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スライ&ザ・ファミリー・ストーン / Letting Me Be Myself Again (1CDR+1DVDR)

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スライは名声と成功を得た一方多くの問題が生じることになります。バンド内の関係がまず悪化、特にストーン兄弟とラリー・グラハムの間には軋轢がありました。そしてエピックは売れる作品を要求します。ブラックパンサー党は、スライにグレッグ・エリコとジェリー・マルティーニを黒人の楽器奏者に変えるよう圧力をかけます。69年秋にLAに引っ越した後、スライ・ストーンと彼のバンド仲間は違法薬物、主にコカインとPCPのヘビーユーザーとなってしまいます(スライはどこへ行くにも違法薬物でいっぱいのバイオリンケースを持ち歩いていたそうです)。その結果レコーディングは大幅に遅れることに。69年の夏から71年の秋にかけて、バンドは69年12月にリリースされた「Thank You (Falettinme Be Mice Elf Agin)」/「Everybody Is a Star」のわずか1枚のシングルしかリリースしませんでした。それでも「Thank You」は70年2月にBillboard Hot 100のトップに躍り出ます。
70年スライは起きている時間のほとんどをドラッグに費やしました。彼は不安定で気分屋になり、その年のバンドのコンサートの3分の1近くを欠席しています。しかしテレビのトーク番組へのライブ出演には良いものが沢山あります。一方スライはストリートに精通した仲間ハンプ・ババ・バンクスとJ.B.ブラウンを個人マネージャーとして、次にエドワード・エディ・チン・エリオットやマフィアのJ.R.ヴァルトラノなどのギャングをスライのボディーガードとして雇いました。これらの人物にスライは商取引の処理、麻薬の回収、そして彼が敵とみなした人々(その中にはバンド仲間やスタッフもいました)から身を守るよう依頼します。結果スライとバンドの他のメンバーの間に亀裂が生じ、71年初頭ドラマーのグレッグ・エリコがバンドを離れた、その最初の人物となりました。その後次々とドラマーは交代し、ジェリー・ギブソンに一応落ち着きますが、1年しかバンドに残らず、73年にアンディ・ニューマークに交代します。

ファンの新曲の需要を満たすため、エピックは素材の再リリースを開始、『A Whole New Thing』は新しいジャケとなり、最初のグレイテスト・ヒッツ・アルバムをリリース、それはビルボード200で2位を獲得しました。この時期にスライはアトランティック レコードとプロダクション契約を結び、自身のレーベル、ストーン・フラワー・プロダクションを設立しました。ストーン・フラワーは、R&Bアーティストのジョー ヒックス、6IX というグループのシングル、リトル・シスターによるポップトップ40/R&Bトップ10シングル「You're the One」と「Somebody's Watching You」(「Stand!」 のカバー) の2曲を含む4枚のシングルをリリースしました。理由は不明ですが、スライは徐々にストーン・フラワーから手を引くようになり、レーベルは71年に閉鎖されます。リトル・シスターの「Somebody's Watching You」は、リズム トラックにドラム・マシンを使用した最初の曲です。

71年、シングル「Family Affair」で復帰、ビルボード・ホット100で1位を獲得します。この曲は待望のアルバム『暴動 There's A Riot Goin' On』のリードシングルでした。60年代の作品の特徴であった楽観的でロック調のソウルではなく『暴動』はアーバンなブルースで、ダークなサウンド、フィルターを通したくごもったドラムマシンのトラック、そして70年代初頭にスライや他の多くの人々が感じていた絶望感を表現する哀愁漂うボーカルで満たされていました。 このアルバムは制作中にスライが何度も再録音やオーバーダビングを行った結果、かなりの量のヒスノイズがテープに入ってしまったことですっきりとしていないサウンドになっています。そしてアルバムの楽器演奏のほとんどはスライ1人で行っており(メンバーが同時に演奏することを拒んだためという説があります)、追加の楽器パートにはファミリー・ストーンのメンバーの他、ビリー・プレストン、アイク・ターナー、ボビー・ウーマックなどの友人たちが参加しています。「(You Caught Me) Smilin'」と「Runnin' Away」もシングルとしてリリースされ、チャートで好成績を収めました。
『暴動』のリリース後、さらにメンバー構成が変更されます。72年初頭、ジェリー・マルティーニがバンドの収益の取り分について詮索したことを受けて、スライはサックス奏者のパット・リッツォを代わりのメンバーとして雇いましたが、結局2人ともバンドに残ります。そしてその年の後半スライ・ストーンとラリー・グラハムの間の緊張は最高潮に達します。コンサート後、グラハムとスライの取り巻きの間で乱闘が勃発。ババ・バンクスとエディ・チンは、ラリー・グラハムが殺し屋を雇ってスライを殺害しようとしていると聞き、ラリーの仲間を襲撃しました。ラリーと妻はホテルの窓から脱出し、パット・リッツォが彼らを安全な場所まで避難させました。最早スライと仕事を続けることができなくなったラリー・グラハムは、すぐにファミリー・ストーンを脱退し、グラハム・セントラル・ステーションを結成します。その間、ラリーの代わりにボビー・ウーマックが加入するも、その後19歳のラスティ・アレンがメンバーとなりました。

さて、スライ&ザ・ファミリー・ストーンのテレビ放送、ラジオ、そしてサウンドボード音源を徹底的にコンパイルした究極のCDRタイトル、その第三弾のリリースです。インタビューを排し、基本演奏部分のみを収録しており、純粋なパフォが楽しめるライブ音源集です。

73年はDon Kirshner's Rock Concertが素晴らしい演奏を聴かせてくれます。テレビ映像からのリッピングで一部ノイズがありますが、これが一番良い音質です。そしてマイク・ダグラス・ショウも演奏部分のみを収録。可能な限りリマスタリング激レア曲「Mother Beautiful」、マイク・ダグラスとの「Que Sera, Sera」はここだけのプレイです。「Everybody Is A Star」も嬉しいプレイです。

そして映像集DVDRが付きます。まずABC's Rockin' USA Special Summer Jam 1974。73年『Fresh』のリリース前にドラムがアンディー・ニューマーク、ベースにラスティー・アレンになっており、新生ファミリー・ストーンの映像となります。「M'Lady」ではシド・ペイジのバイオリンが効果的に入ってスタジオ録音に忠実ながら優雅さも含むバージョンになっています。そして衝撃の演奏シーン、この時の「Thank You」のアレンジ、是非プリンスに聴かせたい!スライがリズムギターを弾くし、いつも以上にギターで活躍しています。さすが元ギターリストです。また重要な下半身系のプレイヤーをガラッと変えたことで、ロックさが希薄になった洗練された音になっています。「Everybody Is A Star」は前半がスライドのようにバンドメンバーを映して後半から演奏風景となりますが、かなりダレダレ。フレディーもちょっと酔っ払ったような声を出しています。ラスティーも緊張気味の歌。しかしこの曲のライブバージョンは貴重です。そしてバイオリンのイントロに変に嬉しがるスライ、もう薬入っているんでしょうけど、そこから強引に始まる「I Want To Take You Higher」がまたある意味らしい流れで、グルービーなアレンジとなっています。少し心配な演奏ではありますが、強引に突き進む、これを観た人はやはり噂どおりスライは薬やってるけどそれでもかっこいいと思ってしまうことでしょう。
そしてIn Concert 1973、ここでもスライはギターを弾いています。時折ハードに聴かせてくれたりするプレイ、しかしあくまで効果音的にですが。「Thank You」でリトル・シスターの女性コーラスが入ってソウルフルなアレンジになっています。スライがだらだら歌っている感じですが、そのダウナーな感じがステキ。アンディーのツッツカーの乾いたドラミングも効きます。「M`Lady」はタンバリンも入ってパーティーライクな演奏となっていますが、ラスティーが歌うパートになるとちょっとトーンが低くなるように感じられます。ラリーのあの何オクターブだか歌える喉を失ったのはやはり痛い。しかしグルービーなベースプレイで演奏の要は果たしています。そして73年10月26日のThe Midnight Special。部分収録で「If You Want Me To Stay」、「Dance To The Music」が収録されています。
73年の「Music Lover」もレアですが、この映像が肝となるでしょう、萌えーな少女が「Sly…I love him.」とつぶやくイントロ、そう、あの有名なD.K.R.C.の映像です。このライブでスライが示したソウル・ファンクショーとは何かを知ることが出来ます。ここではかなり綺麗な映像になっています。1曲目の「You Are The One」はバックでも歌っているLittle Sisiterへの提供曲。この一曲でソウル・ショウのイメージを観客に叩き込みます。『暴動』のスタジオでのワン・マン振りが有名なスライですが、ステージでのバンマスとしての手練手管を知るには格好のパフォーマンスです。この時の「Stand!」も彼女らがいて雰囲気が違い「Somebody Watching You」のライブ・バージョンはこんな感じに演奏されていたのかと夢想します。ベースも跳ねていませんがラスティ、屋台骨たるプレイで良しです。「If You Want Me To Stay」、この哀愁のホーン、しゃがれた歌い方。この曲があったからこそプリンスは「The Ballad Of Dorothy Parker」を作れたと言えるでしょう。ドラムはまだアンディーでそれも嬉しい。ラスティーはここではうねるベースを弾いています。「Thank You」はフレディーが安定したカッティングを聴かせる中スライが効果音的ギターを入れる、それがもう絶妙で、ギターソロも入るしで最高。そしてそのソロの雰囲気まんまにジャムへ突入します。スライのギターによるヘタウマ・ファンク、その典型を十二分に堪能できます。そして「Dance To The Music」、ここでもベースとドラムの下半身部隊は良い仕事をしており、スライもフリーキーにキーボード、そしてハーモニカとプレイしていきます。全演奏中最も黒い「Dance To The Music」と言っても過言じゃないはずです。そして「Music Lover」にもその黒さは染み渡っています。例の「Higher」の儀式がナレーションで潰れてしまうのは残念ですが、それだけ。後は文句なしのライブとなっています。
続いて74年6月5日MSGの結婚式の映像。相手は当然『Small Talk』に写っている女優キャシー・シルヴァ。この日のライブは満員御礼状態で、そのライブ前に牧師を呼んで挙げました。これがテレビで放送されたわけですからツクヅク目立ちたがり屋だし、人気者だったということになります。その後のパーティーの映像ではアンディー・ウォーフォールの顔が映されています。また二人の間にブッハという男の子が生まれますが、5か月後に離婚してしまいます。
74年のMike Douglasショウはインタビュー中心。モハメド・アリのキリスト否定、アラー神信仰の下ブラックピープルの権利を主張する毒舌トークを、スライは時には擁護し時には雰囲気を見て白人のコメンテーターと諍いになるのをわかったよブラザーとアリを諌めたりして取り持ちます。そして最後に歌われるゆったりアレンジの「Stand!」の主張はかなりの説得力を持って迫ってきます。でもここで「Everyday People」が歌われていたらアリはびっくりしてスライをパンチしていたかもしれないですね。「Don`t Call Me Nigger, Whitey」だったらとか。続いてAmerican Music Awards 1975の「Loose Booty」、この曲のライブ映像、観たかったはず!「I Want To Take You Higher」とメドレーになっています。この時期だともうボーカルは弱いのかなと思わされますが、スライは演奏せずボーカルに専念することで克服しています。そしてバックがガラッと変わっています。シンシアとフレディー、リトル・シスター、その辺以外はドラムもビル・ローダン、そしてベースがボビー・ベガ。しかしその一体感のあるファンクネスは唯一無二で、まだまだスライマジックがそこにはあります。そして最後のアルバム『Ain`t But The One Way』で何度目かの復活を遂げる頃のドキュメンタリー。インタビュアーに一体どうしちゃたんですか?最近は?と突っ込まれますが、リラックスしてるのさ、と一体いつまで?と聞きたくなるような受け答えをします。でもニューアルバムのレコーディングはしていると言って、ギターを爪弾いたりスタジオに入ったりまだまだ音楽をやってます的映像で健気にアピールしていますが、もう隠居爺のような老け顔が涙を誘います。しかし「Love City」の演奏となるとしっかりしていて、フレディーやローズ、シンシアのバックにいて、おっ、これなら大丈夫と思わせますが。否待てよ、ラリーがいるみたいだ。もしかすると昔の映像?実は70年くらいのライブ映像です。それじゃー凄いわけですね。そしてBill Graham Specialは86年に放送された映像、演奏時期もその頃でしょう。とにかくバンド・メンバーはスライ以外ファミリー・ストーンが不在。声も出ていますが、バックとかみ合っていません。86年はジェシー・ジョンソンの「Crazey」で客演した頃。でもこの曲のスライは最高にカッコよく、声も出ていて、復帰するとしたらこれがある意味最後のチャンスだったのかもしれません。

CDR
1.Music Lover
●TV Concert 1973
2.You're The One
3.Stand!
4.If You Want Me To Stay
5.Thank You
6.Dance To The Music
7.Music Lover
●Don Kirshner's Rock Concert 1973
8.If You Want Me To Stay
●Mike Douglas Show May 10, 1974
9.M'Lady
10.Thank You
11.Everybody Is A Star
12.I Want Take You Higher
●ABC's Rockin' USA Special Summer Jam 1974
13.Stand!
14.I Want To Take You Higher
●Mike Douglas Show July 17, 1974
15.Loose Booty
16.Mother Beautiful
17.Everyday People
18.Que Sera, Sera (Whatever Will Be, Will Be) (with Mike Douglas)
●Mike Douglas Show July 18, 1974

DVDR
M'Lady
Thank You
Everybody Is A Star
I Want Take You Higher
●ABC's Rockin' USA Special Summer Jam 1974
Thank You
M'Lady
●ABC's In Concert December 6, 1974
If You Want Me To Stay
Dance To The Music TV Concert 1973
Music Lover
●The Midnight Special 26 Octorber 1973
You're The One
Stand!
If You Want Me To Stay
Thank You
Dance To The Music-Music Lover
●Don Kirshner's Rock Concert 1973
Wedding Ceremony/Reception
●Madison Square Garden June 5, 1974
Interview (With Muhammad Ali)
Stand!
●Mike Douglas Show July 17, 1974
Loose Booty
●American Music Awards 1975
Interview (Documentary)
Love City
●TV Documentary 80's
I Want To Take You Higher
●Bill Graham Special Live At Fillmore 1986

Pro-shot
118min.

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