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マイケル・ジャクソン / Thriller Sessions Definitive Edition Vol.4 (1CDR)
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モンスター・アルバム『Thriller』がどのようにして作られていったのか、可能な限り時系列でマイケル・ジャクソンのデモ、オルタネイト・バージョン、未発表曲を並べ検証していきます。今回はその第四弾となります。
アルバム『Thriller』から先行する形で82年10月23日にリリースされたファースト・シングル「The Girl Is Mine」。その曲は冒険を示唆するものではありませんでした。マイケルはポールとのデュエットをアルバムのリード・シングルとしてリリースすることでまずは安全策を取ったと言えるでしょう。B面曲は「Can't Get Outta The Rain」。これは「You Can't Win (Part.2)」を再レコーディングした曲です。「You Can't Win」はチャーリー・スモールズが作曲し、クインシー・ジョーンズがプロデュース、74年にボルチモアで上演されたミュージカル『ザ・ウィズ』のために作られました。ですがブロードウェイの公式オープニングからカットされ、映画『ザ・ウィズ』の制作が始まるまで演奏されることはありませんでした。映画の制作中、マイケルが歌うこととなり、77年11月から78年1月にかけて録音され、「I Was Born On The Day Before Yesterday」の代わりにマイケルが演じた案山子の際に使われました。オリジナルのサウンドトラックを録音した後、マイケルはクインシー・ジョーンズと共にスタジオに戻り、78年夏『Off The Wall』風のプロダクションでこの曲を再録音しました。最終的に79年1月11日にシングルとしてリリースされ、モータウンを去ったマイケルの最初のソロシングルとなりました。「You Can't Win」は2部の曲となっています。前半は正式なヴァースとコーラス、後半はアドリブとバックボーカルの構成となっています(04年の『Ultimate Collection』に収録のものは7分の1曲にまとめられたバージョンです)。82年10月18日、「You Can't Win」(Part 2)の再録音版「Can't Get Outta The Rain」がシングル「The Girl Is Mine」のB面としてリリースされました。しかしそれは基本的に元曲のパート2なのですが、「you can't get outta the game」の歌詞が「you can't get outta the rain」に置き換えられ、オーバーダブもいくつか追加されています。そして作曲クレジットにチャーリー・スモールズの名は無く、クインシーとマイケルのみとなっています。
このファースト・シングルがリリースされ、チャートの2位となる頃、『Thriller』のテスト盤が完成します。スタジオでは、エピック・レコードのブラック・ミュージック部門の責任者ラーキン・アーノルドがシャンパンを開けて聴く瞬間を待ち焦がれていました。いざ皆でそのマスター・テープに耳を傾けました。
「...それは完全な失敗だった。優れた曲とパフォーマンスを詰め込んで、ミックスダウンも含めて、全て完璧に行ったが、私たちが手にしたのは「24カラットの“音の糞”」だったんだ。スタジオは静まり返っていたよ。アルバムにあまりにも多くの要素を加えすぎていた。ビッグでファットなサウンド、グル―ヴ、それらが乏しいとサウンドがどうしても貧弱になる。だからレコードの両面それぞれに28分間、そんな音楽を敷きつめた。聴いたスメリー(マイケルの愛称)は「うわっ、ジェリー(最高のダンス曲の意味)だ。思わずダンスしたくなるよ」と言ったよ。だがレコードは現実的に制作しなければならない。A面、B面それぞれを19分以内にしなくては。それが原則なのだ。私たちは頭を抱えた。マイケルは「今さらどうすればいいのだろう」と涙ながらそう言った。結局、私たちは2日休み、その後の8日間で1日1曲のペースでミックス・ダウンを行い、いっきにアルバムを完成させた。「The Lady In My Life」をロッド・テンパートンはそのヴァースを1か所削除し、マイケルは「Billie Jean」の長々としたイントロの“ジュリー”なパートを捨てることに同意した。そして、何かが働き、『Thriller』はアルバムの域を超える何かへと昇華したんだ」。クインシー・ジョーンズ自伝より。
今回、このおよそ56分の『Thriller』24カラットの“音の糞”エディションを再現しようと試みました。
まずリリースされたアルバム『Thriller』はトータル42分19秒です。クインシーの原則19分X2=38分を4分既に超えています。
さてリリースされた12インチのバージョン、そして「The Lady In My Life」のフル・レングス・バージョンで『Thriller』を基本構成しました(例外は後述します)。
「Wanna Be Startin' Somethin'」は6分2秒ではなく、12inch Versionの6分30秒に(12インチの記載ではただ「Wanna Be Startin' Somethin'」とだけ書かれていますがロング・バージョンです)。「Baby Be Mine」はロング・バージョンがなく4分20秒そのまま。「The Girl Is Mine」は既にシングルとなっていますからそれをカットするわけにはいかないはずで3分41秒そのまま。そして「Thriller」はロング・バージョンがありますが、実はアルバムと同じレングスで5分57秒、同じバージョンです。「Billie Jean」には12インチのロング・バージョンがあり、4分54秒ではなく6分23秒となります。「Beat It」、「Human Nature」はロング・バージョンが無くそれぞれ4分18秒、4分6秒とそのままです。そして「P.Y.T. (Pretty Young Thing)」(3分59秒)、これもロング・バージョンがないはずなのですが、フェードアウトで終るインストが存在し(5分40秒)、そのバッキングとほぼ同じNick Long Version(5分41秒)マルチトラックからのファンメイドがあります。ファンメイドとしてはかなり本当度が高く、今回例外ながら音の糞エディション用に収録しました。そして最後の「The Lady In My Life」は3分58秒のアルバム・バージョンより遥かに長い6分30秒です(多少無音部分がふくまれています)。これでトータルは47分16秒(「P.Y.T. (Pretty Young Thing)」をアルバム・バージョン3分59秒とするなら45分47秒)。56分より9分(10分)以上も足りません。「The Lady In My Life」は1ヴァース省略したとありますが、フル・バージョンに比べればもっともっと削られていることになります。そしてこれまでのリリース『Thriller Complete Sessions』Vol.1からVol.3を聴くとお分かり頂けるかと思いますが、長いバージョンはありますが、全てデモ音源で、アルバムに収録させるべく作られた完璧なバージョンではありません。唯一「Wanna Be Startin' Somethin'」のデモからは編集出来る余地のようなものはありますが、それをそのままアルバムに入れていたとは思えませんでした。実際30秒程長い12インチ・バージョンがあるので、そちらが音の糞エディション用だと思えます。
よっておよそ56分の『Thriller』24カラットの“音の糞”は現存の音源からは再現不可能です。しかしそれでもその47分エディションをまず収録しました。
ここからは仮説です。クインシーが計算間違えで47分バージョンが実は音の糞ではないか。あり得ると思います。46分の方でも十分長すぎるのです。共に46分のカセットテープにはきっと入り切れないと思います。
アルバム片面は30分が限度とされています(クイーンの『Greatest Hits』がA面30分4秒、B面30分58秒、またカラヤンの「田園」を37分43秒収録したLPが存在します)。ですので片面28分をLPに入れることは可能です。8日間で1日1曲のペースでミックス・ダウンを行い、いっきにアルバムを完成させた、これは「The Girl Is Mine」以外の8曲をそうした、ということです。「Billie Jean」の89秒、「The Lady In My Life」約2分半の削られたと確定出来る分を除いて、42分19秒の『Thriller』にするためには、それぞれの曲を平均すると、2分位エディットすることになる計算です。実際そのようなことをした「Wanna Be Startin' Somethin'」では、曲中から色々ピックして何とか30秒弱削っています。素晴らしい功績の編集が施されているのは聴いたらわかることでしょう。この30秒を一日でやったというのでさえちょっとした奇跡に思える程です。しかしそれでも30秒、平均カット時間の四分の一です。他の曲にも同様、それ以上の編集を行ったということになると、かなり魔法のような作業のように思えます(後半部分をバッサリ切ってフェード・アウト処理、そんなラフな仕事ばかりならば別ですが)。
片面28分を19分にするというのは実質1曲から2曲を完全にカットする位でもしないとです。なので「Human Nature」収録で落選した「Carousel」、これも音の糞に足してみました。これでもトータル50分56秒(49分13秒)。ならば「Can't Get Outta The Rain」も追加、こうしてやっと55分1秒(53分18秒)です。「Can't Get Outta The Rain」がPart1も作られているとするなら、更に3分以上追加されることになり、56分以上になります。まあこうなってくると最早『Thriller』らしさが無くなってきますね(よって「You Can't Win」は未収録としました)。
更に「Wanna Be Startin' Somethin'」と「Billie Jean」、「Thriller」の12インチ収録の12インチ・バージョンのインスト、そして「P.Y.T.」は12インチに収録されているアルバム・バージョンのインストではなく、ロング・バージョンのインストを収録。尚「P.Y.T.」の12インチのインストは以下のタイトルに収録しています。
マイケル・ジャクソン / Genesis (1CDR)
https://purpletown.buyshop.jp/items/97726394
1.Wanna Be Startin' Somethin' (12" Version) 6:30
2.Baby Be Mine 4:20
3.The Girl Is Mine 3:42
4.Thriller 5:57
5.Beat It 4:18
6.Billie Jean (Long Version) 6:19
7.Human Nature 4:05
8.P.Y.T. (Pretty Young Thing) 5:41
9.The Lady In My Life (Full Version #2 Edit) 6:24
10.Carousel 3:40
11.Can't Get Outta The Rain 4:05
12.Wanna Be Startin' Somethin' (Instrumental) 6:33
13.Thriller (Instrumental) 6:00
14.Billie Jean (Instrumental Version) 6:19
15.P.Y.T. (Pretty Young Thing) (Instrumental Long Version) 5:40
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