriller Special Edition』等に収録されています。マイケルが歌詞をつぶやきながらアドリブする様子が録音され、象徴的なドラムはまだ登場しておらず、代わりにリンLM-1ドラムマシンがガイドとして使用されているものです。 マイケルの伝記作家、J・ランディ・タバオレリによると、「Billie Jean」は、81年にマイケルが、自分が彼女の双子の父親だと主張する女性から受け取った手紙にインスピレーションを受けたと言及しています。マイケルはその女性に会ったことはなく、またそのような手紙を受け取ることに慣れていたため、その手紙を無視していました。しかし、彼女は彼を愛しており、一緒にいたいと書いた手紙を送り続け、それらの手紙の中には、彼女に関する悪夢に悩まされるほど、マイケルを不安にさせるものもありました。最終的にマイケルは、そのファンの写真、銃、そして特定の時間にマイケルが自殺するようにという手紙が入った小包の封筒を受け取ります。そのファンは、彼女が「彼らの」赤ちゃんを殺した後、彼女も自殺をして、来世で一緒になろうとしたのです。彼女の失望に、マイケルはその写真を額装し、自宅のダイニングルームのテーブルの上に掛けました。後に、そのファンが精神病院に送られたことをマイケルは知ります。 しかしマイケル本人によると、「Billie Jean」は彼が個人的に関わった誰かからインスピレーションを受けたのではなく、むしろ彼の兄弟たちからインスピレーションを受けたようです。 「本物のビリー・ジーンは存在しないんだ。この歌の女の子は、僕の兄弟たちが長年悩まされてきた人々の合成物なんだよ。真実ではないのに、どうしてこれらの女の子たちが子供を身ごもっているなんて言うのか、僕には理解できなかったよ」。マイケル著『ムーンウォーク』88年より。 ●1978 1.Wanna Be Startin' Somethin' (1978 Demo) 5:42 ●1980 Triumph Era 2.We Love You (Demo) 3:31 3.Everybody (Demo) 8:03 4.Wonderring Who (Extended Version) 9:43 5.Wonderring Who (Extended Version #2) 7:19 ●1981 April to May 6.Say Say Say (2015 Remix) 3:47 7.Say Say Say (Demo) 4:17 8.Say Say Say (Alternate Version) 6:56 ●1981 9.Who Do You Know (Demo) 5:23 10.The Toy (Demo) 3:05 ●1981 Fall 11.What A Lovely Way To Go (Demo) 3:55 12.Lovely Way (snippet) 0:12 13.She's Trouble (Leaked Demo) 3:46 14.She's Trouble (Demo) 4:13 15.Got The Hots (Demo) 4:25 16.Billie Jean (1981 Demo) 2:20
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マイケル・ジャクソン / Genesis (1CDR)
¥990
世界で一番売れたアルバム、マイケル・ジャクソンの『Thriller』。そのデモ集が09年にリリースされており、その復刻盤です。当時のリークですが総じて音のバランスを整えており音質が良く、『Thriller』のオルタネイト・アルバムとして十二分に聴けるクオリティです。また「Startin' Somethin'」(Demo)は『The Complete Thriller Sessions』収録とは異なるものです。「Billie Jean (Demo)」も『The Complete Thriller Sessions』の(2nd Studio Demo)と似ていますがやや音質が良くレングスも異なります。またそして「P.Y.T.」は完全なインストでとてもレアです。 マイケル・ジャクソン/The Complete THRILLER Sessions (2CDR) https://purpletown.buyshop.jp/items/27330527 またこのタイトルの面白いのはマイケルに歌ってもらおうと作った作者のデモ音源が収録されていることです。それもボツにされたものもあって、かなりマニアックですが、とても興味深いです。まず「Nite Line」は、このタイトルの冒頭に収録されたマイケルがボーカルのややロッキッシュなバージョンとは異なるアレンジです。作者の一人ブリー・ハワード(全て女性がメンバーの作曲能力があるバンドFannyのドラマー)がボーカル、そしてグレン・バラード(後にシーダ・ギャレットと「Man In The Mirror」を作った人)、デイヴィー・ファラガー(エルビス・コステロ等でベース)の3人が作り、エレクトロ・ダンス・ミュージックでありながらギターのカッティングが入るテクノ・ファンクとでも呼びたいサウンドで、ユーロ・ビートにも通じるポップさもある素敵な曲です。結局「Nite Line」はポインター・シスターズに提供されることになります。 そしてマイケル・センベロ(ギターリスト、スティービー・ワンダー、テンプテーションズ、ジョージ・ベンソン等、映画『フラッシュダンス』で使われた「Maniac」でグラミー賞)がボーカル、ドン・フリーマン(ジェフリー・オズボーン、チャカ・カーン、ロバート・パーマーの曲を共作、クインシー陣営)と共作した「Carousel」のデモ。AORの大名曲としてマイケル・センベロ自身が当時リリースさせていたら大ヒットしたんじゃないか、という出来です。クインシーがプロデュースしたマイケルのバージョンも哀愁があって素晴らしいので、甲乙は付けられませんけども。 ビル・リヴシー(UKのバンドファイヴ・スターに曲提供、ヒット)、シュー・シフリン(ティナ・ターナー、ハート、アル・ジャロウ、クリフ・リチャード等に曲提供)、テリー・ブリットン(ティナ・ターナーで大ヒット、『Bad』収録の「Just Good Friends」で共作)の3人による「Trouble」(後の「She's Trouble」)も時代を纏ったエレクトロ・ダンスです。マイケルは時代の音を歌うというよりは時代を引っ張る、時代を超える、という使命感があったと思うので、このような曲は必然的に収録されなかった、という感想を持ってしまいます。 1 Nite Line (Demo) 4:47 2 Carousel (Demo) 4:09 3 Hot Street (Demo) 3:56 4 Girl Is Mine (Solo Demo) 3:16 5 Starlight (Demo) 5:09 6 Baby Be Mine (Demo) 4:14 7 Billie Jean (Demo) 5:51 8 Startin' Somethin' (Demo) 5:28 9 P.Y.T. (Instrumental) 3:50 10 Trouble (Demo) 3:46 11 Slapstick (Demo) 2:42 12 Glen Ballard and Brie Howard – Nite Line (Demo, Performed By Writers) 5:22 13 Michael Sembello – Carousel (Demo, Performed By Writers) 3:46 14 Terry Britten and Sue Shifrin – Trouble (Demo, Performed By Writers) 3:09 15 Steve Porcaro and John Bettis – Human Nature (Demo, Performed By Writers) 3:54
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マイケル・ジャクソン / Sunset Driver (1CDR)
¥990
もし『Off The Wall』と『Thriller』の間にもう一つマイケル・ジャクソン名義のアルバムがリリースされていたとしたら。そういうコンセプトで作られた2LPアルバム『Sunset Driver』。二つのアルバムには未収録のナンバー且つ未発表曲、オルタネイト・バージョンによって構成されており、マイケル・ジャクソンの新たなる多くの驚きを発見することでしょう。 SIDE A 1. Shake Your Lovely One 2. Sunset Driver 3. Hot Street 4. She's Trouble 5. Carousel SIDE B 6. Somebody Watching Me 7. Got The Hots 8. Who Do You Know 9. Love Never Felt So Good SIDE C 10. Nite Line 11. Wondering Who 12. Say Say Say SIDE D 13. Someone In The Dark 14. For All Time 15. Behind The Mask 16. Out Of The Rain 1曲目の「Shake Your Lovely One」はジャクソンズの「Lovely One」と「Shake Your Body (Down To The Ground)」を巧妙にマッシュアップした斬新なダンス・ナンバーです。 2曲目はアルバム・タイトル曲「Sunset Driver」。マイケルのプロデュースで78年11月から79年4月にかけてヘイヴェンハーストにてアルバム『Off the Wall』用に録音されていましたが完成せず、82年8月にウェストレイク・レコーディング・スタジオで『Thriller』用にさらにオーバーダブを行って作り直しされました。マイケルの公式ウェッブとビル・ボットレルが知るメモによると「Sunset Driver」は86年5月30日から31日にかけてビルとマイケルで『Bad』アルバム用に再検討され録音、しかし最終的に完成しなかったとされています。 ここに収録されているものはリリースされた、79年と82年、それぞれのデモを使ったアップデート・ミックスです(『Thriller 40』からのデモは79年『Off The Wall』用だったという説もあります。また曲の終わり近くで、マイケルが「That's it Janet」と言っているのが聞こえますが、これは間違いなく、レコーディングセッションに同席していたと思われるジャネット・ジャクソンのことです)。 3曲目「Hot Street」はロッド テンパートン作、クインシー・ジョーンズのプロデュースで、82年8月から9月にかけてウェストレイク・レコーディング・スタジオで行われた『Thriller』セッション中に録音されました。当初「Slapstick」というタイトルで、歌詞はまったく異なっていました。マイケルはこの曲を大変気に入り、レコードに収録したいと考えていましたが、収録するほどの力強さがないと結局判断されました。マイケルは次のように語っています。「うん「Hot Street」は好きだよ。あの曲は大好きだ。クインシーとロッドは十分良いとは思わなかったんだけど、僕は素晴らしいと思った」。 4曲目は「She's Trouble」。ビル・リヴシー、スー・シフリン、テリー・ブリテンによって書かれ、81年秋にマイケルによって録音されましたがボツとなり、後にスコット・ベイオのアルバム『The Boys Are Out Tonight』に、またミュージカル・ユースのアルバム『Different Style』にも提供されました。09年に未完成の歌詞とつぶやきが収録された初期のデモが流出、後に「She's Trouble」が『Thriller 40』に収録されます。 今回のバージョンはデモと最終版をミックスしたものです。結果最終版の完成された歌詞、そのボーカルのクオリティと、デモが持つファンキーなインストルメンタルさ、二つが巧妙なバランスでミックスされています。また曲の単調さを軽減するために、アドリブもいくつか独自に追加しています。 5曲目「Carousel」。マイケル・センベロとドン・フリーマンが共同で作曲し、クインシー・ジョーンズがプロデュース、82年8月から9月にかけて録音されました。この曲は『Thriller』の候補曲でしたが、結局「Human Nature」にその座を譲ることとなりました。「素晴らしい曲だよ。マイケル・センベロのあのスローな曲は美しい。でも歌詞的には、そしてその時点では、アルバムが向かう方向はそうではなかったようだ」とロッド・テンパートンが『Thriller Special Edition』のインタビューで語っています。 尚ここに収録のものは、イントロを編集し、ラスト辺りのマイケルのボーカルを加え長くして、より曲として成立させているバージョンとなっています。 6曲目「Somebody's Watching Me」はロックウェルが歌っている部分をほとんどを削除し、マイケル中心の曲となったバージョンです。なおコーラスにジャーメイン・ジャクソンが参加しています。ロックウェルが作曲し、カーティス・アンソニー・ノーレンがプロデュース、83年に録音されました。ロックウェルの父でありモータウンのCEOであるベリー・ゴーディは、当初はデモに満足していませんでしたが、ジャクソン兄弟をフィーチャーさせることでこれならヒットすると思ったそうです。 7曲目「Got The Hots」はマイケル・ジャクソン、クインシー・ジョーンズ、ロッド・テンパートンの作曲、プロデュースで、81年秋に録音されましたが『Thriller』ではボツとなりました。後にシーダ・ギャレットに渡され、彼女はこの曲を書き直して「Baby's Got It Bad」と改名し、彼女のアルバム『Kiss Of Life』に収録されました。他に同様の扱いとなった曲に「Groove Of Midnight」があります。 8曲目「Who Do You Know」。マイケルは、『Thriller』セッション前の80年にこの曲制作を開始、アルバム・セッション中81年秋にヘイヴェンハーストで、更にウェストレイクで82年2月まで曲作りが続けられましたが、最終的に完成には至りませんでした。そして『Victory』セッション中にマイケルによって作り直され、アルバム収録が検討されましたが、「State Of Shock」、「Be Not Always」、「The Hurt」という他の3曲への関与だけとなりました。マイケルは93年のメキシコでの証言でこの曲の存在を認めていますが、詳細は語りませんでした。「Who Do You Know」は、マイケルが2年前に去ったという女性への悲しみと、彼女を見つけたいという思いを表現した曲です。78年というとダイアナ・ロス、そしてテイタム・オニールがマイケルの恋人としての候補になりますが、「Remember The Time」がダイアナを思って歌っていることもあり、「Who Do You Know」もそうではないでしょうか。 今回収録のものは曲を少しエディットし、最後のコーラスの箇所にオープニングにあったギターを追加しています。 9曲目「Love Never Felt So Good」は (80's Mix)となっています。 「Love Never Felt So Good」は、マイケル・ジャクソンの未発表曲で、死後2枚目となる最後のアルバム『Xscape』の1曲目としてリリースされました。14年5月2日にシングルとしてリリースされ、アルバムのリードシングルとなりました。ジャスティン・ティンバーレイクとのデュエット、ソロリミックス、オリジナルデモの3つのバージョンがリリースされました。マイケルとポール・アンカとの共同作曲、共同プロデュースで、80年に録音されました。他の2曲 (「It Don't Matter To Me」と「I Never Heard」) と同様に、このコラボレーション曲はアンカの83 年のアルバム「Walk a Fine Line」に収録される予定でしたが採用されず、1年後のジョニー・マティスの「A Special Part Of Me」で日の目を見ました。収録されました。10年マイケルのアルバムのために保管庫から取り出され、ジョン・マクレインとジョルジオ・トゥインフォートによってプロデュースで作られましたが、未発表、ですが同年、高音質の音源が流出、最終的に10年のとまったく同じ再録音バージョンが『Xscape』に収録されました。ソロバージョンの他に、ティンバランドとJロックがプロデュースしたマイケルとジャスティン・ティンバーレイクのデュエット・リミックスが作られ、マイケルのディスコグラフィーの中でも最大のヒット曲の1つとなっています。 10曲目「Nite Line」はグレン・バラード、ブリー・ハワード、デイヴィー・ファラガーによって書かれ、クインシー・ジョーンズがプロデュース、82年8月の『Thriller』セッション中に録音されました。しかし採用されず、ポインター・シスターズへ提供、『Break Out』で「Nightline」と名前を変更し、収録されました。この曲は『Thriller 25』への収録も検討されましたが、未発表のままです。 今回テンポが遅い不要な冒頭をカット、ピアノやシンセなどの楽器を更にエクステンドさせたリミックスとなっています。 11曲目「Wondering Who」はジャクソンズの「Triumph」に収録されていますが、今回マイケルの未発表のボーカルが21年にリークしたことにより、マイケルのアドリブとバック・ボーカルを追加したバージョンにして、マイケル・ジャクソンのソロとしての仕上がりにしています。 12曲目「Say Say Say」。81年4月から5月の間にレコーディングされました。「The Girl Is Mine」のセッションの1年前になります。82年にリリースされたポール・マッカートニーの『Tug of War』に収録される予定でした。マイケルは主にフックを歌っていますが、アドリブもいくつか入っています。2人が『Pipes of Peace』に収録すべく録音したもう1つのコラボレーション曲「The Man」では、マイケルとポールのリードがバランスよくフィーチャーされています。そして15年オルタネイト・バージョン2015 Remixがリリースされ、マイケルの新しいボーカルがスリリングにフィーチャーされています。オリジナルと比べてポールとマイケルのボーカルパートが入れ替わっている様に聴こえます。 今回そのオルタネイト・バージョンを使用、マイケルがメインに歌っている形、マイケルのアルバムとしての収録に最適となります。 13曲目「Someone In the Dark」はマイケルが E.T. the Extra-Terrestrialのオーディオブックのプロモーション・シングルとしてリリースされた曲です。このトラックは、「Opening Version」と「Closing Version」の2つのパートに分かれています。クインシー・ジョーンズ・プロダクションのエグゼクティブ・バイス・プレジデント兼ゼネラル マネージャーであるエド・エクスタインは、ドキュメンタリー『スリラー40』の約46分25秒あたりで、クインシー・ジョーンズがスティーブン・スピルバーグと友人になったと述べています。スピルバーグがE.T.の制作に取り組んでいる間、クインシーとマイケルは撮影現場に招待されました。そこでスピルバーグはクインシーに一緒に何かレコードを作ろうと言ったのです。クインシーはマイケルに、物語を話し、曲を書き歌うというE.T. のストーリーブック・アルバム制作のアイデアを提案しました。マイケルは、そのアイデアを了承。82年の夏、エピック・レコードは、マイケルがストーリーブック・アルバム (新曲「Someone in the Dark」を含む) を(映画のサントラをリリースしている)MCAで録音することを許可しましたが、2つの条件を提示しました。MCAは、マイケルの新しいアルバム『Thriller』と競合しないように、82年のクリスマスまで保留にすること。そして「Someone in the Dark」をシングルとしてリリースしないこと。しかしMCAは82年11月にアルバムをリリースしますが、更にラジオ局に「Someone In the Dark」のプロモーション・コピーを配ってしまいます。それはアメリカ国内で両方の条件に違反したことになります。特に問題だったのはユニバーサル/MCAからのこのリリースについて当時のエピック・レコード社長、ウォルター・イェトニコフに連絡を取らなかったことでした。イェトニコフはマイケルに「怪物にキスするのをやめろ」と伝えるよう指示しています。訴訟の結果、MCAはアルバムを撤回し、この曲をシングルとしてリリースすることも禁じられました。こうして、マイケルの最も希少で最も人気のあるプロモーション・シングルの1つが誕生し、コピーは1,000ポンド以上で取引されたのです。『スリラー40』のドキュメンタリーでジョン・ブランカが語ったところによると、マイケルはイェトニコフに腹を立てていたそうです。イェトニコフは状況を改善するために何をすべきか考えました。結果マイケル・ジャクソンは『Off The Wall』からその後のリリースまで、すべてのマスターを所有することになったのです。廃盤となった90年代のコンピレーション・アルバム「Decade」に収録される予定だった「Someone In The Dark」、これは「Opening Version」でした。その後『Thriller 25』等に収録されていますが、それらは全て「Opening Version」です。プロモに収録の「Closing Version」とは歌詞が異なります。 ここでの収録はE.T.の声を取り除き、より原曲に近い形での収録です。 14曲目「For All Time」は80's Mixとなっています。尚この曲に関してはこのタイトルで詳しく書かれていますので、ご参照ください。 マイケル・ジャクソン / Great Works With Steve Porcaro (1CDR) https://purpletown.buyshop.jp/items/96253807 15曲目「Behind The Mask」は、イエロー・マジック・オーケストラのインストゥルメンタル曲のカバーとして、81年10月の『Thriller』セッション中に初めて録音されました。制作は1年後まで続きましたが、ボツとなり、後にグレッグ・フィリゲインズとエリック・クラプトンに渡され『Pulse』に収録されました。その後アルバム『マイケル』のために、ジョン・マクレインがインスト部分を完全に作り直し収録(そのバージョンは、バース2がバース3に置き換えられ、サックスのソロが含まれています)。アルバムからの3番目で最後のシングルとしてリリースされています。11年4月16日のレコード・ストア・デイで7インチ・ビニール盤(プレス枚数はわずか4000枚)同年、ポーランドで限定プロモーションCDが発売されています。「Behind The Mask」は坂本龍一作曲で79年9月25日の『ソリッド・ステイト・サヴァイヴァ―』に収録されています。海外でYMOが演奏すると観客がこの曲だけロックンロールだと叫んだそうです。なぜ評価が高いのか、それは一般的なテクノ・ポップよりもテンポが遅いこと。「リフ」に特徴があること。ギターで演奏した場合は指の動きが少ないことスライドするだけで演奏できること(坂本はそのように意識して作りました)。リフの3拍目の後半に休符が入ることにより緩急が付くこと。コード進行がブルースに似ているため、歌いやすいこと。Bメロにおけるベースラインがリズム・アンド・ブルースに似ていること。これらがあげられます。 ここでの収録は「A cappella」を基本ボーカルとし、「The Magical Mix」(KaiMakesMusic2) と「Stranger's Remix」(The Stranger's Remix) 二つのインストのリミックスをマッシュアップして作られたものです。 16曲目「Out Of The Rain」。元は「You Can't Win」という曲でチャーリー・スモールズが作曲し、クインシー・ジョーンズがプロデュース、74年にボルチモアで上演されたミュージカル『ザ・ウィズ』のために作られました。ですがブロードウェイの公式オープニングからカットされ、映画『ザ・ウィズ』の制作が始まるまで演奏されることはありませんでした。映画の制作中、マイケルが歌うこととなり、77年11月から78年1月にかけて録音され、「I Was Born On The Day Before Yesterday」の代わりにマイケルが演じた案山子の際に使われました。オリジナルのサウンドトラックを録音した後、マイケルはクインシー・ジョーンズと共にスタジオに戻り、78年夏『Off The Wall』風のプロダクションでこの曲を再録音しました。最終的に79年1月11日にシングルとしてリリースされ、モータウンを去ったマイケルの最初のソロシングルとなりました。「You Can't Win」は2部構成の曲となっています。前半は正式なヴァースとコーラス、後半はアドリブとバックボーカルの構成となっています(04年の『Ultimate Collection』に収録のものは7分の1曲にまとめられたバージョンが収録されています)。82年10月 18日、「You Can't Win」(Part 2)の再録音版「Can't Get Outta The Rain」がシングル「The Girl Is Mine」のB面としてリリースされました。しかしそれは基本的に元曲のパート2なのですが、「you can't get outta the game」の歌詞が「you can't get outta the rain」に置き換えられ、オーバーダブもいくつか追加されています。そして作曲クレジットにチャーリー・スモールズの名は無く、クインシーとマイケルのみとなっています。 ここに収録のバージョンは「Can't Get Outta The Rain」を独自エディットしたものです。
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オーティス・レディングと仲間達 / Video Anthology 1966-1967 (2DVDR)
¥1,490
南部メンフィスに拠点を置き、サザン・ソウルという音楽スタイルに大いに貢献したレコード・レーベル、スタックス。そこに名実共に中心となった人物がいます。オーティス・レディングです。 彼のバンドのギターだったジョニー・ジェンキンスが仕事でスタックスのスタジオに行く際に運転手として連れて行かれ、空き時間で少しだけ歌わせてもらったオーティス、その才能にスタッフ皆が惚れ込んでしまいます。62年デビュー、ジョニーはその後脱退しますが、多くの名曲をオーティスと共作するギター・リスト、スティーブ・クロッパーが在籍する、スタックスのメイン・バンド、ブッカー・TとMG's、彼らをバックに録音。遂に65年の『Otis Blue』でオーティスはR&Bナンバーワンを獲得します。 そんなビッグ・オーことオーティス・レディングの66年から67年、全盛期の映像コンピレーションDVDRです。そしてオーティスのコンピレーションであると同時に、共にツアーに出たサム&ディブ(映画『ブルース・ブラザース』で使われた少し待って、今そこへ助けに行くからと歌う「Hold On! I'm Comin'」のパフォはハゲヤバ)、アーサー・コンリー(ソウルの代表曲をオーティスと作ります)、エディー・フロイド(彼とスティーブ・クロッパーでオーティス用に作曲したものの、エディのバージョンの方が採用され結果R&Bナンバー・ワンとなった「Knock On Wood」のライブ・バージョン、プリンスもカバーしています)、ブッカーTとMG's...スタックスの、否この時期のR&Bを総括しているといっても過言ではない映像集になっています。 DVD1はローリング・ストーンズのカバー「Satisfaction」のミュージック・ビデオで始まり、カラーとは珍しいHy-Lit Show、そして後にアレサ・フランクリンがカバーする「Respect」や初期スライがプレイする「I Can't Turn You Loose」のオーティスによるパフォが観れる有名なReady Steady Goが最高です。当時の雰囲気を伝えるファンキーなイントロを含んだThe Beatもカラー映像で収録、よってDVD1は初期にも拘らず白黒映像が殆どありません。ローリング・ストーンズもカバーした「I've Been Loving You Too Long」の嬉しい演奏他、名曲目白押しです。 DVD2、まず67年スタックス・ヴォルト・レビューがロング・バージョンですが画質の悪いものと(オーティスと共作したソウル代表曲アーサー・コンリーの「Sweet Soul Music」の演奏最高!)放送されたエディット・バージョンの二つを収録しています。大名盤『Otis Blue』から圧巻のガッタガッタ(しなきゃしなきゃ!))が繰り出される「Shake」、バッキングはモータウンのファンク・ブラザースに忠実ですがオーティスのたっぷり味わいのある喉に酔い痴れられる「My Girl」のパフォを画質が綺麗な形で観れるのは嬉しい限りです。MG'sのメンバーもはっきりわかります(彼らの「Green Onion」の演奏はこの時が一番ですよ)。そしてオーティスの最後のテレビ・ショウ、Upbeatでは、ブレがありますが当時のオンエアされたままのコンプリート・バージョンと、生前最後となるアルバム『ソウル辞典』に収録、オーティスがカバーして皆に認知されることとなったガッタガッタが迫力の再放送され画質向上した「Try A Little Tenderness」のカバー、2種映像を収録しています。「Knock On Wood」ではブルー・アイド・ソウルのミッチ・ライダーと提供されるはずだったオーティスがこれまたガッタガッタを織り交ぜて凄いことになる壮絶デュエットを披露しています。 そしてUpbeat出演後、67年12月10日、26歳のオーティスは次の興行の為バックバンドのザ・バーケイズと共に、気候不順で警報が出ているにもかかわらずウイスコンシンへ向かうべく移動用セスナに乗り込みます...。スティーブとの共作で新境地となろうバラード「(Sittin' On) The Dog Of The Bay」を12月7日に完成させていました。そのシングルは68年1月に発売され全米ナンバー・ワンを、そして68年2月の追悼盤『The Dog Of The Bay』はオーティスのアルバムで最高位となる全米ポップ・アルバム・チャート4位を記録しました。 DVD1 92min. Satisfaction (MV 1966) Satisfaction Try A Little Tenderness Shake / Land of 1000 Dances ●Hy-Lit Show 1966 Introduction Satisfaction My Girl Respect Hold On! I'm Comin' (Eric Burdon) It's A Man's Man's Man's World (Chris Farlowe) Pain In My Heart I Can't Turn You Loose Shake (w/ Eric & Chris) Land Of 1000 Dances (w/ Eric & Chris) ●Ready Steady Go, London, UK Sep 16, 1966 Introduction - Mr. Pitiful Induction - I Take What I Want (Sam & Dave) - Outroduction ●The!!!! Beat October 14, 1966 Hey Gyp (Eric Burdon & The Animals) I'm Gonna Forget About You (Intro) (Arthur Conley) Phiily Dog (The Mar-Keys) - Sweet Soul Music (Arthur Conley) Knock On Wood (Eddie Floyd) Soothe Me (Sam & Dave) Hold On I'm Coming (Sam & Dave) I've Been Loving You Too Long (Ike & Tina Turner) Respect My Girl Shake I've Been Loving You Too Long Satisfaction Try A Little Tenderness I'm Gonna Forget About You (Arthur Conley) ●Sweet Soul Music...Live From The Round House + Hammersmith Odeon & More 1967 DVD2 95min. Green Onions (Booker T & The Mg's) Philly Dog (The Mar-Keys) Grab This Thing (The Mar-Keys) Last Night (The Mar-Keys) Sweet Soul Music (Arthur Conley) Raise Your Hand (Eddie Floyd) Soothe Me (Sam & Dave) When Something Is Wrong With My Baby (Sam & Dave) Hold On! I'm Comin' (Sam & Dave) My Girl Shake Satisfaction Try A Little Tenderness ●Stax/Volt Review 1967 Unedit Long Version Shake My Girl Green Onions (Booker T & The Mg's) When Something Is Wrong With My Baby (Sam & Dave) Hold On! I'm Comin' (Sam & Dave) Satisfaction Try A Little Tenderness ●Stax/Volt Review 1967 -80's Edit Ver.- Respect - Interview Try A Little Tenderness Knock On Wood (W/ Mitch Ryder) ●Upbeat 1967 Original Onair Version Try A Little Tenderness ●Upbeat (Upgraded Version) Pro-Shot
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シーラ・E / Yokohama 1990 (1CDR)
¥990
シーラ・Eの幻の時期の来日公演が発掘されました!90年7月17日の横浜アリーナでのライブを超上質オーディエンス録音で収録。ラブセクシー・ツアー後プリンスのバンドが解散となり、シーラは4枚目のアルバムをプリンスと完成させていましたが、お蔵入りとなってしまいました。シーラは体調を崩し静養していましたが、その頃にキリンギグスというフェスに参加していました。その時のライブ音源です。ライブ・バージョンはここでしか聴けない「Love On A Blue Train」、そして「A Love Bizarre」は「Batdance」のギター・カッティングがイントロとなっていて衝撃です。そしてプリンスのパレード・ツアー辺りのアレンジを取り入れつつも独自の展開を魅せ、最高の演奏になっています。サード・アルバムのファースト・シングル「Hold Me」はプリンス作ではありませんが、演奏されるのはレアで、ピュアなメロウR&Bを聴かせてくれます。「Holly Rock」女性コーラスが入ってソウルフル、そしてサックスやギター・カッティングもいつもとは少し異なっていて、とても新鮮なライブ・バージョンとなっています。そしてロング・バージョンとも言える「The Glamorous Life」は終わるかと思わせてまた始める焦らしがあります。フェスの最初に登場したシーラですが、かなり観客を盛り上げたのは聴けばきっとわかっていただけるでしょう。 プリンスの助けを借りないで作ったシーラの4枚目のアルバム『Sex Cymbal』は91年4月のリリースですが、90年にはマイケル・ピーター、J.P.チャールズ、スクリッティ・ポリッティの要デヴィッド・ガムソンらとスタジオで曲作りを初めていました。それでもライブではまだまだ披露できる程曲は完成しておらず、結果このようなプリンス作の楽曲が多くセットリストに入っています。 Kirin Gigs, Yokohama , Yokohama Arena July 17, 1990 Intro Love On A Blue Train Erotic City A Love Bizarre Hold Me Merci For The Speed Of A Mad Clown In Summer Holly Rock The Glamorous Life
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スライ&ザ・ファミリー・ストーン / Time For Changing (1CDR+1DVDR)
¥1,490
グレッグ・エリコ、ラリー・グラハム、二人の重要なオリジナルのリズム・セクションが失われ、スライのコカイン使用がエスカレートしたにもかかわらず、『Fresh』は73年にリリースされました。この頃までに、スライのサウンドはよりシンプルになり、シンコペーションが効き、リズムが複雑になっていました。 スライは『暴動』と同じように、マスターを執拗にオーバーダビングしました。このレコードはリリース時に賛否両論の評価で、バンドの以前の作品ほどの注目を集めることはなかったのですが、史上最も重要なファンク アルバムの1つとして『Fresh』は認められるようになります。ローズ・ストーンはドリス デイの「Que Sera, Sera (Whatever Will Be, Will Be)」のゴスペル風カバーでリード・ボーカルを務め、シングル「If You Want Me to Stay」はアメリカでトップ20ヒットとなりました。 74年にリリースされた『Small Talk』も同様の賛否両論の評価を受け、売り上げは低調でした。最初のシングル「Time For Livin'」は、バンドの最後のトップ40ヒットシングルとなります。2枚目のシングル「Loose Booty」は84位でした。しかしこの2曲のファンクネスは評価されてしかるべしです。 70年代にスライや他のバンドメンバーは、ギグを欠席したり、演奏を拒否したり、薬物使用で意識を失ったりすることがよくあり、ライブの予約に影響を及ぼしました。 スライが演奏を終える前に退場したりすると、観客が暴動を起こしたこともあったのです。結果バンドの仕事が少なくなります。そのためケン・ロバーツがプロモーターとなり(後にゼネラルマネージャー)、75年1月、スライ達はラジオシティミュージックホールで自ら公演を行うことになったのです。しかし有名なミュージックホールにもかかわらず観客は8分の1しか埋まらず、スライ達は帰国するためにお金をかき集めなければなりませんでした。その公演後、バンドは解散することになります。 ローズ・ストーンは、当時夫だったババ・バンクスによってバンドから引き抜かれます。彼女はソロ活動を開始し、76年にローズ・バンクス名義でモータウン風のアルバムをレコーディングしました。フレディ・ストーンは、ラリー・グラハムのグループ、グラハム・セントラル・ステーションにしばらく参加。79年に最後にコラボレーションした『Back On The Right Track』の後、音楽業界から引退し、最終的にヴァレーホのエヴァンジェリスト・テンプル・フェローシップ・センターの牧師になりました。リトル・シスターも解散し、メアリー・マクレアリーはレオン・ラッセルと結婚、音楽プロジェクトで彼と協力しました。 アンディ・ニューマークは、ロキシー・ミュージック、ピンク・フロイド、B.B.キング、スティーヴ・ウィンウッドなどと演奏し、成功したセッションドラマーとなっています。尚シンシア・ロビンソンはスライとの間に娘のファン・ロビンソン・ストーンが居ます。 さて、スライ&ザ・ファミリー・ストーンのテレビ放送、ラジオ、そしてサウンドボード音源を徹底的にコンパイルした究極のCDRタイトル、その第四弾のリリースです。インタビューを排し、基本演奏部分のみを収録しており、純粋なパフォが楽しめるライブ音源集です。 74年マイク・ダグラス・ショウの後半、スライの息子ブッハとの「Small Talk」の演奏がレア且つ素敵です。そしてこのCDの肝、74年11月9日カンサス公演。サウンドボードでノイズ等殆どなく素晴らしい。ただボーカルがややオフ気味なのですが、アンディ・ニューマークの凄い壮絶なドラミングで演奏の疾走感が半端なく、異次元のファンクを繰り広げているのが衝撃です。ホーンが鋭く嘶き猪突猛進する暴発リズム隊と新機軸のファンク・ロック・ギターがスリリング過ぎる「Thank You」はこのツアーのために用意しただろうジャムがあり、ラリー・グラハムより伝授のプリンスはこの展開をカバーしていないはず。最高にファンキーです。シド・ペイジの早急なバイオリンがドキドキする「M'Lady」はコーラスも異なり、ハープも入り新鮮。音合わせのようなジャムから気が付くと繰り出されているナンバー・ワン・ヒット「Family Affair」のホーンを中心としたアレンジがファンキー且つ斬新。「Don't Call Me Nigger , Whitey」もハモンドとホーンの哀愁さがあるこの時だけの独特なライブ・バージョンです。ドラムが思わせるんでしょうけどロックさがある「If You Want Me To Stay」はフルートが入り、ライブ・バージョンの「The Ballad Of Dorothy Parker」を思わせます。ハイパーな「Stand!」も衝撃で、スライのアジテーション中に凄いファンクをしているバッキング。壮絶イントロからの「Dance To The Music」、ハイテンションの「Music Lover」はどこか初期サンタナを思わせる暴れん坊ぶりです。そしてここで終わりそうになるのになんと新曲「Time For Livin'」。ドラムとホーンが盆踊り的能天気さがあるライブ・アレンジ。そして大団円の如き「Loose Booty」、ヴァイオリンの音色をここまでファンクさせたスライの功績を是非知って欲しい。アンディのドラミング、リトル・シスターのコーラス、ホーン、どれもこれもも改めて素敵だと言っておきます。その勢いで更なる高み「I Want To Take You Higher」へ。こんな悶絶モノのライブをしていたなんで知っている人はどれだけいることでしょう。この後75年のラジオシティーが最後のライブとなりますが、このような演奏を披露していたはずです。これを聴くと悔しくて仕方がなくなります。クスリは本当に恐ろしいです。 そして74年のマイク・ダグラス・ショウを焦点とした映像集DVDRが付きます。可能な限り上質な現存のフルレングス映像を収録させたため、インタビューが多いですが、モハメド・アリやリチャード・ブライヤーらの著名人との会話なので資料的に重要です。そして肝心のスライらのパフォも口パクではないため、本気の演奏が楽しめます。ライブならではのアレンジなら「Stand!」でのバイオリンの使い方が絶妙で、プリンスもこれは真似してません。また「Loose Booty」、「Mother Beautiful」のレアな曲の動く彼らが見えるのは大感動です。「Que Sera, Sera」ではマイク・ダグラスが朗々とした声で歌い、スライ達はコーラスに回っていますが、ある種の酔いどれ感がスライ・マナーで最高です。「Small Talk」では赤ちゃんの息子ブッハの口に手を当てて強引に声を出させ演奏に参加するよう促すスライが居ます。声が出ないといよいよわかるとブッハの頭にチョップするゼスチャーをしてキャシーに手渡します。そして最後11月の「If You Want Me To Stay 」では黒人差別を逆手に取った卑語を使う黒人スタンダップ・コメディアンのピカソ、リチャード・プライヤーとの掛け合い、そして彼がドラムで「If You Want Me To Stay」をスライが最初ギターを弾こうとしますが、合わないかなと返却、ピアノにて披露しています。 CDR 1.Small Talk 2.I Want To Take You Higher ●Mike Douglas Show July 19, 1974 3.tune up intro 4.Thank You 5.M'Lady 6.Band Intros 7.Family Affair 8.Don't Call Me Nigger, Whitey 9.Sing A Simple Song 10.If You Want Me To Stay 11.Stand! 12.Dance To The Music 13.Music Lover 14.Time For Livin' 15.Loose Booty 16.I Want To Take You Higher ●Hoch Auditorium, Lawrence, Kansas, November 9, 1974 17.If You Want Me To Stay (with Richard Pryor) ●Mike Douglas Show November 27, 1974 18.Thank You 19.M'Lady ●ABC's In Concert December 6, 1974 DVDR ●May 10, 1974 - Mike Douglas Show (S13E180): Interview If You Want Me To Stay ●July 16, 1974 - Mike Douglas Show (S13E217): Interview with Peter Marshall ●July 17, 1974 Mike Douglas Show (S13E218) with Muhammad Ali, Rocky Graziano & Congressman Wayne Hays Interview Stand! introducing the members I Want To Take You Higher ●July 18, 1974 Mike Douglas Show (S13E219 Interview Loose Booty Mother Beautiful Everyday People Que Sera, Sera (Whatever Will Be, Will Be) (with Mike Douglas) ●July 19, 1974 Mike Douglas Show (S13E220) Interview Small Talk I Want To Take You Higher ●November 27, 1974 Mike Douglas Show (S14E263) Interview (with Richard Pryor) If You Want Me To Stay (with Richard Pryor) Pro-shot 145min.
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スライ&ザ・ファミリー・ストーン / Letting Me Be Myself Again (1CDR+1DVDR)
¥1,490
スライは名声と成功を得た一方多くの問題が生じることになります。バンド内の関係がまず悪化、特にストーン兄弟とラリー・グラハムの間には軋轢がありました。そしてエピックは売れる作品を要求します。ブラックパンサー党は、スライにグレッグ・エリコとジェリー・マルティーニを黒人の楽器奏者に変えるよう圧力をかけます。69年秋にLAに引っ越した後、スライ・ストーンと彼のバンド仲間は違法薬物、主にコカインとPCPのヘビーユーザーとなってしまいます(スライはどこへ行くにも違法薬物でいっぱいのバイオリンケースを持ち歩いていたそうです)。その結果レコーディングは大幅に遅れることに。69年の夏から71年の秋にかけて、バンドは69年12月にリリースされた「Thank You (Falettinme Be Mice Elf Agin)」/「Everybody Is a Star」のわずか1枚のシングルしかリリースしませんでした。それでも「Thank You」は70年2月にBillboard Hot 100のトップに躍り出ます。 70年スライは起きている時間のほとんどをドラッグに費やしました。彼は不安定で気分屋になり、その年のバンドのコンサートの3分の1近くを欠席しています。しかしテレビのトーク番組へのライブ出演には良いものが沢山あります。一方スライはストリートに精通した仲間ハンプ・ババ・バンクスとJ.B.ブラウンを個人マネージャーとして、次にエドワード・エディ・チン・エリオットやマフィアのJ.R.ヴァルトラノなどのギャングをスライのボディーガードとして雇いました。これらの人物にスライは商取引の処理、麻薬の回収、そして彼が敵とみなした人々(その中にはバンド仲間やスタッフもいました)から身を守るよう依頼します。結果スライとバンドの他のメンバーの間に亀裂が生じ、71年初頭ドラマーのグレッグ・エリコがバンドを離れた、その最初の人物となりました。その後次々とドラマーは交代し、ジェリー・ギブソンに一応落ち着きますが、1年しかバンドに残らず、73年にアンディ・ニューマークに交代します。 ファンの新曲の需要を満たすため、エピックは素材の再リリースを開始、『A Whole New Thing』は新しいジャケとなり、最初のグレイテスト・ヒッツ・アルバムをリリース、それはビルボード200で2位を獲得しました。この時期にスライはアトランティック レコードとプロダクション契約を結び、自身のレーベル、ストーン・フラワー・プロダクションを設立しました。ストーン・フラワーは、R&Bアーティストのジョー ヒックス、6IX というグループのシングル、リトル・シスターによるポップトップ40/R&Bトップ10シングル「You're the One」と「Somebody's Watching You」(「Stand!」 のカバー) の2曲を含む4枚のシングルをリリースしました。理由は不明ですが、スライは徐々にストーン・フラワーから手を引くようになり、レーベルは71年に閉鎖されます。リトル・シスターの「Somebody's Watching You」は、リズム トラックにドラム・マシンを使用した最初の曲です。 71年、シングル「Family Affair」で復帰、ビルボード・ホット100で1位を獲得します。この曲は待望のアルバム『暴動 There's A Riot Goin' On』のリードシングルでした。60年代の作品の特徴であった楽観的でロック調のソウルではなく『暴動』はアーバンなブルースで、ダークなサウンド、フィルターを通したくごもったドラムマシンのトラック、そして70年代初頭にスライや他の多くの人々が感じていた絶望感を表現する哀愁漂うボーカルで満たされていました。 このアルバムは制作中にスライが何度も再録音やオーバーダビングを行った結果、かなりの量のヒスノイズがテープに入ってしまったことですっきりとしていないサウンドになっています。そしてアルバムの楽器演奏のほとんどはスライ1人で行っており(メンバーが同時に演奏することを拒んだためという説があります)、追加の楽器パートにはファミリー・ストーンのメンバーの他、ビリー・プレストン、アイク・ターナー、ボビー・ウーマックなどの友人たちが参加しています。「(You Caught Me) Smilin'」と「Runnin' Away」もシングルとしてリリースされ、チャートで好成績を収めました。 『暴動』のリリース後、さらにメンバー構成が変更されます。72年初頭、ジェリー・マルティーニがバンドの収益の取り分について詮索したことを受けて、スライはサックス奏者のパット・リッツォを代わりのメンバーとして雇いましたが、結局2人ともバンドに残ります。そしてその年の後半スライ・ストーンとラリー・グラハムの間の緊張は最高潮に達します。コンサート後、グラハムとスライの取り巻きの間で乱闘が勃発。ババ・バンクスとエディ・チンは、ラリー・グラハムが殺し屋を雇ってスライを殺害しようとしていると聞き、ラリーの仲間を襲撃しました。ラリーと妻はホテルの窓から脱出し、パット・リッツォが彼らを安全な場所まで避難させました。最早スライと仕事を続けることができなくなったラリー・グラハムは、すぐにファミリー・ストーンを脱退し、グラハム・セントラル・ステーションを結成します。その間、ラリーの代わりにボビー・ウーマックが加入するも、その後19歳のラスティ・アレンがメンバーとなりました。 さて、スライ&ザ・ファミリー・ストーンのテレビ放送、ラジオ、そしてサウンドボード音源を徹底的にコンパイルした究極のCDRタイトル、その第三弾のリリースです。インタビューを排し、基本演奏部分のみを収録しており、純粋なパフォが楽しめるライブ音源集です。 73年はDon Kirshner's Rock Concertが素晴らしい演奏を聴かせてくれます。テレビ映像からのリッピングで一部ノイズがありますが、これが一番良い音質です。そしてマイク・ダグラス・ショウも演奏部分のみを収録。可能な限りリマスタリング激レア曲「Mother Beautiful」、マイク・ダグラスとの「Que Sera, Sera」はここだけのプレイです。「Everybody Is A Star」も嬉しいプレイです。 そして映像集DVDRが付きます。まずABC's Rockin' USA Special Summer Jam 1974。73年『Fresh』のリリース前にドラムがアンディー・ニューマーク、ベースにラスティー・アレンになっており、新生ファミリー・ストーンの映像となります。「M'Lady」ではシド・ペイジのバイオリンが効果的に入ってスタジオ録音に忠実ながら優雅さも含むバージョンになっています。そして衝撃の演奏シーン、この時の「Thank You」のアレンジ、是非プリンスに聴かせたい!スライがリズムギターを弾くし、いつも以上にギターで活躍しています。さすが元ギターリストです。また重要な下半身系のプレイヤーをガラッと変えたことで、ロックさが希薄になった洗練された音になっています。「Everybody Is A Star」は前半がスライドのようにバンドメンバーを映して後半から演奏風景となりますが、かなりダレダレ。フレディーもちょっと酔っ払ったような声を出しています。ラスティーも緊張気味の歌。しかしこの曲のライブバージョンは貴重です。そしてバイオリンのイントロに変に嬉しがるスライ、もう薬入っているんでしょうけど、そこから強引に始まる「I Want To Take You Higher」がまたある意味らしい流れで、グルービーなアレンジとなっています。少し心配な演奏ではありますが、強引に突き進む、これを観た人はやはり噂どおりスライは薬やってるけどそれでもかっこいいと思ってしまうことでしょう。 そしてIn Concert 1973、ここでもスライはギターを弾いています。時折ハードに聴かせてくれたりするプレイ、しかしあくまで効果音的にですが。「Thank You」でリトル・シスターの女性コーラスが入ってソウルフルなアレンジになっています。スライがだらだら歌っている感じですが、そのダウナーな感じがステキ。アンディーのツッツカーの乾いたドラミングも効きます。「M`Lady」はタンバリンも入ってパーティーライクな演奏となっていますが、ラスティーが歌うパートになるとちょっとトーンが低くなるように感じられます。ラリーのあの何オクターブだか歌える喉を失ったのはやはり痛い。しかしグルービーなベースプレイで演奏の要は果たしています。そして73年10月26日のThe Midnight Special。部分収録で「If You Want Me To Stay」、「Dance To The Music」が収録されています。 73年の「Music Lover」もレアですが、この映像が肝となるでしょう、萌えーな少女が「Sly…I love him.」とつぶやくイントロ、そう、あの有名なD.K.R.C.の映像です。このライブでスライが示したソウル・ファンクショーとは何かを知ることが出来ます。ここではかなり綺麗な映像になっています。1曲目の「You Are The One」はバックでも歌っているLittle Sisiterへの提供曲。この一曲でソウル・ショウのイメージを観客に叩き込みます。『暴動』のスタジオでのワン・マン振りが有名なスライですが、ステージでのバンマスとしての手練手管を知るには格好のパフォーマンスです。この時の「Stand!」も彼女らがいて雰囲気が違い「Somebody Watching You」のライブ・バージョンはこんな感じに演奏されていたのかと夢想します。ベースも跳ねていませんがラスティ、屋台骨たるプレイで良しです。「If You Want Me To Stay」、この哀愁のホーン、しゃがれた歌い方。この曲があったからこそプリンスは「The Ballad Of Dorothy Parker」を作れたと言えるでしょう。ドラムはまだアンディーでそれも嬉しい。ラスティーはここではうねるベースを弾いています。「Thank You」はフレディーが安定したカッティングを聴かせる中スライが効果音的ギターを入れる、それがもう絶妙で、ギターソロも入るしで最高。そしてそのソロの雰囲気まんまにジャムへ突入します。スライのギターによるヘタウマ・ファンク、その典型を十二分に堪能できます。そして「Dance To The Music」、ここでもベースとドラムの下半身部隊は良い仕事をしており、スライもフリーキーにキーボード、そしてハーモニカとプレイしていきます。全演奏中最も黒い「Dance To The Music」と言っても過言じゃないはずです。そして「Music Lover」にもその黒さは染み渡っています。例の「Higher」の儀式がナレーションで潰れてしまうのは残念ですが、それだけ。後は文句なしのライブとなっています。 続いて74年6月5日MSGの結婚式の映像。相手は当然『Small Talk』に写っている女優キャシー・シルヴァ。この日のライブは満員御礼状態で、そのライブ前に牧師を呼んで挙げました。これがテレビで放送されたわけですからツクヅク目立ちたがり屋だし、人気者だったということになります。その後のパーティーの映像ではアンディー・ウォーフォールの顔が映されています。また二人の間にブッハという男の子が生まれますが、5か月後に離婚してしまいます。 74年のMike Douglasショウはインタビュー中心。モハメド・アリのキリスト否定、アラー神信仰の下ブラックピープルの権利を主張する毒舌トークを、スライは時には擁護し時には雰囲気を見て白人のコメンテーターと諍いになるのをわかったよブラザーとアリを諌めたりして取り持ちます。そして最後に歌われるゆったりアレンジの「Stand!」の主張はかなりの説得力を持って迫ってきます。でもここで「Everyday People」が歌われていたらアリはびっくりしてスライをパンチしていたかもしれないですね。「Don`t Call Me Nigger, Whitey」だったらとか。続いてAmerican Music Awards 1975の「Loose Booty」、この曲のライブ映像、観たかったはず!「I Want To Take You Higher」とメドレーになっています。この時期だともうボーカルは弱いのかなと思わされますが、スライは演奏せずボーカルに専念することで克服しています。そしてバックがガラッと変わっています。シンシアとフレディー、リトル・シスター、その辺以外はドラムもビル・ローダン、そしてベースがボビー・ベガ。しかしその一体感のあるファンクネスは唯一無二で、まだまだスライマジックがそこにはあります。そして最後のアルバム『Ain`t But The One Way』で何度目かの復活を遂げる頃のドキュメンタリー。インタビュアーに一体どうしちゃたんですか?最近は?と突っ込まれますが、リラックスしてるのさ、と一体いつまで?と聞きたくなるような受け答えをします。でもニューアルバムのレコーディングはしていると言って、ギターを爪弾いたりスタジオに入ったりまだまだ音楽をやってます的映像で健気にアピールしていますが、もう隠居爺のような老け顔が涙を誘います。しかし「Love City」の演奏となるとしっかりしていて、フレディーやローズ、シンシアのバックにいて、おっ、これなら大丈夫と思わせますが。否待てよ、ラリーがいるみたいだ。もしかすると昔の映像?実は70年くらいのライブ映像です。それじゃー凄いわけですね。そしてBill Graham Specialは86年に放送された映像、演奏時期もその頃でしょう。とにかくバンド・メンバーはスライ以外ファミリー・ストーンが不在。声も出ていますが、バックとかみ合っていません。86年はジェシー・ジョンソンの「Crazey」で客演した頃。でもこの曲のスライは最高にカッコよく、声も出ていて、復帰するとしたらこれがある意味最後のチャンスだったのかもしれません。 CDR 1.Music Lover ●TV Concert 1973 2.You're The One 3.Stand! 4.If You Want Me To Stay 5.Thank You 6.Dance To The Music 7.Music Lover ●Don Kirshner's Rock Concert 1973 8.If You Want Me To Stay ●Mike Douglas Show May 10, 1974 9.M'Lady 10.Thank You 11.Everybody Is A Star 12.I Want Take You Higher ●ABC's Rockin' USA Special Summer Jam 1974 13.Stand! 14.I Want To Take You Higher ●Mike Douglas Show July 17, 1974 15.Loose Booty 16.Mother Beautiful 17.Everyday People 18.Que Sera, Sera (Whatever Will Be, Will Be) (with Mike Douglas) ●Mike Douglas Show July 18, 1974 DVDR M'Lady Thank You Everybody Is A Star I Want Take You Higher ●ABC's Rockin' USA Special Summer Jam 1974 Thank You M'Lady ●ABC's In Concert December 6, 1974 If You Want Me To Stay Dance To The Music TV Concert 1973 Music Lover ●The Midnight Special 26 Octorber 1973 You're The One Stand! If You Want Me To Stay Thank You Dance To The Music-Music Lover ●Don Kirshner's Rock Concert 1973 Wedding Ceremony/Reception ●Madison Square Garden June 5, 1974 Interview (With Muhammad Ali) Stand! ●Mike Douglas Show July 17, 1974 Loose Booty ●American Music Awards 1975 Interview (Documentary) Love City ●TV Documentary 80's I Want To Take You Higher ●Bill Graham Special Live At Fillmore 1986 Pro-shot 118min.
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スライ&ザ・ファミリー・ストーン / We Got To Live Together (1CDR+1DVDR)
¥1,490
68年後半スライ・アンド・ザ・ファミリー・ストーンはシングル「Everyday People」をリリース、これがバンド初のNo.1ヒットとなりました。「Everyday People」はあらゆる種類の偏見に対する抗議であり、「皆人それぞれなんだ」というキャッチフレーズを広めました。 B面の「Sing A Simple Song」と共に、この曲はバンドの4枚目のアルバム『Stand!』のリード・シングルとなり、アルバムは最終的に300万枚以上を売り上げ、タイトル曲はアメリカで22位にまで上り詰めます。「Stand!」はバンドのキャリアにおける芸術的ハイライトの1つとされる名曲です。そして「I Want to Take You Higher」(「Stand!」シングルのB面)、「Don't Call Me Nigger, Whitey」、「Sex Machine」、「You Can Make It If You Try」などバンドを代表するナンバーが数多く収録されています。69年バンドはウッドストック・フェスティバル含めた夏のコンサートを連続でこなし、8月アルバム未収録のニュー・シングル「Hot Fun In The Summer Time」をリリース、10月USポップチャートで2位になります。 スライ&ザ・ファミリー・ストーンのテレビ放送、ラジオ、そしてサウンドボード音源を徹底的にコンパイルした究極のCDRタイトル、その第ニ弾のリリースです。インタビューを排し、基本演奏部分のみを収録しており、純粋なパフォが楽しめるライブ音源集です。 コンピレーションCDには未収録がちなLeslie Uggams Show 1969、リリース直後の「Hot Fun In The Summertime」、やや長めな「Everyday People」、Kraft Music Hall 1969は発掘映像を使った音質がより良いものを収録。ワイト島のライブ音源、「I Want To Take You Higher」は演奏されていません。「Music Lover」の中の「Higher」のフレーズが誤解されているだけです。なのでセトリにはその表記にしてあります。70年9月13日ロンドンはラスト3分(それでも一応良好サウンドボード)以外新発掘の素晴らしいサウンドボード録音となっています。70年Dick Cavett Showの「Thank You」は新発掘映像からのリッピングで既存より音質が向上しています。71年Dick Cavett Show「I Want To Take You Higher」もリマスタリングしてあります。 そして映像集DVDRが付きます。こちらはパフォだけでなく、インタビュー等も含まれ可能な限り存在する映像を収録しています。ホストのLeslie Uggamasの歌も含んでいます。そして動くスライ達がメドレーではなくしっかり演奏しての「Hot Fun In The Summertime」と「Everyday People」がとにかく嬉しいです。一方Kraft Music Hall 1969はより良い画質のものが発掘されたのでそれを収録。「Everyday People」と「Everyday People」と「Dance To The Music」そして「Hot Fun In The Summertime」から「I Want To Take You Higher」までそれぞれメドレーで目まぐるしく曲が変化していき、飽きさせないパフォになっています。前半観客をステージに上げる彼らはプリンスを思い出せます。絶好調のスライ、黒い衣装のラリー・グラハムの勇士、堪りません。 そして絶頂期のライブ映像、70年9月13日ロンドン公演。WDRの秘蔵のものですが、今までは音声部分の品質が悪いものでした。しかし最後の3分を除いて素晴らしいサウンドボード音源があり、今回それとリンクさせての収録です。アップが多くそれがとても迫力です。スライのピアノ裁きとアジテーション、ラリーの超絶ベース、シンシアの強烈なトランペットの吹きっぷり。演奏が一部編集されており、この映像だけで大満足とは言えないものの、絶対必要なマテリアルです。バックステージの映像と合わせてメンバー紹介をしたり、「Dance To The Music」でのファンクに特化したアレンジは、ラリーが結構主軸になっていて、それがプリンスに派生していく、そんな架け橋的な映像とも言えます。「I Want To Take You Higer」のラスト3分は既存のパンチがない音(それでもサウンドボード)になります。 そして70年Dick Cavett Show、ここでのもう悶絶モノのカッコよさ「Thank You」。この曲でラリー・グラハムがスラップ・ベースを発明した、ということになっていますが、そのライブ演奏が素晴らしいクオリティーの映像を発掘。画質も向上していますが、音も向上、最高です。これは『My Music Lover』とは別のタイムコードがない上質映像を重ねて収録しています。本編ではタイムコード付きの映像を使ってますが、『My Music Lover』にあったノイズを取り除いています(その除去はほんの一瞬ですが映像部分も取っています、しかしほぼ違和感はありません)同様71年Dick Cavett Show、Andy Williams Show 1971も同じ除去処理をしています。 CDR 1.Hot Fun In The Summertime 2.Everyday People Leslie Uggams Show 1969 3.Everyday People 4.Dance To The Music 5.Hot Fun In The Summertime 6.Don't Call Me Nigger, Whity 7.I Want Take You Higher Kraft Music Hall, October 20, 1969 8.Stand! 9.You Can Make It If You Try 10.Dance To The Music 11.Music Lover Afton Down, Freshwater, England August 29, 1970 12.My Lady 13.Sing A Simple Song 14.Introducing The Members 15.Stand! 16.You Can Make It If You Try (cut) 17.Everyday People 18.Dance To The Music 19.Music Lover 20.I Want To Take You Higher The Lyceum, London September 13, 1970 21.Thank You Dick Cavett Show July 13, 1970 22.I Want To Take You Higher Dick Cavett Show June 8, 1971 DVDR Put A Little Love In Your Heart (Leslie Uggamas) Hot Fun In The Summertime Everyday People ●Leslie Uggams Show 1969 Everyday People Dance To The Music Hot Fun In The Summertime Don't Call Me Nigger, Whity I Want To Take You Higher ●Kraft Music Hall 1969 My Lady Sing A Simple Song Introducing The Members Stand! You Can Make It If You Try (cut) Everyday People Dance To The Music Music Lover / I Want To Take You Higher ●The Lyceum, London September 13, 1970 Thank You ●Dick Cavett Show July 13, 1970 I Want To Take You Higher ●Dick Cavett Show June 8, 1971 Thank You ●Andy Williams Show 1971 Pro-Shot 88min.
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スライ&ザ・ファミリー・ストーン / My Music Lover (1CDR+1DVDR)
¥1,490
スライ&ザ・ファミリー・ストーンは、66年にカリフォルニア州サンフランシスコで結成され、83年まで活動していたアメリカのファンク・バンドです。ファンク、ソウル、R&B、ロック、サイケデリックミュージックの発展において極めて重要な役割を果たしました。シンガー・ソングライター、レコード・プロデューサー、マルチ楽器プレイヤーのスライ・ストーンがリーダー、そしてスライの弟でシンガー/ギターのフレディ・ストーン、妹でシンガー・キーボードのローズ・ストーン、トランペットのシンシア・ロビンソン、ドラマーのグレッグ・エリコ、サックスのジェリー・マルティーニ、ベーシストのラリー・グラハム。彼らは人種的に統合された男女混合のラインナップを持つ最初のアメリカのロック・グループでもあり、多種多様な音楽ジャンルを融合し、新たな「サイケデリック・ソウル」サウンドの先駆的バンドとなりました。音楽評論家のジョエル・セルヴィンは「黒人音楽には2つの種類がある。スライ・ストーン以前の黒人音楽と、スライ・ストーン以降の黒人音楽だ」と記しています。 64年シルベスター・スチュワートはスライ・ストーンという名でサンマテオのR&Bラジオ局KSOL のDJとなり、ビートルズやローリング・ストーンズなどの白人アーティストもプレイリストに含めました。同時期にオータム・レコードのレコード プロデューサーとしても働き、ボー・ブランメルズやモジョ・メンなどのサンフランシスコ地域のバンドのプロデュースを担当。66年スライは、トランペットの知り合いシンシア・ロビンソンを含むスライ&ザ・ストーナーズというバンドを結成します。同じ頃、弟フレディは、ドラムのグレッグ エリコとサックスのロニー クロフォードを含むフレディ&ザ・ストーン・ソウルズを結成。ジェリー・マルティーニの提案で、スライとフレディはバンドを統合し、66年11月にスライ・アンド・ザ・ファミリー・ストーンとなりました。正確には当初スライ・ブラザーズ・アンド・シスターズと呼ばれていましたが、レッドウッドシティのナイトクラブ、ウィンチェスター大聖堂での最初のライブの後、名前をスライ&ザ・ファミリー・ストーンに変更しました。スライとフレディはどちらもギタリストだったため、スライはフレディをファミリー・ストーンの公式ギタリストに、電子オルガンを独学で習得しました。スライはまた、シンシア・ロビンソンのいとこであるラリー・グラハムをベースギター奏者として採用しています。そしてスライの妹ヴァエッタ・スチュワート、彼女と友人のメアリー・マクリアリー、エルバ・ムートンはヘブンリー・トーンズというゴスペルグループを結成していましたが、スライは高校を卒業したばかりの10代の女性たちを、スライ&ザ・ファミリー・ストーンのバックボーカル、リトル・シスターとして採用しました。 ウィンチェスター大聖堂でのライブの後、CBSレコードの重役デビッド・カプラリックは、このグループをCBSのエピックレコードレーベルと契約させます。ファースト・アルバム『A Whole New Thing』は67年にリリースされ、特にモーズ・アリソンやトニー・ベネットなどのミュージシャンから高い評価を受けました。しかしアルバムの売り上げが振るわなかったため、演奏場所は小さなクラブに限られ、クライヴ・デイヴィスとレコードレーベルが介入することになります。デイヴィスはスライにレコードの作曲と録音をするよう依頼、彼とバンドはシングル「Dance to the Music」を提供します。 68年2月にリリースされた「Dance To The Music」は画期的なヒットとなり、バンド初のチャート入りシングルとなり、ビルボードホット100で8位に達しました。そのリリース直前に、ローズ・ストーンがボーカリスト兼キーボード奏者としてバンドに加わっています。アルバム『DanceTo The Music』はまずまずの売り上げを記録しましたが、続く『Life』は商業的にはそれほど成功しませんでした。68年9月バンドは初の海外ツアーに乗り出し、イギリスに向かいます。しかしラリー・グラハムがマリファナ所持で逮捕され、コンサートプロモーターとの意見の相違によりツアーは中止されることになります。 そんなスライ&ザ・ファミリー・ストーンのテレビ放送、ラジオ、そしてサウンドボード音源を徹底的にコンパイルした究極のCDRタイトル、その第一弾のリリースです。インタビューを排し、基本演奏部分のみを収録しており、純粋なパフォが楽しめるライブ音源集です。 68年のブルックリン、NBCスタジオでのKraft Music Hallのテレビ放送を既存の音寄れのないしっかりとしたサウンドボード音源で収録。そして68年9月3日のコロンバスのState Fair、そして既存では未完成収録だったEd Sullivanショウも全て収録。そしてテキサス・ポップ・フェスもリマスタリングを施し、映像DVDRよりも長い、コンプリート・サウンドボード収録しています。 そして映像集DVDRが付きます。こちらはパフォだけでなく、インタビュー等も含まれ可能な限り存在する映像を収録しています。タイムコードが付いているのが多いですが、それだけ貴重だと言えます。一部ノイズが入る箇所がありますが、当時としては超上質映像と言えるでしょう。まず断片を含むミュージック・ビデオ4つ、内「Dance To The Music」ではスポ刈りのスライがキーボード弾いている姿を観る事が出来ます。その「Dance To The Music」はバンドメンバー全てが右に左に体を振って、統一したグルーブ感を演出しているのがとてもカッコよいです。「Sing A Simple Song」は指揮者のようにスティックを振っているドラムのグレッグ・エリコが中心となったショットで異色です。「Everyday People #1」もバンドを上手く捉えています。次の「Everyday People #2」では演奏シーンが無く、バンド・メンバーがドライブしたり、動物園のシーン等、かなりのんびりした映像です。 そしてKraft Music Hall 1968、これが動くスライ、口パクではないスライの最古のライブ映像です。「Life」を最初に演奏していますが、この曲は「Dance To The Music」のヒットに比べたら全く売れなかった曲で、この頃より前に「Dance To The Music」ヒット当時の映像もあってもおかしくないのですが、残念ながら発掘されていません。そんな脚光を浴びない「Life」、エレピ演奏を終わらせ、はにかみながらボーカルを取るスライは前述のスポ刈から少し伸びたような髪型で、最高のがなりを聴かせてくれ、度胸のあるバンマス然としたスライとなっていてとてもカッコイイです。続く「Dance To The Music」は更に動きが激しくなり、煌びやかなステージングに滑稽なバックのダンス、この時点でもうスライのステージはスライだけにしか出来ない異色さに彩られています「Music Lover」へとメドレー形式に入るのはアルバム『Dance To The Music』の形でもあり、この曲のライブ中の基本的流れです。そこに“I Want To Take You Higher!”の掛け声も入ります。これはアルバム『Dance To The Music』収録の「Higher」での使い方であり、所謂有名な「I Want To Take You Higher」ではありません。結構この二つの曲を混同しているセットリストが多いですが、使い分けたい所です。 Ohio State Music Fair 1968、「Dance To The Music」の二番煎じ的な「M`Lady」も決して売れたシングルではありませんが、この曲のライブバージョンはとても素晴らしいです。そして「Music Lover」に入る部分のジャム、ここでのスライの踊りが物凄いことになってます。音に合ってないんですが、強引さで押し切ります(でもこの踊りは後にいろいろな部分で登場し波乱を呼ぶことになります)。そしてラリーとフレディーもグワングワン動いています。そしてI Want To Take You Higher!のコール&レスポンスがあります。でもその前にL.O.V.Eなんていって、俊ちゃんみたいなことを叫びますが、スライだからこそ全然許せてしまいます(これも結構他の映像でもやっています)。最後にまたステージに呼ばれてバンドが喝采を浴びるその部分も収録。次のKraft Music Show 1969、70年という説がありますが、69年10月20日が正解です。「Hot Fun In The Summertime」を演奏、バンドの衣装も突然垢抜けています。ウッドストックの時の衣装と互角か、それ以上の派手さ、サイケさです。当然ここでの演奏は完成形とも言えるスライのステージになっていますが、やはり「Hot Fun In The Summertime」のライブバージョンが観れる事が嬉しいです。「Don`t Call Me Nigger, Whitey」も嬉しい演奏。グレッグ・エリコのドラムの面白い叩き方はスライ・ビートの実は核であり、垣根を超えたそのバンド性のキーとなるプレイヤーです。「I Want To Take You Higher」の独特のタメを持たせたスライのこぶしの効いたボーカルワークは成功を経た余裕から来るものでしょうかとてもゾクゾクさせられます。観客に白人も多くいて、ヒット驀進はそんな彼らが聴いていてくれたおかげだとわかります。でも彼らが反応しての踊りはあまり上手くありません。それでもここでの「I Want To Take You Higher」は例外無くクロージングとしても、盛り上げる曲としても、バンドの切り札的楽曲として成立しています。そして時代が少し戻ってのEd Sulivan Show。ここでイキナリ平和主義的MCをスライが言って、変則的に始まる「Everyday People」は鳥肌が立ちます。お茶の間の白人もびっくりした事でしょう。その「Everyday People」も殆どイントロって感じで終わります。全曲メドレーですが、Ohio State Music Fair 1968を発展させた演奏です。あの強引なスライの踊りも披露されています。それもステージを降りて白人の隣で。そしてグレッグ・エリコ。かっこいい、ルーク・スカイウォーカーのようにハンサムなので、カメラもちらちら写してます。一方従兄弟のジェリー・マルティニの方はなぜか控えめです。そして「Love City」は、グレッグ・エリコのカウント風のドラミングからパンして、スライとローズの仲良しデュエットで始まります。茶色いコケティッシュな帽子がかわいいスライ。ハーモニカもスライがさらっと披露しています。あの恥ずかしいL.O.V.E.を白人観客にやらせますが、あっさり終わらせています。しかしその演奏はもうタイトにグイグイ行ってます。そしてTexas International Pop Fesの映像、テレビ放送ではないので、多少乱れもありますが、これが現時点の最高画質です。これがライブの醍醐味、と大感動間違いなし。カメラも複数使っています。観客はそれほど多くないですが、気持ちはウッドストック、という感じです。「You Can Make It If You Try」、ここでのスライのエレピのイントロも悪くないですが、中半のギターとベースとドラムのジャムから、テンポがゆったりとなって、歪んだベースが鳴りながら混沌としていく様が黒いです。「Everyday People」はスライもシンシアも丁寧に歌っているのがメッセージとしてこの曲を成立させるためなのでしょう、しかし長く演奏せず「Dance To The Music」のファンキーな世界へとまた雪崩れ込みます。「Music Lover」からあの「Higher」とウッドストックを彷彿とさせる展開があります。そしてアンコールにスライは真の「I Want To Take You Higher」を披露します。この醍醐味!尚CDの方は映像よりも長く収録されています。そして70年7月13日のDick Cavett Showは完全にファンクバンドのカッコよさを前面に出し、ラリー・グラハムなんかこれぞファンクと言った格好でチョッパーをぶちかまします。スライの黒で決めたコスチュームもイカしているし、ギターを弾いています。「Thank You」を演奏するためです。この曲がチャートのトップを飾った頃のプレイなのですから悪いはずがありません。さらに71年のDick Cavett Showになると、69年Kraft Music Showの「I Want To Take You Higher」より更なる加速度を増して黒々しく迫ります。特にフレディー・ストーンのギターはワウで黒さを助長し、ラリーもその頭何とかして!と言いたい位のむさいアフロになってもはや黒いキリストです。スライもどこか別の世界に行ってしまったかのような恍惚のダンスとボーカルを魅せ、最後にバンドがスライを残して去っていくシーンは必見です。インタビューでタンバリンを叩きすぎて腕が折れたなんて言っているくらいのアグレッシブな演奏です。バンドのピークはこの辺りではないでしょうか。そしてレコードコレクターズ誌で小倉エージさんが当時観たとしているAndy Williams Show 1971。「Thank You」を披露しています。お茶の間の衝撃度は凄かったそうですが、その伝説の映像となります。口パクで、アングルとかもスライ中心ですが、結構随所に映画チックな撮影になっていて、この映像を流した当時はそういった部分でもセンセーションだったはずです。スライの勇姿はとにかく眩いです。 CDR 1.Life 2.Dance To The Music 3.Music Lover Kraft Music Hall 1968 4.M'Lady 5.Music Lover Ohio State Fair 1968 6.Everyday People 7.Dance To The Music 8.Sing A Simple Song chant 9.M'Lady 10.Music Lover 11.Love City Ed Sullivan Show 1969 12.M'Lady 13.Sing A Simple Song 14.You Can Make It If You Try 15.Stand 16.Love City 17.Everyday People 18.Dance To The Music 19.Music Lover 20.I Want To Take You Higher Texas International Pop Festival 1969 DVDR Dance To The Music Sing A Simple Song Everyday People V1 Everyday People V2 ●Music Videos Life Dance To The Music - Music Lover ●Kraft Music Hall 1968 M'Lady - Music Lover ●Ohio State Fair 1968 Everyday People - Dance To The Music Hot Fun In The Summertime - Don't Call Me Nigger, Whity - I Want Take You Higher ●Kraft Music Hall 1969 Everyday People - Dance To The Music - Sing A Simple Song chant - M'Lady - Music Lover Love City ●Ed Sullivan Show 1969 M'Lady Sing A Simple Song You Can Make It If You Try Everyday People Dance To The Music - Music Lover I Want To Take You Higher ●Texas International Pop Festival 1969 Thank You Interview ●Dick Cavette Show 1970 I Want To Take You Higher Interview ●Dick Cavette Show 1971 Thank You ●Andy Williams Show 1971 Pro-Shot 128min.
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マイケル・ジャクソン / Alternate Off The Wall Version 2 (2CDR)
¥1,490
ブラコンの大傑作、マイケル・ジャクソンの『Off The Wall』のレア音源を多く含むオルタネイト・バージョンは既にリリースされています。 マイケル・ジャクソン/Alternate Off The Wall (1CDR) https://purpletown.buyshop.jp/items/27380993 またその頃のコラボレーション、アウトテイク等を集めたタイトルもございます。 マイケル・ジャクソン/The Complete Outtakes, Duets & Collaborations 1978-1982 (2CDR) https://purpletown.buyshop.jp/items/27490128 上記のリリース以降、10年代後半から、更に発掘されたマイケル・ジャクソン関連の音源をリリースしていきます。その第2弾はどんどん出てきた『Off The Wall』リリース前後の音源を2枚組に収録です。 まずDisc 1は『Off The Wall』のエクスパンデッド・エディションと呼ぶべきタイトルです。既に『Alternate Off The Wall』のリリースがありますが、それとは被らない音源で構成されたものです。スタジオ・デモを使ってロング・バージョンにした「Don't Stop 'Til You Get Enough」、発掘された「Rock With You」のデモ、そしてスタジオ・デモを使ってのロング・バージョン「Workin' Day And Night」、ドラムが大きく、異なるリズムギターの「Get On The Floor」のオリジナル・バージョン、ギターカッティングが心地よいファンメイドですがどこかインコグニートの前身ライト・オブ・ザ・ワールドを思わせる「Off The Wall(Soulful French Tour Remix)」、「Girlfriend」の素敵なエクステンド・ミックス、発掘された「She's Out Of My Life」のデモ。そして衝撃の「I Can't Help It」の79年のデモ、『Alternate Off The Wall』は78年のデモなので異なります。明らかにスティービー・ワンダーによるよりライブ感のあるピアノ・ワーク、ジョン・ロビンソンのジャストなドラミング、そしてマイケルの一生懸命なボーカル、素敵過ぎます。そして11分なのに飽きさせない「It's The Falling In Love」、楽器演奏がしっかり伸びてこれぞの「Burn This Disco Out」のエクステンド・バージョンとここまでアナザー・ワールドの『Off The Wall』を堪能できます。しかしこれで終わりません。更にアウトテイクと言える「Sunset Driver」、そのファンメイドながら素敵なエクステンド・バージョン、そして初登場の「Don't Matter To Me」のマイケルのソロ・バージョン、そして「Love Never Felt So Good」の元デモとレアな3曲が付いて更に『Off The Wall』の魅力の深みへと邁進します。 Disc 2はまず「This Is It」のマキシ・シングル再現です。この 曲は『Off The Wall』リリース直後80年にマイケルとポール・アンカによって書かれ、元は「I Never Heard」というタイトルで録音されていました。アンカのアルバム『Walk a Fine Line』に収録される予定でしたが、2人による他のコラボレーション曲「Love Never Felt So Good」や「It Don't Matter To Me」とともにお蔵入りとなりました。マイケルはアンカから曲のカセットテープを無断で持ち去ったため、アンカは録音が返還されなければ法的措置を取ると脅しました。マイケル・バージョンの「This Is It」はマイケルの声とピアノ伴奏のみが入ったテープが入った箱から見つかったと伝えられており、この曲は必要最低限の録音だったと説明されています。それがわずか23秒なのでスニペットですが、Disc 2の1曲目のデモです。マイケルはその後テープを返却しましたが、アンカはマイケルが「I Never Heard」の録音をコピーし、マイケルの歌のみで曲名を「This Is It」に改名したと主張しました。一方90年アンカはプエルトリコのR&Bアーティスト、サファイアに「This Is It」の録音を許可し、彼女はこれをオリジナルのタイトル「I Never Heard」で91年の2枚目のスタジオアルバム「I Wasn't Born Yesterday」に収録しました。その音源は以下のタイトルに収録されています。 マイケル・ジャクソン/The Complete Outtakes, Duets & Collaborations 1989-1992 (2CDR) https://purpletown.buyshop.jp/items/27668471 後に映画『This Is It』の際にジョン・マクレインとマーヴィン・ウォーレンによって作り直され、ジャクソン兄弟がバックボーカルを担当しました。この時の09年の「This Is It」は映画『This Is It』とは全く関係はないのですが、プロモーション用に使用さることとなりました。一方アンカはこの曲をリメイクし、アップビートなインストゥルメンタルに『I Never Heard』のこれまで聞いたことのないボーカルを入れて、13年のアルバム『Duets』に収録されました。今回アルバム『This Is It』にも未収録のフル・バージョンを含む既存音源を全て収録、「This Is It」の全貌に迫ります。 そして『Off The Wall』関連のレア音源、『Alternate Off The Wall』リリース以降、更に発掘されたものを収録しています。「Rock With You」のストリングスがバッキングのバージョン、そしてファンが作ったとても優雅なスロウ・バージョン。そして作者ロッド・テンパートンのデモですが、歌詞が殆ど完成しておらず(恐らくタイトルもまだ決まっていなかったはず)、しかし彼のバンド、ヒートウエイブのサウンドにかなり酷似したカッティングが入っていてよりファンキーになっているのが大変興味深いです。ポール・マッカートニー作の「Girlfriend」のデモとウイングスのバージョン、そして作者キャロル・ベイヤー・セイガーの「It's Falling In Love」。そして「Burn This Disco Out」の別のファンメイドのエクステンド・バージョン、こちらも原曲に忠実で楽しめます。そして(Disc 1に収録してあるのはこの曲のマイケルのボーカル・パートが聴けるものでした)ドレイクの「Don't Matter To Me」。セカンド・アルバム『Scorpion』に収録されています。マイケルとポール・アンカの80年のレコーディングのテープをどうやって入手出来たのか不明なのですが、とにかくドレイクはそれを使った疑似デュエット曲を作りました。元々ピアノをバッキングにマイケルが歌っているデモが存在するとのことで、もしかするとDisc 1の音源がそれなのかもしれませんが、不明です。そして最後はこれはフェイクの可能性が高いのですが、『Off The Wall』時期のアウトテイク「A Baby Smiles」のインスト。スイング・アウト・シスターの「Breakout」を思い出させる点、結果先んじていることになるのですが、果たして。 Disc 1 1.Don't Stop 'Till You Get Enough (Studio Demo Reconstruction) 7:25 2.Rock With You (Demo) 4:40 3.Workin' Day And Night (Studio Demo Reconstruction) 9:34 4.Get On The Floor (Original Version) 4:46 5.Off The Wall (Soulful French Touch Remix) 7:45 6.Girlfriend (Extended Mix) 5:56 7.She's Out Of My Life (Demo) 3:18 8.I Can't Help It (1979 Demo) 4:43 9.It's The Falling In Love (Extended Version) 11:20 10.Burn This Disco Out (Extended Version #1) 8:22 11.Sunset Driver (Extended Disco Mix) 5:24 12.Don't Matter To Me (Michael Jackson Solo Mix) 3:13 13.Love Never Felt So Good (Demo 2010) 3:17 Disc 2 1.I Never Heard (Demo) 0:24 2.This Is It (Single Version) 3:37 3.This Is It (Full Version) 4:42 4.This Is It (Orchestra Version) 4:55 5.This Is It (I Never Heard) (Duet with Paul Anka) 4:11 6.Don't Stop 'Til You Get Enough (Original Home Demo) 4:39 7.Rock With You (String Version) 4:27 8.Rock With You (Rod Temperton Demo) 4:40 9.Rock With You (Classical Slow Mix) 5:20 10.Workin' Day And Night (Original Home Demo) 4:20 11.Off The Wall (Deluxe Dance Mix) 6:39 12.Girlfriend (Paul McCartney's Demo) 2:34 13.Girlfriend (Original Wings Version) 4:39 14.It's The Falling In Love (Original Carole Bayer Sager Version) 3:56 15.Burn This Disc Out (Extended Version #2) 5:43 16.Don't Matter To Me (Drake Version) 4:06 17.A Baby Smiles (instrumental) 3:35
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サンタナ / Santana III Outtakes And Rehearsals (2CDR)
¥1,490
71年リリースのサンタナのマスターピース、そのアルバムのアウトテイクス、リハーサルを収録した2枚組です。ほんの一部に音切れ等ありますが、素晴らしいサウンドボード録音です。 CDR 1 Sessions at Wally Heider Studios, San Francisco, Nov 1970 JUNGLE STRUT (ALTERNATE TAKE) 5:07 EVERYBODYS EVERYTHING (INST.JAM) 4:17 BALLIN (OUTTAKE) 6:12 FOLSOM STREET (OUTTAKE) 8:30 FRIEDNECKBONES & HOME FRIES (OUTTAKE) 5:16 GUAJIRA (DEMO) 5:26 TUNE IN (REHEARSAL) 3:16 BLUES JAM 5:58 EVERYTHING IS COMING OUR WAY (INST.) 3:26 BATUKA (JAM WITH BLUES) 6:42 REHEARSAL JAM 1 22:35 CDR 2 Sessions at Columbia Studios, San Francisco Jan 24 1971 REHEARSAL JAM 2 6:29 JUNGLE STRUT (EXPANDED) 6:12 BALLIN (EXPANDED) 8:38 FOLSOM STREET (EXPANDED) 6:26 GUMBO (ALTERNATE TAKE) 4.29 JUNGLE STRUT (ALTERNATE TAKE 2) 5.29 TOUSSANT L'OVERTURE (ALTERNATE TAKE) 4.39 以下はこのタイトルに関連するジム・マッカーシーのレビュー、を抜粋抄訳しました。 『サンタナ3』、または単にサード・アルバムとも呼ばれ、決まった名が無くちょっと厄介なアルバムは、その実サンタナの最高の音楽が詰まった傑作です。アンサンブルの演奏はより自由で流動的になり、バンドはより暗く、より深く、より神秘的なグルーヴを獲得しています。サンタナのサンフランシスコを拠点とする音楽には類似点がなく、サルサでも、バガルーでも、ストレート・アヘッド、ブルースでもロックでもありません。このアルバムにはこれらすべての音楽の要素が含まれており、完全に独自の世界に存在し、それまでのラテン音楽 (モンゴ・サンタマリア、レイ・バレット、リッチー・ヴァレンス、カル・ジェイダーなど) を再定義し、新しく出現したラテン文化の先駆者となることの意味を現代的な形に定義しました。『サンタナ3』はオリジナル・バンドが音楽シーンにもたらした3部作のその最終作です。69年のウッドストック・フェスティバルでの見事な出演と、それに続く最初のレコーディング・アルバム『サンタナ』のリリースで、彼らは急速に名声を高め、フェスティバルの観客を熱狂させ、ラテン・リズムを世界地図上に載せただけでなく、アメリカの音楽史において、若く野心的なラテン系アメリカ人を代表する強力なメインの音楽勢力として、自らの地位を確立しました。 グループの中核メンバーは、カルロス・サンタナ (ギター、ボーカル)、グレッグ・ローリー (キーボード、ボーカル)、デビッド・ブラウン (ベース)、マイク・カラベロ (コンガ)、ホセ・チェピート・エリアス (ティンバレス、コンガ)、マイケル シュリーブ (ドラム) 。ゲストを歓迎し、他の人にもスポットライトを当てるサンタナの姿勢は、2人の更なる重要メンバーの加入をもたらしました。まずは15歳のギターの名手、ニール ショーンです。シュリーブとローリーは、パロアルトのポピーコック・クラブでオールドデイビスというバンドで演奏していた情熱的なショーンを発見しました。既にカルロスはギター界の天才として確立されていましたが、若いショーンが加入することに対して不安を感じてはいませんでした。実際2人は一緒になってお互いを新たな高みへと押し上げたのです。シュリーブは次のように回想します。「カルロスと一緒にサンタナバンドに入ったニールの気持ちは神のみぞ知るだ。ニールは若い情熱をバンドに持ち込み、カルロスのメロディックさも吸収した。ニールは情熱的で、物事を本当に盛り上げることができた。カルロスとニールは多くの点で同じ才能を共有していたんだ」。 アンサンブルに新たに加わったもう1人の新人、トーマス・コーク・エスコヴェドはパーカッショニスト(元々はピート・エスコヴェドとエスコヴェド・ブラザーズとして演奏していました)でした。71年初頭、ダイナミックで信じられないほど才能のあるニカラグアのティンバレス奏者、ホセ・チェピート・エリアスが突然脳動脈瘤を患ったため、コークはバンドとのツアーに同行するよう依頼されたのです。コークがバンドに加わったのは、ニューヨークのスパニッシュ・ハーレム出身のパーカッショニスト兼バンドリーダーで、サンタナ・グループに大きな影響を与え、71年2月にアフリカのガーナのアクラで行われたソウル・トゥ・ソウル独立記念日コンサートで最初の大ヒット曲「Evil Ways」を提供したウィリー・ボボをメンバーにと打診した後のことでした。 レコーディングは主にサンフランシスコのフォルサム・ストリートに新しくオープンしたコロンビア・スタジオで夜間に始まりました。サンタナはスタジオBを陣取り、長時間のジャム・セッションや、より構造化された方法で作られた曲などから、レコーディングが形になっていきました。セッションに参加したチェピート・エリアスは奇跡的に回復し、驚異的な音楽的才能を保ったまま再び参加。バンドがスーパースターの座に上り詰めるにつれ、騒々しい時代の音楽シーンに伴う過剰さも共に加わっていったのです。 『サンタナ3』があまりにも首尾一貫していて音楽的にまとまっていることは、このグループのユニークな音楽的相性を物語っています。 「Batuka」はファンキーなオープニング・カットで、ニール・ショーンのギター・ワークの野性的な側面を惜しげもなく披露しています。カルロス、グレッグ、デイヴィッドのアンサンブルを受け流す後ろで、浸透するリズム・セクションがカウベル主導のパターンを作り、ショーンの野性的なギター・ワークを導きます。 グレッグ・ローリーが回想しています「ベル・テレフォン・TV・アワーで、ズービン メータとロサンゼルス フィルハーモニックと一緒に「Batuka」を演奏したんだ。彼らはレナード・バーンスタインの曲を習うためにテープに録音したものを送ってくれたんだよ」。 コークとカラベロは、「No One To Depend On」という曲のパートをバンドに持ち込みました。これは、ウィリー・ボボの曲「Spanish Grease」にいくつかの要素が絡んいるサウンドでした。彼らはローリーのミルバレーの自宅でコラボレーションします。ローリーは雷鳴のような中間部分を書きましたが、うねるファンク・ロックのリフが満載で、すぐに観客のお気に入りとなりました。これは2枚目のシングルとなり、サンタナのチャチャチャに対する独自の解釈を示しています。「Taboo」は、グレッグ・ロリーがリハーサルで頻繁に演奏していた曲で、バンドはこの官能的な曲を雰囲気のあるアンビエントなレコーディングへと最終的に発展させました。カルロスのギターとローリーのボーカル、アウトロもニール・ショーンの鋭いフレット・ワークがあるおかげで焼けつくようなクライマックスに達し、優美さと絡み合った秀逸な演奏となっています。ここでは、サンタナがスタジオを聴覚的な楽器として扱っていることがわかります。 「No One To Depend On」 はディレイされた逆方向のエコーで終わり、「Taboo」は力強い大きな音でクライマックスに突入します。サウンドは強化され、よりオープンになり、スタジオ・エフェクトが統合的に使用されています。 ジミ・ヘンドリックスのプロデューサーとして密接に協力したエディ・クレイマーがいくつかの曲のエンジニアリングを担当しましたが、クレジットにはグレンコロトキンとサンタナのミュージシャンとなっています。 「Toussant L'Overture」(過激なピアニスト、アルベルト・ジャンキントがハイチの革命家にちなんでそう名付けました)は、サンタナのレコーディング史上の頂点となろう曲です。 最初のアルバムの頃からジャムセッションされて培われ完成したサウンドで、 激しく煙を上げる中、熱烈なイントロにおいてカルロスの恍惚としたソロをフィーチャーし、その後カラベロとチェピートの熱いパーカッション・ブレイクが続きます。フィナーレは、ロリー、ショーン、サンタナによる泣き叫ぶようなブレイクで盛り上がり、突然終了します。耳をつんざくような静寂が残り、音楽の偉大さのみが響き渡ります。 「Everybody's Everything」は最初のシングルで、ソウルベースの雰囲気を纏っており、ソウル・ファンク好きには堪らない楽曲です。イーストベイのタワー・オブ・パワーのホーン・セクションが参加しているのも特筆です。また、ショーンの狂ったワウワウペダルを駆使したソロが、チェピートの泡立つドラムをさらに引き立てているのも特徴的です。 「Guajira」はサンタナのまたもやの名曲の一つで、シュリーブはここでの美しく鋭いギターを奏でるカルロスを愛していました。チェピートのベースのイントロから始まり、4/4から6/8に変化する中でのカルロスの演奏は絶妙です。お隣さんのリコ・レイエスが、心に残るソウルフルなスペイン語のボーカルを提供しています。彼はハワイでデビッド・ブラウン、チェピートと共作しています。「Guajira」において、グレッグ・ローリーは、もう一人の熟練したラテン系ミュージシャンであるマリオ・オチョアが提供したサルサ的ピアノ・ソロを導入しています。 「Jungle Strut」は、当時のヒップなファンク・ドラマー、バーナード・パーディが参加した、ジーン・アモンズの今聴いてもオシャレーなサックス・ソウル・ジャズ・インストゥルメンタルが元です。シュリーブはデヴィッド・ガリバルディ(タワー・オブ・パワーのドラマー、プリンスも彼のドラムをサンプリングしたことがあります)と共にファンクの限界を探求し、サンタナはそれを沸騰するパーカッション・セクション上において、マルチ・ソロの別の手段として使用しました。 実験的なサンタナ・バンドのさらなるスナップショット、「Gumbo」は、2元的ギターファンクのインタールードを備えた観客を熱狂させ得るに違いない曲で、ステージではカラベロとデヴィッド・ブラウンがタンバリンで踊ったりしています。尚マイク・カラベロは、「Gumbo」がスライ・ストーンとドクター・ジョンの『Gris Gris』の両方から影響を受けていると証言しています。 レコーディングを締めくくる最後から2番目のトラックは、カルロス作の繊細曲「Everything Is Coming Our Way」で、これまでのすべての音楽とは対照的でありながら、それらを補完するものでもあります。カルロスの指示を受けたグレッグ・ローリーは、カルロス自身の痛むボーカルを解消するのに役立つ渦巻くハモンド・オルガン・ソロを入れています。 コーク・エスコベートはティト・プエンテの「Para Los Rumberos」のフレーズを導入、激しいパフォーマンスの中にルイス・ガスカが熱いトランペットの華麗な音色を奏で、アルバムを最高の状態で締めくくっています。 「Folsom Street」は新しく作られたコロンビア・スタジオの場所にちなんで名付けられましたが、実はライブで演奏されたことはありません。ゆったりとしたリズムと堅実なバンド演奏が特徴のレア曲です。 サンタナはその後すぐに問題に遭遇し、絶え間ないツアーと経営不行き届き、それに続く音楽の方向性に関する意見の不一致が、偉大な音楽グループの1つを台無しにすることとなります。 これらの音楽革命家にとって、時代の移り変わりは、わずか3年ほど続いたジェットコースターのような生活となって翻弄されていきました。しかしその年月はオリジナルのサンタナの遺産にとって素晴らしき時間であり、彼らのインスピレーションに満ちた音楽は時代を超えて時の試練に耐え続けています。
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アヴェレージ・ホワイト・バンド / Live Compilaion 1973-1979 (1DVDR)
¥990
アヴェレージ・ホワイト・バンドの黄金期、73年から79年までの映像コンピレーションの登場です。73年Old Grey Whistel Testの「Put It Where You Want It」、時代なのか個々のメンバーは殆ど髭を生やしており、アラン・ゴーリーは既に親父の風格があります。骨太ファンクネスは結成して間もない時期でもちゃんとプレイしていたとわかる、そんな超上質映像です。77年のミッドナイト・スペシャル、画質が落ち、曲がコンプリート演奏されずある種ダイジェストとなっていますが、でもアイズレーより軽やかな「Work To Do」、そして「Star In The Ghetto」、これはベンEキングとのコラボレーション・アルバム77年『Benny & Us』収録曲で(後にBen E King単独で78年『Make It Last』再収録されます)この時期ならではの貴重且つ素晴らしい演奏が楽しめます。そして主軸となる79年『Rock Goes To College』映像、76年『Soul Searching』から79年『Feel No Fret』まで70年代後半の楽曲のライブ演奏で攻めるセトリがまたどれもこれも素晴らしい出来です。 'Old Grey Whistle Test' London, England 10 July 1973 Put It Where You Want It 'Midnight Special' Montreux, Switzerland 09/10 July 1977 W/ Sammy Figueroa (Congas) Pick Up The Pieces Work To Do Star In The Ghetto W/ Ben E. King (Voc) 'Rock Goes To College' The University Of Surrey, Guildford, England 1979 When Will You Be Mine Interlude Atlantic Avenue A Love Of Your Own I'm The One Walk On By Feel No Fret Alan Gorrie (B, G, Voc) Onnie Mcintire (G, Voc) Steve Ferrone (Dr, Perc) Roger Ball (Kbds, As) Malcolm 'Molly' Duncan (Ts) Hamish Stuart (G, Voc) Pro-Shot 56min.